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満月の夜開くけいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」
「新たな文明」の萌芽、探求を!
けいはんな市民懇談
「皆が専門家、皆が素人」
「けいはんな学研都市」は、その建設理念に照らし、次代を拓く「新たな文明」の萌芽探求の好適地です。
そこで、2022年度、新たに、<「新たな文明」の萌芽、探求を!>プロジェクトを起こし、
「meta鼎談(哲学×科学×技術)」を、そして「市民懇談(roundtable)」を開催してまいります。
本「市民懇談(round table)」は、科学コミュニケーションの手法に精通されている先生にモデレータをお願いして、
市民の皆様が主体となって議論する場です。
「けいはんなmeta鼎談」にご登壇いただいた先生にもメンターとしてご参加いただきます。
「市民懇談」の会場には、<「新たな文明」の萌芽、探求を!>プロジェクトにご賛同いただいた
市民(地域住民、学生、立地企業や研究機関等にお勤めの方々)の中から約20名をご招待します。

第1回

「量子論」が開く世界

世代を超えて、立場を越えて、分野を超えて、

次代を拓く最先端の議論を、あなたと共に。
混迷を深める現代社会
けいはんな学研都市から「新たな文明」の萌芽、探求を!

日 時
2022年7月23日(土)14:00 〜 17:00
懇談会場
国際高等研究所
(一般参加者の方は、オンライン(遠隔)での参加のみとなります。)
参加費
無料
定 員
オンライン参加100名
(先着順・定員になり次第締め切り)
締 切
2022年7月20日(水)
開催にあたり
今回の「市民懇談」は、一般参加者の方には、ZOOM Webinarシステムを利用して配信します。
インターネット環境の整備が前提となります。
お申込者には、事前に ZOOM の招待メールをお送りします。
受付時間(13:30 ~ 14:00)内に、事前にご連絡するURLからアクセスしてください。
主 催
公益財団法人 国際高等研究所
<「新たな文明」の萌芽、探求を!>プロジェクト事務局
e-mail:goethe0828@iias.or.jp
問合せ先
申込・視聴などは、Peatixのオンラインサービスにより行っております。
Peatixの利用方法についてご質問などがございましたら、
下記のヘルプページをご確認いただくか、お問合せ窓口にご連絡ください。
Peatix ヘルプページ   https://help-attendee.peatix.com/ja-JP/support/home
Peatix お問い合わせ窓口 https://help-attendee.peatix.com/ja-JP/support/tickets/new
開催趣旨

量子論をテーマとして、第91回「満月の夜開くけいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」」、および第1回「けいはんなmeta鼎談(哲学×科学×技術)」を開催しました。当該の講演、鼎談において論議された内容について、その視聴者を中心に、市民と専門家、教師、次代を担う学徒など多様な人々の参加を得て、市民が主体となって学び合う場を設えることとします。この場を通じて、本テーマに関し、市民が広くリテラシーを身に付けるきっかけとなることを期待しています。

モデレーター
磯部 洋明 磯部 洋明 先生

京都市立芸術大学准教授


量子論は様々な技術的応用のみならず、人間の世界認識に関わる哲学的な問いを投げかける魅力的な理論です。しかし市民懇談で議論するには中々難しいテーマでもあります。原子力や遺伝子編集技術など、多様な価値観を持つ市民の話し合いが大切な科学技術のテーマは多くあります。しかし現時点で量子論の技術的応用に大きな社会的対立が見られるわけではなく、その一方で科学的理解が曖昧なまま量子論の哲学的示唆だけを現実の社会問題の解決に結びつけて語ることは、下手をすると非科学的なものを科学の言葉で語る過ちに陥ります。量子論を語ることの魅力と危険。このことを「メタな視点」で話し合うことで、科学技術の高度化に伴う知のブラックボックス化といった、普遍的な問題について一緒に考えることができればと思います。


1977年神奈川県生まれ、主に岡山県育ち。京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻博士課程修了。京都大学宇宙総合学研究ユニット、同大学院総合生存学館等を経て2018年から京都市立芸術大学美術学部准教授。専門は宇宙物理学で特に太陽活動とその地球への影響の研究。宇宙人類学、宇宙倫理学、古文献を用いた天文学などの学際的研究や、科学コミュニケーション活動も行っている。平成21年度文部科学大臣表彰・若手科学者賞受賞。

メンター
佐藤 文隆 佐藤 文隆 先生

京都大学名誉教授


量子力学とは百年近く同じ形で使っているツールであり、現代テクノ社会を作った学問である。形成期での「世紀転換期」思潮や国民国家と冷戦が支配し特異な世紀からの転換が絡む現代的課題である。


1938年生まれ。1960年京大理卒、1974-2001年京大教授、2001-2014年甲南大学教授。京大基礎物理研究所所長、理学部長、物理学会会長、学術会議会員、湯川記念財団理事長、理化学研究所相談役、京大出版会理事長などを歴任。宇宙物理学、一般相対論を研究。「宇宙物理」、「一般相対性理論」、「科学と幸福」、「職業としての科学」(岩波)、「物理学の世紀」(集英社)、「佐藤文隆先生の量子論」(ブルーバックス」、「量子力学ノート」(サイエンス社)など著書多数。

藤井 啓祐 藤井 啓祐 先生

大阪大学教授


量子の情報の世界は、研究者の考える仮想的な世界と思うかもしれないが、今では量子コンピュータが実際に実現されつつあり、我々の古典的経験をアップデートしないといけない状況になっている。


2011年3月京都大学大学院工学研究科 博士課程終了。博士(工学)。2011年4月から2013年3月まで、大阪大学大学院基礎工学研究科 特別研究員。2013年4月から2016年3月まで、京都大学白眉センター特定助教。2016年4月から2017年9月まで、東京大学光量子科学研究センター助教。 2017年10月から2019年3月まで、京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻、特定准教授。2019年4月から、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻、教授。大阪大学量子情報・量子生命研究センター副センター長。

プログラム
14:00 ~ 14:15 はじめに(モデレーターの挨拶・説明)
14:15 ~ 15:00 参加者からの話題提起
15:00 ~ 16:15 参加者意見交換(メンターからの発言を含む)
16:15 ~ 16:45 参加者・メンター感想
16:45 ~ 17:00 おわりに(モデレーターのまとめ)

2022.7.23(土)第1回「けいはんな市民懇談(round table)」開催概要

 2022年7月23日(土)14時から、国際高等研究所主催で、第1回「けいはんな市民懇談(round table)」が開催されました。テーマは、「ゲーテの会」「meta鼎談」と同じ「量子論」。コロナ禍に配慮し、ハイブリッド(対面・遠隔)方式で開催。全国から41名のon-line参加があり、また、会場には、けいはんな学研都市にお住まいの市民、芸術家のほか、立地企業・研究機関・大学の研究者、学生、高校の先生をはじめ、中核機関の職員の方など多様な方々19名が参加し、「量子論の開く世界」をモチーフとして意見を交わしました。
 本意見交換には、メンターとして佐藤文隆先生(京都大学名誉教授・基礎物理)、藤井啓裕先生(大阪大学教授・量子情報)のお二人をお迎えし、また、モデレーターとしての役割を磯部洋明先生(京都市立芸術大学准教授・宇宙物理)に担っていただき、議論を展開していただきました。
 意見交換に当たっては、会場参加者の幾人かから、①技術的・社会的課題、②ものの見方・考え方、教育の在り方に関して話題提起を行なっていただき、それぞれセッション(Ⅰ)、セッション(Ⅱ)を設え、ご論議いただきました。セッション(Ⅰ)では、①「ムーアの法則」を超える技術変革プロセスについて、②量子コンピュータの制御と動作確認(観測)について、セッション(Ⅱ)では、①「古典物理」・「量子物理」の学習の在り方について、②科学(量子力学)と、芸術(人間形成)の関係について、が取り上げられました。
   意見交換に先立ち磯部先生から、「量子論は様々な技術的応用のみならず、人間の世界認識に関わる哲学的な問いを投げかける魅力的な理論です。」だが、「下手をすると非科学的なものを科学の言葉で語る過ちに陥ります。量子論を語ることの魅力と危険。」そのことを踏まえて議論したいとの趣旨のモデレーターとしてのご発言があり、また、佐藤先生、藤井先生から、先の「meta鼎談」の感想、また「市民懇談」への期待などについて、それぞれご発言があり、「分かることとは、どういうことか」(理解に直感的理解と合理的理解がある)などに話が及び、学問論そのものの観を呈した問題提起に参加者の興味も大いに高まりました。
 身体性(共感)を基礎に科学論、技術論は論じられるべき、需要者目線での科学技術開発が重要などの意見のほか、量子教育のターゲティング問題なども俎上に乗り、論議は教育論、芸術論、社会文化論、学問間連携まで広範囲なものとなり、それに触発されてか参加者全員から発言がありました。特に、「けいはんな学研都市」は学術研究の場であるとともに市民の住まいの場でもあることから、学術をテーマにした市民懇談は、「けいはんな学研都市」ならではの取組として評価できるとの期待も述べられ、盛況裡に第1回「市民懇談」を終えることができました。
 最後に、参加者は、「継続的学びの場を、皆様と共に!」の合言葉の下に図書館などとの連携を深めること、また、想定される次のテーマ「文明論」「資本論」などに思いを馳せながら会場を後にしました。 (文責:国際高等研究所)

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