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第35回 けいはんな「ゲーテの会」

開催概要

日本の未来を拓くよすが(拠)を求めて-日本の近代化を導いた人々の思想と行動、その光と影を追う-「西の文化」の彼方に「東の文化」を構想した人物

35

科学・技術

西田幾多郎と近代日本

【講演者】
佐伯 啓思京都大学こころの未来研究センター特任教授、京都大学名誉教授
【講演者経歴】
1949 年生まれ。京都大学名誉教授、京都大学こころの未来研究センター特任教授。共生文明学、現代文明論現代社会論、社会思想史を研究テーマとし、現代社会を文明論的観点から捉え、政治、経済の分野を中心に広く評論活動をおこなっている。著書に『自由とは何か』(講談社現代新書 2004 年)、『日本という「価値」』(NTT 出版 2010 年)、『現代文明論講義ニヒリズムをめぐる京大生との対話』(ちくま新書 2011 年)、『西欧近代を問い直す』(PHP 文庫 2014年)、『20 世紀とは何だったのか』(PHP 文庫 2015 年)など多数。
【講演要旨】
「西田幾多郎は明治3年(1870年)に生まれ、昭和20年(1945年)に亡くなりました。まさに「近代日本」を代表する哲学者であり、思索家でした。西洋哲学への深い造詣をもとに、日本独自の哲学の構築を模索しました。京都帝国大学に赴任してきたのが41歳で、その次の年に出版された『善の研究』 は、まさに西田哲学の出発点であるだけではなく、日本人の手になる最初の体系的な哲学書といってよいでしょう。ここで提出された有名な「純粋経験」の概念を発展させて、「絶対無」や「無の場所」という独特の考えを導き出してゆきます。
「無の哲学」ともいわれる西田哲学は、超難解だとしばしばいわれます。確かに彼の論文はたいへんに読みにくいものです。しかし、「無の哲学」の「無」という観念は、われわれ日本人には論理を超えて直感的にわかるところがあります。「神」のような「絶対的な存在」から出発する西洋の思想に対比すれば、われわれには、物事の根底には「無」がある、という思想は比較的なじみやすいでしょう。この講義では、西田哲学の詳細な解説ではなく、その輪郭を論じ、日本思想との連関に触れることができればと思います。」
開催日時
2016年5月24日(火)18:00〜20:30
開催場所
公益財団法人国際高等研究所
住所
京都府木津川市木津川台9丁目3番地
参加費
2,000円(交流・懇談会費用を含む)
定員
40名(申し込みが定員を超えた場合は抽選)
締切
2016年5月20日(金)必着