プロジェクトの概要

 

研究プロジェクト

生命科学の発展に対応した新しい社会規範の構築

実施期間 2006~2009年度(第4年次)
研究代表者 位田 隆一 京都大学大学院法学研究科教授
研究目的

ヒトゲノム・遺伝子解析やヒト胚・ES細胞・クローン胚・iPS細胞などの先端生命科学研究とそれによるオーダーメード医療や再生医療の実現への進展、また近年の生殖補助医療や臓器移植、終末期医療の展開など、現代の生命科学・医学の急速な進展は社会に大きな恩恵をもたらすとともに、「人とは何か」、「人の生命とは何か」といった基本問題を我々に問い直している。これは、我々がよりどころにしてきた価値の揺らぎ、それを基盤にした社会規範の揺らぎでもある。そこで、本研究では、生命科学が社会の理解を得て適切に発展していくための規範枠組みについて、学際的に分析・検討し、生命科学・医学研究者・医師と社会一般の双方の受け入れることのできる社会規範の構築への提言を試みようとする。

前年度までの研究の概要

2006年度は、研究会を一回開催し、このプロジェクト全体についての構想を確認した。研究会においては、研究代表者位田が本企画の概要を説明した後、位田が「生命科学の発展と倫理規範の対応―ゲノム・遺伝子解析と再生医療を素材にして―」と題する研究発表を行い、現在の2つの最先端の生命科学・医学研究分野の進展とわが国におけるこれまでの倫理的議論や指針等の状況の分析、ポスト・シークエンス時代のゲノム研究および人クローン胚研究についての人の生命の捉え方や価値、科学技術と社会の間の関係のあり方などを含めた諸問題を概観した。また、森崎が「ユネスコ生命倫理と人権に関する世界宣言」を報告して、同宣言の策定過程とそこにおける議論、規定の概要と問題点などを指摘した後、宣言のフォローアップとして今後取り上げるべき論点などを提示した。いずれの報告についても、活発な議論が行われた。


2007年度については、研究代表位田隆一が中心となって、参加研究者の間で個別に意見交換を行い、メールによる議論を主体に行った。そこでは、バイオバンクのガヴァナンス問題について、位田や増井を中心に、欧州及び台湾を素材に検討を加え、また位田や森崎、加藤らが、再生医療における人クローン胚規制やiPS細胞等の新しい展開について議論し、科学者の一般社会に対する説明責任や幅広い社会的議論の必要なことが指摘された。


2008年度については、諸般の事情から研究会の開催に至らず、各研究者が個別に検討・思索をするにとどまった。それぞれの成果については、年度末3月22日に、研究代表者が主催する科学研究費補助金基盤研究(B)と共催で、国際ワークショップ「生命倫理基本法」を開催し、外国からの参加者も交えて、この課題を議論した。

キーワード 生命倫理、生命科学、人間の尊厳
研究計画・方法

2009年度は最終年度であるので、4回程度の研究会を開催して、ゲノム科学、とくにバイオバンク、及び再生医療を中心に、宗教学・哲学関係、法律学関係、経済学関係、担当行政官庁関係の専門家を招聘し、意見交換を行い、これらの分野で科学と社会の間のあるべき関係を明らかにしつつ、何らかの提言につなげたい。

研究会開催予定
第1回2009年 6月
第2回2009年 9月
第3回2009年11月
第4回2010年 2月
参加研究者 13名
位田 隆一 京都大学大学院法学研究科教授
浅井  篤 熊本大学大学院医学薬学研究部教授
江川 裕人 京都大学大学院医学研究科・医学部附属病院准教授
加藤 和人 京都大学人文科学研究所准教授
北川 善太郎 国際高等研究所フェロー/京都大学名誉教授
木南  敦 京都大学大学院法学研究科教授
高嶌 英弘 京都産業大学大学院法務研究科教授
玉井 真理子 信州大学医学部准教授
伏木 信次 京都府立医科大学大学院医学研究科教授
増井  徹 独立行政法人医薬基盤研究所主任研究員
森崎 隆幸 国立循環器病センター 研究所バイオサイエンス部長
山内 正剛 独立行政法人放射線医学総合研究所 放射線防護研究センター発達期被ばく影響研究グループ 前がん病変研究チームチームリーダー
甲斐 克則 早稲田大学法科大学院教授
話題提供者
松田  純 静岡大学人文学部教授
佐藤 恵子 京都大学医学研究科准教授
辻  省二 東京大学医科学研究所教授
その他  
研究成果報告書 2010年12月出版予定