プロジェクト概要
研究プロジェクト | ネットワークの科学 |
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研究代表者 |
郡 宏 お茶の水女子大学基幹研究院准教授 増田 直紀 ブリストル大学Department of Engineering Mathematics, Senior Lecturer 上級講師 |
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研究目的要旨 |
ネットワークとしてとらえることのできる対象・現象は多岐にわたっている。ネットワーク上では人、物、情報、エネルギー等がたえまなく流れている。それらの動き、すなわちネットワークのダイナミクスに関する研究が進展することで、ネットワークの科学は社会のニーズにいっそう応える科学に成長すると期待されるが、理論と現実とのギャップは未だに大きい。また、ネットワークのレジリエンス(回復力、打たれ強さ)に関しては、とりわけ現代社会からその解明が強く求められている。本プロジェクトは、理論研究者と個別分野の研究者が一堂に会してネットワークのより深い理解と新たな問題の発掘を目指すものである。 |
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研究目的 |
①コミュニティにおける人と人のつながり、金融機関の取引関係、交通網、電力供給網、生態系の食物連鎖、脳神経系、遺伝子間における発現の相互調節、学術論文の引用・被引用関係など、ネットワークとしてとらえることのできる対象・現象は多岐にわたっている。互いに無関係に見えるこれらのネットワークも、その構造を抽象化してしまえば、構成要素を代表する多数の点と要素どうしをつなぐ結合線から成る幾何学的なオブジェクトとなる。ここに、ネットワークの科学が諸分野横断的な学として成立しうる根拠がある。この潜在的可能性を爆発的に顕在化させたのは1990年代末、数理科学分野から提起された2つの新概念、すなわちスケールフリー性 (Barabási-Albert)、およびスモールワールド性 (Watts-Strogatz)である。ネットワークの幾何学的構造を特徴づけるこれらの特異な性質が、実在のネットワークに広く共有されていることが明らかにされたのである。現実のネットワーク構造を知るためには大量のデータが必要である。それが電子情報として容易に得られるようになった時代的背景にも支えられて、複雑ネットワークの科学はさまざまな分野を巻き込みながら急速な発展を遂げつつある。 ②要素間のつながりの構造(それはいくつかの統計的指標で特徴づけられる)に関する知識のみから、現実のネットワークに生起する現象について数多くの有用な知見が得られるのは確かである。しかし、現実のネットワーク上では人、物、情報、エネルギー等がたえまなく流れている。それらの動き、すなわちネットワークのダイナミクスに関する研究が進展することで、ネットワークの科学は社会のニーズにいっそう応える科学に成長するであろう。事実、この方面の研究は現在非常に活発化しており、たとえば感染症の広がりに関する数理モデルの研究が新型インフルエンザの流行予測に用いられるなど成功例が出始めている。反面、理論と現実とのギャップはなお大きい。生態系における種の絶滅や金融崩壊の深刻さからもうかがえるように、ネットワークのレジリエンス(回復力、打たれ強さ)に関しては、とりわけ現代社会からその解明が強く求められている。 ③本プロジェクトは、以上のような背景のもとに、理論研究者と個別分野の研究者が一堂に会してネットワークのより深い理解と新たな問題の発掘を目指すものである。さらに、社会的に重要な課題の発掘と解決方法の提案も視野にいれる。個別分野の研究発表を通じて、個別分野側と理論側の意識のずれ、共有可能な着地点、今後必要とされるコラボレーション、人材育成の方法等を議論する。理論側の研究者は、自身やその研究コミュニティが有する解析技術や興味に焦点をあてて発表を行う |
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キーワード | ネットワーク科学(network science)、複雑系(complex systems)、 非線形科学(nonlinear science)、レジリエンス(resilience) |
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参加研究者リスト 16名 |
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