プロジェクトの概要
| 研究プロジェクト | 数量的アプローチによる日本経済の比較史的研究 |
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| 実施期間 | 2008~2010年度(第3年次) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 研究代表者 |
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| 研究目的要旨 | 短期的な経済的パフォーマンスに規定されて、日本経済・産業に対する評価を変化させるのではなく、国際比較と数量的分析を主軸として世紀単位の長期的な視野から日本経済・産業の特質を分析する。マクロ分析だけでなく、ミクロ主体の戦略的な行動、経済・経営主体と市場を中心とした諸制度との関わり、技術・熟練形成、生産性と教育といった諸問題に切り込み、日本経済・産業の特質を考察し、そこから歴史的アプローチによる政策的インプリケーションについても検討する。 |
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| 研究目的 | ① 背景:
二度の石油危機を乗り越えて1980年代には海外市場、とくに欧米市場で強靱な国際競争力を発揮した日本経済は、80年代後半のバブル経済をへて1990年代に入ると一転して「失われた10年」を経験することになった。それまで日本経済・日本産業の強靱性の根拠とされてきた日本型経済システム・日本型企業システムも一転して厳しい批判の対象となり、90年代後半から次第に顕在化し、21世紀に入ってからは日本型経済システム・日本型企業システムの見直し=「構造改革」が大きな政策目標となった。さらに進んで現在はまた「構造改革」の行き過ぎが問題となり、雇用不安を背景にして日本型経済システム・日本型企業システムへの再評価が強まっている。 以上のようにこの30年、日本経済・日本産業に対する評価は激しい振幅を示してきた。しかし、眼前の経済的パフォーマンスに規定されて、自国経済に対する評価を変化させるのではなく、今こそ近現代における日本経済の経験を国際比較と数量的把握という二つの軸を中心として広い視野から検討することが必要である。そうした作業を経ないかぎり、何時までたっても私たちは自国経済・産業に対する確固たる視点、それに基づいた政策意識・メニューを持つことができないように思われる。 ② 必要性:数量経済史的アプローチはマクロ面での分析で画期的な業績を挙げてきた。その成果を継承しつつ、経済主体と市場・諸制度の関わり、経営主体の戦略的行動、技術・熟練形成、生産性と教育といった主としてミクロ面での数量分析に新境地を開拓したい。例えば、従来から日本経済・産業の生産性の動向に関してはさまざまな議論が展開されてきたが、100年を超える国際比較に基づいた厳密な生産性分析は例がない。日本産業の生産性を規定する短期的・長期的・制度的諸要因の分析を通して、マクロ分析のミクロ的基礎についても新たな知見を得たい。 ③ 方針:政府の役割、取引制度、家族制度と労働供給、市場と内部組織、技術・熟練形成、生産性と教育といったトピックスを中心に長期的視野から国際比較を行い、日本経済・産業の特徴を定量的・定性的に明らかにする。そうした作業を前提にして歴史的アプローチからいえる政策的インプリケーションについてもまとめてみたい。 |
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| キーワード | 数量経済史、経済成長、日本経済、技術・熟練形成、経済政策、生産性 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 参加研究者リスト(19名) |
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| 2010年度 研究活動予定 |
① 研究会開催予定:
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| 研究活動実績 | 2008年度:
本2008年度は9月高等研での夏季コンファレンス(8報告)を中心に、その後12月と2009年3月に準備研究会をそれぞれ東京(東京大学社会科学研究所、2報告)と大阪(大阪大学大学院経済学研究科、3報告)でおこなった。コンファレンス報告においては、主に①マクロ・レベルでみた日本経済(とりわけ農業部門の成長推計)②広義の企業経営に関する多角的な分析(生産性推計、労務管理・技術開発の実証、企業家論)③家族史(家族経済史、小農・農家経営など)の3方面から分析がおこなわれた。これらは総じて、持続的成長における制度と技術、ならびにマイクロ・レベルの経済主体における戦略の重要性を指摘・実証するものであった。このコンファレンスの内容を補完し、あわせて研究上の視野の拡大をはかるため、東京ならびに大阪での準備研究会で計5本の研究報告をおこなった。東京での研究会では、わが国近代移行期についての事例研究を積んだ。すなわち、これまで本研究プロジェクトではあまり取り上げられてこなかったわが国財政制度の初期時点での形成について、外国人研究者により比較史的観点から報告があった。また、日本経済史の重要テーマである在来産業の長期的な発展を概観した。大阪での研究会でも、日本経済史の個別テーマについて実証的な研究が報告された。地場の絹織物産業の近代化に関して制度史的視角を鮮明にした研究、戦間期中小規模金融についてのデータ発掘、ならびに特定企業における昇進システムの内部資料を駆使した詳細な分析であり、それぞれに厳密な史料解析にもとづく数量的分析であった。これらにより、近代初期日本における経済システムについてさらに多面的な分析を揃えることができ、その特質のひとつといえる制度的多様性・柔軟性に関する基礎的理解を得た。 研究会開催実績:第1回: 2008年9月3日~4日 (於:高等研) 第2回: 2008年12月13日 (於:東京大学) 第3回: 2009年3月8日 (於:大阪大学) 話題提供者:9名
2009年度: 2009年度は定例の高等研での夏季コンファレンスを実施した。コンファレンスは3セッション・9報告で構成された。(1)第1セッション「社会経済史・経営史の達成と展開」(9月2日)では最近の社会経済史の分野で公刊された主要な成果を著者が報告し、数量経済史的観点からの議論がなされた。アメリカ合衆国とわが国とにおける効率的な生産工程の成立に関する実証的検討である和田一夫報告については生産性・効率性の観点等からのコメント、北朝鮮経済の対日関係に関する木村光彦報告については技術移転史・技術開発史について等のコメント、19世紀後半イギリス製鉄工業地域に関する安元稔報告に関しては人口移動と労働市場を対象とする比較史的コメント等が、それぞれくわえられた。(2)9月3日の第2セッション「“技術開発の社会経済史”にむけて;ドイツ語圏を中心に」では19世紀ドイツを対象に、知識伝播と技術開発が経済成長にいかなる影響をあたえたかを確認する「技術開発の社会経済史」として、教育社会史の観点からの整理と鉄道史に関するケース・スタディが提示され、ドイツ史にとどまらない一般的な議論がおこなわれた。(3)第3セッション「地域と空間の経済史」では生産組織、制度や産業集積に着目した実証研究3本が報告された。戦前期日本の県内総生産に関するマクロ的分析を除いては、それぞれ東京、青森など特定地域の独自の経済発展に着目したものであった。 総じて、何らかの意味で効率性を高める組織の存在を議論の前提に、そこにおける「知識」「情報」の役割に言及する実証成果が多く、今後の研究方向のひとつの可能性を確認したといえよう。 2010年3月8日の研究会では、「江戸土地市場のファンダメンタルズとバブル」(鷲崎報告)と「水系感染症データからみる都市生活-戦間期東京を中心として」(永島報告)の2報告が行われ、土地売買・賃貸市場分析の課題、感染症データの問題点などについて議論が交わされた。 研究会開催実績:第1回:2009年9月2日~3日(於:高等研) 第2回:2010年3月8日 (於:東京大学) 話題提供者:10名
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| 研究成果報告書 の出版 |
2012年3月出版予定 |
