プロジェクトの概要

 

研究プロジェクト

次世代情報サーチに関する総合的研究

実施期間 2007~2009年度(第3年次)
研究代表者 田中 克己 京都大学大学院情報学研究科教授
研究目的

インターネット上の情報を検索する検索エンジン(以下,サーチエンジン)は、すでに、社会・教育・文化・産業などあらゆる面での重要な情報基盤となっており、老若男女、広く日常生活で利用するようになっている。実際、Google, Yahooなどの商業的サーチエンジンの利用が広がっている。(株)インタースコープの調査によれば、サーチエンジンの利用度はテレビ並に高く、新聞を追い越しており、利用者の信頼度も高い。また、10代など低年齢化するほど、いわゆるWeb2.0コンテンツと言われるブログやユーザ同士の質問応答コンテンツ等に対する信頼感が高く、危険を含んでいる。


一方、これらの商用サーチエンジンは、キーワード売買、広告連動、ホームページのサーチエンジン最適化(SEO)技術が進展し、その商業化傾向が近年特に顕著である。実際には、サーチ結果やランキング結果の信頼度は、利用者の期待ほどは高くは無いのが実態である。サーチエンジンの一般普及に伴い、家庭の調べ物(例えば家庭医学など)から学術研究まで、サーチエンジンが使われているが、商業的なサーチエンジンをむやみに信頼するのは危険性が大きい。さらに、知財問題や個人情報の扱いに関しても、現在の商業的サーチエンジンは問題を含んでいる。また、消費者の観点からも、近年、インターネットによる商品購入が、全世代的に広がり高齢者層も利用者が増えているとの報告もあり、商品購入につながるWeb広告コンテンツには誇大広告や消費者を惑わせる広告コンテンツも多い。


本研究では、「次世代のサーチエンジンを社会を支える情報基盤ととらえて、これに関する技術や社会制度・法制度などは、どうあるべきか」を、情報技術の立場のみならず、知財管理、ビジネスモデル、サーチ情報の信頼性、個人情報によるサーチのカスタマイズの是非、サーチエンジン運営者の法的責任、メタデータと知的財産権、キーワード・バイと商標権,画像サーチと著作権、キャッシュと著作権、サーチエンジンに関するビジネスモデル特許、教育におけるサーチエンジン活用の諸問題、サーチエンジンと広告のあり方、学術情報とサーチエンジンなど、様々な観点から検討を行い提言する。

前年度までの研究の概要
  • ワークショップの開催

  • 平成20年7月16日(水曜)21時~23時、および7月17日(木曜)9時~17時に兵庫県立淡路夢舞台国際会議場において、次世代情報サーチに関する技術と制度の総合的研究ワークショップを開催した。その主な内容は、次世代情報サーチのための情報リテラシー調査(原良憲・山川義徳(京都大学))、マルチメディア情報の信憑性検証技術(浅野泰仁・馬強・吉川正俊・中村聡史・アダムヤトフト・田中克己(以上、京都大学)、角谷和俊・湯本高行・李龍(以上、兵庫県立大学))、Webテキストの信憑性検証技術(大島裕明・田中克己(以上、京都大学)、河合由起子・中島伸介(以上、京都産業大学)、稲垣陽一((株)きざしカンパニー)、Webコンテンツの信憑性検証技術の実証プラットフォームの在り方(岡本眞(ヤフー株式会社))であり、また、谷川英和弁理士(IRD国際特許事務所)には、上記の発表内容に関して、知的財産権の立場から知見・意見を出していただいた。
  • Webサーチエンジン利用に関するインターネット調査・分析

  • 平成20年2月に実施したWebサーチエンジン連動広告やアフィリエート広告に対するユーザの利用頻度や信頼性に関する意識調査、Webコンテンツに関する信頼度・信憑性調査(平成20年度9月に別経費で実施)などの分析を行い、提言および報告作成のための基礎データを得た。
キーワード 検索エンジン,インターネット,情報の信頼性・信憑性,知的財産権,ビジネスモデル
研究計画・方法

情報技術、ビジネス、社会制度、知財、教育、文化などの多様な側面から、サーチエンジンの将来のあるべき姿を検討・提言する文理融合的な研究を推進し、年3~4回程度、ゲスト講師を招聘して討論会やワークショップなどを開催する。また、本件に関するインターネット調査を1000人規模で実施する。なお、本研究は、提案者の田中が行っている文部科学省科研費特定研究「情報爆発」、提案者の田中が拠点リーダをつとめる京都大学グローバルCOEプログラム「知識循環社会のための情報学教育研究拠点」,情報信憑性検証技術に関する情報通信研究機構委託研究などと連携しながら推進する。

研究会・ワークショップ開催予定
第1回(ワークショップ): 2009年 5月 (於 高等研)
第2回(ワークショップ): 2009年 11月 (於 京都大学)
第3回(討論会): 2010年 1月 (於 高等研)
参加研究者 9名
田中 克己 京都大学大学院情報学研究科教授
原  良憲 京都大学経営管理大学院教授
北川 善太郎 国際高等研究所フェロー/京都大学名誉教授
谷川 英和 IRD国際特許事務所長(京都大学情報学研究科非常勤講師)
宮脇 正晴 立命館大学法学部准教授
角谷 和俊 兵庫県立大学環境人間学部教授
河合 由起子 京都産業大学コンピュータ理工学部講師
岡本  真 ヤフー株式会社検索事業部企画部企画3チームリーダー
森  正弥 楽天株式会社技術研究所所長
話題提供者 海外2名
Marie Iding教授 (University of Hawaii, USA),
("A Metacognitive Approach to Credibility Determination")
Richard Chow博士 (Palo Alto Research Center, USA)
("Detecting Reviewer Bias through Web-Based Association Mining")
研究成果報告書 2009年度中出版予定