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基幹プログラム

第4次産業革命への適応~社会経済システムの再編成~

研究代表者:佐和 隆光
国際高等研究所副所長、京都大学名誉教授

現在進行中の第4次産業革命が、私たちの暮らす社会と経済に及ぼすインパクトには、測り知れないものがある。深層学習という底知れぬ能力を秘めた人工知能が、第4次産業革命の担い手にほかならない。過去3度の産業革命のいずれもが、経済の成長・発展、生活の利便性・快適性の向上をもたらした。第4次産業革命にも同様の効果が期待されるが、革新のスピードが余りにも速いため、変革の過程における適応は容易でない。最適な適応策を提示するのが本研究のねらいである。

参加研究者2020.04.01現在

佐和 隆光 国際高等研究所副所長、京都大学名誉教授
依田 高典 京都大学大学院経済学研究科教授
大西 宏一郎 早稲田大学教育・総合科学学術院准教授
佐々木 典士 作家、編集者
下村 研一 神戸大学経済経営研究所教授
新海 哲哉 関西学院大学大学院経済学研究科教授
二神 孝一 大阪大学大学院経済学研究科教授
宮脇 正晴 立命館大学大学院法学研究科教授
若森 直樹 東京大学大学院経済学研究科講師

■ 研究目的・方法

第4次産業革命は、経済社会に対し根源的な変容を迫りつつある。工場の無人化、事務労働の人工知能(AI)による代替、医師、弁護士等の専門職の職能のAIによる代替などが限りなく進行する。その結果、次のような経済社会の構造変化が予想される。
第一に、少なくとも10~20%の雇用が喪失されるであろう。
第二に、IoT(モノのインターネット)の進展に伴い、検索エンジンを使っての情報の取得、電子メールの送受信、再生可能エネルギーに代表されるように、多くのモノ・サービスの限界費用(もう1単位のモノ・サービスを供給するのに要する費用)がほぼゼロとなる。GAFA(グーグル、アップル、フェースブック、アマゾン)やマイクロソフトが、製造業各社や金融業各社を尻目に、株式時価総額世界ランキング(2019年5月末)の上位5社に居並ぶ。労働生産性と資本生産性において、IT企業は製造業や金融業を圧倒するからだ。
第三に、成熟化した市場経済社会において消費者は「所有」よりは「利用」を重んじるようになる。そうした趨勢を見越して、2009年3月、自動車配車アプリを運営するウーバー・テクノロジー社が創設され、瞬く間に世界各国にサービスを展開するようになった。
その他、インターネットを介してのプラットフォームビジネスが世界を席巻するようなった。IT産業ないしプラットフォーマーが、製造業や金融業を押しのけ経済の中枢部に位するようになったのだ。
こうした経済社会の変容を受け、工業化社会を前提に据える既成経済学のパラダイムシフトが求められている。経済学のパラダイムシフトの方向を見究め、その成果を様々なメディアを通じて世に問う。

今後の計画・期待される効果

社会科学者による第4次産業革命に関する体系的研究は、少なくとも国内においては類例が見られず、本基幹プログラムはその嚆矢にほかならない。昨年度から今年度にかけてのわずか1年余りのうちにも、人工知能と第4次産業革命への人々の関心は有意な高まりを見せており、本基幹プログラムの先駆的業績への期待は日増しに膨らみつつある。そうした期待に応えるべく、2020年9月に、私どもの研究成果を最終報告書としてまとめ上げ、国際高等研究所の誇るべき情報発信の一翼を担う所存である。

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