プロジェクトの概要

 

研究プロジェクト

宇宙における生命の総合的考察とその研究戦略

実施期間 2009~2011年度(第1年次)
研究代表者 海部 宣男 放送大学大学院文化科学研究科教授/国立天文台名誉教授
研究目的

宇宙における生命の発生と存在について、新しい科学の流れが生まれようとしている。地球生命の起源と進化の探求、無人探査機による太陽系諸惑星と衛星の探査、そして太陽系外の恒星をめぐる無数の惑星系の発見という3つの分野における研究が、めざましく前進したことによるものである。宇宙における生命の研究は欧米諸国では既に本格化しはじめており、実験・観測・探査と結びついて思いがけない展開を迎える可能性も増大している。宇宙における生命の研究は、ひいては地球上の生命を位置づけなおすものでもあり、21世紀の新しい総合的科学の分野として長期的に発展していくであろう。


本研究プロジェクトは、太陽系内および太陽系外惑星系における生命のさまざまな可能性を、生物学、地球惑星科学、天文学など関連する諸分野の研究者による広く深い討議で探り、分野を超えて総合的な議論と研究を進めて、今後の具体的な探求戦略を検討するものである。同時に、遅れている日本の宇宙生命研究を大学や研究機関において推進し、国際的にも発信してゆく体制の強化を図りたい。

キーワード 宇宙の生命、生命の起源、太陽系の惑星と衛星、太陽系外惑星、研究戦略
研究計画・方法 ① 研究は、以下7人がコアメンバーとなり、適宜専門家を招聘しながら密な議論を戦わせる泊り込み研究会を継続的に開催して、学際的な検討を進め研究戦力を練る。
コアメンバー:
海部宣男(放送大学教授、電波・赤外線天文学)
星 元紀(放送大学教授、発生生物学)
大島泰郎(共和化工環境微生物学研究所長、生命の起源論)
丸山茂徳(東京工業大学教授、地球史)
柴田一成(京都大学教授、太陽・宇宙物理学)
長沼 毅(広島大学准教授、極限環境生物学)
小林憲正(横浜国立大学教授、分析化学・宇宙生物学)
これに加え、主に参加者リスト掲載の関連研究者10数名などが、ほぼ継続的に研究に参加する。また、研究会ごとに課題に応じ適切な方に参加を要請する。

② 年に2回ないし3回の宿泊型研究会を、主として国際高等研究所において開催する。参加者、日数は基本的に各々 2泊3日、20名程度とする。極めて新しくまた分野横断的なテーマであるから、研究会で深めた課題や問題意識を次回までにさらに掘り下げ、あるいは広げて、より深い研究、より高い展望を得てゆけるように計画を進める。

③ コアメンバーは状況に応じてさらに加え増強する。研究会には上記に加え、必要に応じて専門家をお招きする。また海外でこの分野を先進的に進めている研究者を研究会にお招きすることも、来年度以降可能であれば考えたい。

④ 研究期間は、3年間とする。2年度以降に、可能であれば日本学術会議等の後援も得て公開シンポジウムを開催し、検討の成果を広く公開・議論することも考えたい。
報告書とは別に、成果の出版も検討する。

⑤ 第1回研究会は、まず問題の把握と意識の共通化を図り、今後の検討の具体的課題を見出してゆくことを念頭におき、7月17,18,19の3日間、ほぼ以下の内容で行うべく準備中である(プログラムの詳細はなお変更の可能性がある)
第1回研究会「宇宙における生命の研究:レビューと展望」
  • 生物とはなにか?(その概観、違う生物への拡張可能性:大島泰郎)
  • 地球上の生物の起源(山岸明彦(東京薬科大))
  • 「地球型」生物とはなにか(星 元紀)
  • 地球生物の環境戦略(長期・環境変動をどう生延びたか:丸山茂徳)
  • 火星環境と可能な生物(初期環境、氷期:佐々木晶)
  • エウロパの環境と可能な生物(氷の下の深海生命は可能か:長沼毅)
  • タイタンの環境と可能な生物(炭化水素の海と極低温化の生命:小林憲正)
  • 太陽系における生物発生(他の惑星・彗星、全般的条件:井田茂)
  • 太陽系外惑星と生命環境(生物に適した環境の確率:阿部豊)
  • 宇宙文明の探査(現実的な宇宙文明の探査はありえるか:海部宣男)
  • 「アストロバイオロジー・ネットワーク」について:(大石雅寿)
  • 大学等での宇宙生物学研究の推進(それぞれの戦略を含めて:京大(柴田)、阪大(芝井)、東大(須藤)、理研(牧島))
  • 全体討論:日本の宇宙生物学研究とその展望

⑥ これをスタートとして、具体的検討を積み重ねる。目標は宇宙における生命存在の可能性やそのあり得る形態、その探査と研究法に関する検討と理解を進め、今後の研究を推進し、同時に私達地球生命と地球文明を見直すことである。また日本では長期的視点を必要とする研究が育ちにくく、この分野でも欧米にかなり遅れた状況にある。関心を持つ大学や関連研究機関の研究者を招聘し働きかけて、本格的な宇宙生物学の研究体制を強化することも、本プロジェクトの大きな目標の一つである。
研究会開催予定
2009年度:3回開催予定
第1回:7月17~19日(国際高等研にて)
参加(招聘)予定研究者 20名
海部 宣男 放送大学大学院文化科学研究科教授/国立天文台名誉教授(電波・赤外線天文学)
星  元紀 国際高等研究所フェロー/放送大学教養学部教授/
東京工業大学名誉教授(発生生物学)
大島 泰郎 共和化工株式会社環境微生物学研究所長(生命の起源論)
丸山 茂徳 東京工業大学大学院理工学研究科教授(地球史)
柴田 一成 京都大学大学院理学研究科附属天文台天文台台長・教授(太陽・宇宙物理学)
長沼  毅 広島大学大学院生物圏科学研究科准教授(極限環境生物学)
小林 憲正 横浜国立大学大学院工学研究科教授(分析化学・宇宙生物学)
(以上コアメンバー)
山岸 明彦 東京薬科大学生命科学部教授(分子生命科学)
佐々木 晶 国立天文台プロジェクト室教授(固体惑星科学)
井田  茂 東京工業大学大学院理工学研究科教授(固体惑星科学)
阿部  豊 筑波大学理工学群システム情報工学研究科教授(熱流体制御)
須藤  靖 東京大学大学院理学系研究科教授(宇宙論)
芝井  広 大阪大学大学院理学研究科教授(赤外線天文学)
田村 元秀 国立天文台光赤外研究部准教授(太陽系外惑星)
大石 雅寿 国立天文台天文データセンター准教授(電波天文学)
牧島 一夫 東京大学大学院理学系研究科教授/理化学研究所主任研究員(宇宙物理学)
高井  研 海洋研究開発機構極限環境生物圏研究センタープログラムディレクター(惑星環境論)
松野 孝一郎 長岡技術科学大学名誉教授(生命の起源論)
磯崎 行雄 東京大学大学院理学系研究科教授(地球史・生命史)
平林  久 宇宙航空研究開発機構名誉教授(電波天文学)
(以上参加・話題提供者)
なおコアメンバーは、研究の進展に伴い増強を考えるものとする。
研究成果報告書 2012年7月 出版予定