プロジェクトの概要

 

研究プロジェクト

文化財保全技術

実施期間 2006~2009年度(第4年次)
研究代表者 志水 隆一 国際高等研究所上級研究員/大阪大学名誉教授
研究目的

本研究は、同名の日本学術振興会先導的研究開発委員会のメンバーに学界や産業界の専門家の参加を得て、調査研究を推進するプロジェクト(2006~2009年度、委員長:志水 隆一上級研究員)である。


文化財保全については、全国各地の美術館・博物館に展示されている文化財の劣化の急速な進行が報告されている。さらには、より厳密な建築規制を充たしている現代版文化財収蔵庫も例外ではないのではないかと憂慮されている深刻な状況にある。何よりも文化財の劣化を惹き起こしている原因を解明することが焦眉の急であることは言をまたない。


本プロジェクトでは、自然環境下ならびに人工環境下における文化財について劣化原因の実態を把握するために、日進月歩のIT技術を駆使してポータブルな環境センサーや超小型環境(温度、湿度、大気汚染物質)モニターを開発し、実測結果に基づくデータベースを構築することを目指して研究・調査活動をすすめている。さらに、本研究により得られた知見を広くアジア諸国にも展開し、国際協力を推進することも目的の一つである。

前年度までの研究の概要

2008年度は4回の研究会を開催し、2回の分科会専門委員会を開いて、自然環境下(神社、寺院、古墳など)ならびに人工環境下(美術館、博物館など)における文化財保全のための調査及び文化財劣化の実態を把握するための対策を中心に検討を行った。また、国際会議参加を通して文化財保全についての国際協力の推進をはかった。以下、研究会と調査研究活動について記す。


〔研究会〕
  • 第1回研究会(2008年5月29日、国際高等研究所)

  • 講演「カビ指数による環境評価」阿部恵子委員
    「木質系素材の揮発性成分」谷田貝光克委員
  • 第2回研究会(2008年7月14日、弘済会館)

  • 講演「文化財保存科学における生物劣化について」新井英夫東京文化財名誉研究員
    「微生物による石材の劣化について」片山葉子委員
  • 第1回分科会研究報告会(2008年8月29日、京都国立博物館)

  • (1)東大寺に設置したカビセンサーの分析計画について(阿部恵子委員、西山要輔株式会社ソダ工業取締役)
    (2)揮発性有機ガスセンサーの進捗について(島ノ江憲剛委員)
    (3)紫外線フリーのLEDモジュール照明の紹介(西山要輔株式会社ソダ工業取締役)
  • 第3回研究会(2008年11月4日、国際高等研究所)

  • 講演「生産遺跡研究と地域活性化」村上隆委員
    国際会議報告「International symposium on Conservation of Ancient Sites 2008」
    (2008年9月22日~24日,敦煌,中国岩盤力学遺跡保存委員会主催)
    (岩崎好規委員、小泉圭吾委員、鈴木孝仁委員)
  • 第4回研究会(2009年2月28日、国際高等研究所)

  • 講演「アンコール・ワットと国際貢献~カンボジアで人材養成18年~」石澤良昭委員
    分科会活動年次報告(島ノ江憲剛委員、岩崎好規委員、鈴木孝仁委員)

〔調査研究活動〕

2008年度においては、自然環境下ならびに人工環境下における文化財を劣化させる誘因(カビ、大気汚染物質、CO2など)について、その場計測モニターや超小型環境センターを開発して実証実験を展開したい。そのため、必要に応じて外部より専門委員を招き、研究の進展をはかった。

また、東南アジア特に中国との協力研究についても支援策を具体化するため、2008年9月22~24日敦煌で開催された国際シンポジウムに3名の委員を参加させて協議を行った。


  • 神社、寺院の環境保全状況の実地調査(第1分科会)
  • 人工環境下における文化財劣化モニター用小型環境センサーの開発と実地検証(第1分科会)
  • 敦煌莫高窟の文化財保全のための日中協力事業の推進(第2分科会)
  • 文化財保全に関する国際協力研究についての調査(第2分科会)
  • 土壌由来のカビの臭い検出用ion mobility spectrometerの試作と実地検証(第3分科会)
キーワード 文化財保全技術、超小型環境モニター、文化財保全国際協力、カビの臭い検出
研究計画・方法

2009年度においては、自然環境下ならびに人工環境下における文化財を劣化させる誘因(カビ、大気汚染物質、CO2など)について、開発したその場計測モニターや超小型環境センターを用いて実証実験を進め、データベースの構築を目指す。そのため、引き続き必要に応じて外部より専門委員を招き、研究の進展をはかっていきたい。


また、東南アジア特に中国との協力研究についても支援策を具体化していきたい。また、最近ヨーロッパでも大理石のカビによる劣化が問題になってきたので、情報交換をはかりたい。具体的な取り組みは昨年度に引き続き継続・進展させていきたい。以下に列記する。


  • 神社、寺院の環境保全状況の実地調査(第1分科会)
  • 人工環境下における文化財劣化モニター用小型環境センサーの開発と実地検証(第1分科会)
  • 敦煌莫高窟の文化財保全のための日中協力事業の推進(第2分科会)
  • 国際シンポジウム「文化財保全施策」の開催(第2分科会)
  • 土壌由来のカビの臭い検出用ion mobility spectrometerの試作と実地検証(第3分科会)
研究会開催予定 研究会は4回を予定。分科会を4回開催予定。

第1回: 2009年 5月(於 高等研)幹事会、研究会
第2回: 2009年 8月(於 東京)幹事会、研究会
第3回: 2009年11月(於 高等研)国際シンポジウム「文化財保全施策」
第4回: 2010年 2月(於 高等研)幹事会、研究会
幹事会: 研究会と同日に開催
分科会:4回を予定
参加研究者 58名うち学界44名、産業界14名(*幹事)
(JSPS先導的研究開発委員 30名:学界23名、産業界7名)
志水 隆一 国際高等研究所上級研究員/大阪大学名誉教授
石澤 良昭 上智大学長
片桐 正夫 日本大学理工学部教授
北田 正弘 東京芸術大学大学院美術研究科教授
小泉 圭吾 大阪大学大学院工学研究科助教
後藤 敬典 産業技術総合研究所中部センター客員研究員
齋藤 孝正 文化庁文化財部美術学芸課主任文化財調査官・文化財保護調整官
佐野 千絵 国立文化財機構東京文化財研究所保存修復科学センター保存科学研究室長
島ノ江 憲剛 九州大学総合理工学研究院教授
鈴木 孝仁 奈良女子大学理学部教授
竹内 孝江 奈良女子大学理学部教授
田中 健治 名古屋大学名誉教授
谷本 親伯 国際高等研究所招へい研究者
大阪大学大学院国際企画本部サンフランシスコ教育研究センター長・特任教授
寺田 靖子 財団法人高輝度光科学研究センター利用研究促進部門主幹研究員
中桐  昭 製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部生物遺伝資源部門
遺伝資源保存課研究職員
西山 要一 奈良大学文学部教授
二瓶 好正 東京理科大学学長補佐
増子  昇 東京大学名誉教授
松谷 貴臣 近畿大学理工学部講師
村上  隆 京都国立博物館保存修理指導室長
村田 朋美 科学技術振興機構産学連携事業部技術移転調査室プログラムオフィサー
谷田貝 光克 秋田県立大学木材高度加工研究所長・教授
冷泉 為人 財団法人冷泉家時雨亭文庫理事長
石田 英之 株式会社東レリサーチセンター代表取締役副社長
大久保 衛 株式会社ソダ工業技術部主任技師
太田 秀和 株式会社環境総合テクノス環境部担当部長
大堀 謙一 株式会社堀場製作所執行役員
高尾 正敏 国際高等研究所フェロー/前パナソニック株式会社中尾研究所参事
橋本 良夫 新日本電工株式会社技術部長
福島  繁 株式会社島津製作所海外研究拠点支援センター課長
(高等研プロジェクト委員 28名:学界21名、産業界7名)
足立 裕彦 国際高等研究所フェロー/京都大学名誉教授
阿部 恵子 環境生物学研究所長
岩崎 好規 財団法人地域地盤環境研究所常務理事
上野 邦一 奈良女子大学COEプログラム推進室特任教授
上原 正行 社団法人日本建築協会理事
遠藤 宣雄 上智大学アジア人材養成研究センター客員研究員
大谷 隆彦 同志社大学名誉教授
片山 葉子 東京農工大学大学院共生科学技術研究院教授
加藤  寛 鶴見大学文学部教授
木内 正人 産業技術総合研究所ナノテクノロジー研究部門ナノ機能合成グループ主任研究員
合志 陽一 国際高等研究所フェロー/筑波大学監事
重枝  豊 日本大学理工学部准教授
中井 浩二 国際高等研究所フェロー/高エネルギー物理学研究所名誉教授
濱田 信夫 大阪市立環境科学研究所大気環境課研究主任
三浦 定俊 国立文化財機構東京文化財研究所保存修復科学センター客員研究員
吉田  忠 国際高等研究所フェロー/東北大学名誉教授
阿部 榮一 財団法人日産科学振興財団常務理事
小野 元之 日本学術振興会理事長
金森 順次郎 国際高等研究所上級研究員/大阪大学名誉教授
佐藤 壮郎 人事院顧問
丸勢  進 科学技術振興機構JSTイノベーションプラザ東海 総館長
今仲 行一 オムロン株式会社技術本部執行役員常務 技術本部長
小柳 大吾 新日本電工株式会社代表取締役
曽田 勇作 株式会社ソダ工業代表取締役
堀場  厚 株式会社堀場製作所代表取締役社長
松尾  治 松尾捺染株式会社代表取締役
山﨑 舜平 株式会社半導体エネルギー研究所代表取締役
吉田 多見男 株式会社島津製作所取締役技術研究担当
研究会の進展によっては、1~2名の新しい専門委員の参加も考えられる。
研究成果報告書 2010年 3月出版予定