研究事業方針

 

国際高等研究所は、従来の学問分野を超えて、異分野の研究者たちの相互理解と緊密な接触を図る場を提供することを最大の特徴としています。この特徴を背景に、知の対話型蓄積により、次世代の「学術の芽」を発掘し、さらにその「学術の芽」を育てることを、研究事業の主たる目的としています。

国立大学や国立研究機関等が法人化された後、研究費の比重は大幅に競争的資金に移りました。また、科学技術振興という名の下に、国の施策として特定な課題や領域に大きな研究費が与えられ、結果的に研究者をその課題や領域に集中させる傾向が強くなってきています。我が国が置かれている状況を考慮すれば、このような「問題解決型」の研究は必要ですが、現在のように「問題解決型」研究が過多に偏重され続けると、ある問題に関しては詳細な知見が蓄積されてはいきますが、やがてそれさえも枯渇します。そして新しいコンセプトを創出するようなブレイクスルー、大きな科学の展開は期待できなくなります。

これに対し、研究者個人の発想を基本にする研究が「問題発掘型」の研究であり、これこそが学術研究です。多くの場合、「問題解決型」の新たな課題(学術の芽)は、「問題発掘型」の研究成果や知見の中からが生まれてきます。したがって、「問題解決型」研究と「問題発掘型」研究のバランスをとって行われることが必要です。

このようなわが国の状況において、自然科学、人文・社会科学等の分野を超えて、次世代の学術研究の展開のために「学術の芽」を探索し、それを見つけ、育成するという本研究事業は、きわめて大きな意義を持つものであります。
本研究事業を通して、国内外の優れた研究者が議論する場を提供することにより、単に研究成果の国内外への発信ということだけでなく、広く研究者、学界等に向かって、新たな学術研究が展開する可能性やわが国の学術研究の将来のために重要な問題を提示したいと考えています。