プロジェクトの概要

 

研究プロジェクト

生物進化の持続性と転移

実施期間 2007~2009年度(第3年次)
研究代表者 津田 一郎 北海道大学電子科学研究所教授・同数学連携研究センターセンター長
研究目的
生物進化の問題解決のため次の項目を研究する。
  • よいモデル実験系の創出と数理モデルによる合理的な解釈。
  • 進化における分岐の仕組み。
  • 非平衡開放系と微弱非平衡近閉鎖系における生命動態の違い。
  • 進化における神経系・脳の出現の意味。
  • 進化の持続性の条件。
  • 進化の可能な転移と人工進化。
  • Brain-Machine Interfaceによる次世代ヒトの進化。
  • 以上の項目の議論を通して、生命進化における持続性と進化形態の新たな相への転移を研究する。
前年度までの研究の概要
次の観点が明らかになった。
  • 進化には休眠期があるということがあげられる。すなわち、遺伝子の多様化と形態の多様化は同期していない。遺伝子重複や遺伝子混成などにより、カンブリア大爆発のような時期以前に遺伝子ファミリーとして多様性が増しており、その後の形態の多様化の時期にはむしろ遺伝子の多様性は進んでいないということである。これを可能にするために蛋白がいろんな働きに流用されるという説が出されていることが分かった。想像を、逞しくすればこれは睡眠の役割や、種子のような微弱非平衡近閉鎖系の内部で起こっていることと関係している可能性を追求する契機となった。
  • 集団遺伝学の理論からガンは進化過程であることが導けた。
  • 中枢神経系や体節の成立の遺伝的要因が明らかになりつつあり、その報告があった。IPS に必要な三つの遺伝子の一つであるSOX2の発現が脳・神経系の原基の成立と一致すると言う発見の報告があった。
キーワード モデル系、数理モデル、情報の固定化、分岐と非分岐、脳神経系の効果、持続性、転移
研究計画・方法

進化のモデルになりうる可能な実験系を議論し、雛形のアイデアを提案する。細胞分化モデルは引き続き検討する。神経細胞のような機能性細胞がシステムの中で形成される数理モデルを提案し検討する。これらを通じて、生物研究における数理モデルの意義を考える。分岐と弱非平衡の関係、多様性を生み出す数理構造の提案を行いたい。引き続き、植物の進化、発生、種についても専門家を招待して議論する。また、10月15日~18日に京都市コープイン京都にて”What is Evolution? Two Centuries since Charles Darwin’s Birth”の国際会議(組織委員長:京大基研村瀬雅俊氏)を京都大学基礎物理学研究所、京都大学経済研究所と共催したい。高等研の我々の研究会メンバーを派遣したい。

研究会開催予定
第1回:2009年5~6月の2~3日間
第2回: 2009年10月15~18日の4日間(上記国際シンポを京都大学と共催)
第3回:2010年1~3月の2~3日間
参加研究者 24名
津田 一郎 北海道大学電子科学研究所教授・同数学連携研究センターセンター長
池上 高志 東京大学大学院総合文化研究科准教授
石原 秀至 東京大学大学院総合文化研究科助教
伊藤 浩之 京都産業大学コンピュータ理工学部教授
大須賀 公一 神戸大学大学院工学研究科教授
金森 順次郎 国際高等研究所上級研究員/大阪大学名誉教授
河本 英夫 東洋大学文学部教授
菊池  誠 大阪大学サイバーメディアセンター教授
小路田 泰直 奈良女子大学文学部教授
斉藤 朝輝 公立はこだて未来大学システム情報科学部准教授
佐藤  哲 長野大学環境ツーリズム学部教授
沢田 康次 国際高等研究所フェロー/東北工業大学長/東北大学名誉教授
高木 由臣 奈良女子大学名誉教授
時田 恵一郎 大阪大学サイバーメディアセンター准教授
長沼  毅 広島大学大学院生物圏科学研究科准教授
中村 桂子 JT生命誌研究館長
東  正剛 北海道大学大学院地球環境科学研究院教授
藤本 仰一 大阪大学大学院理学研究科特任准教授
古澤  力 大阪大学大学院情報科学研究科准教授
星  元紀 国際高等研究所フェロー/放送大学教養学部教授/東京工業大学名誉教授
四方 哲也 大阪大学大学院情報科学研究科教授
伊藤 孝男 北海道大学大学院理学研究科大学院生
前田 真秀 北海道大学大学院理学研究科大学院生
渡部 大志 北海道大学大学院理学研究科大学院生
話題提供者
金子 邦彦 東京大学大学院総合文化研究科教授
郷  通子 お茶の水女子大学長
時田 恵一郎 大阪大学サイバーメディアセンター准教授
長沼  毅 広島大学大学院生物圏科学研究科准教授
佐藤  哲 長野大学環境ツーリズム学部教授
菊池  誠 大阪大学サイバーメディアセンター教授
郡司 幸夫 神戸大学大学院理学研究科教授
 
研究成果報告書 2011年 3月出版予定