プロジェクトの概要
| 研究プロジェクト | 文化財保全技術 |
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| 実施期間 | 2006~2010年度(第5年次) | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 研究代表者 | 志水 隆一 国際高等研究所フェロー/大阪大学名誉教授 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 研究目的要旨 | 残念な事に、我が国では直接経済発展に結び付かない文化財への配慮は限定的であり「文化財保全」を推進するためには特定の技術開発では不十分である。「少ない専門家」と「少ない公的予算」という2つの壁を超える発想と工夫が必須であって、これがないと地域のBゾーン(国や地方公共団体によって充分保護管理されていない文化財環境)対策にはならない。 国際高等研究所研究プロジェクト「文化財保全技術」(2006~2009FY)の中で第一分科会が取り組んできたBゾーン周辺の環境調査研究を、カビ発生・成長条件(カビ指数評価)に絞り込み深化させる一方、地域が主体となってBゾーンの文化財保全を推進できるモデルを提案したい。そのため、一年間の期間延長を申請するものである。
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| 研究目的 | ① 背景:
ここで対象とする文化財は建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとって歴史上又は芸術上価値の高いものである。また文化財の内
Bゾーンは上記(3)が主たる対象であるが、寺社によって(2)の一部も対象となる。しかし、管理が行き届いているはずの上記(1)、(2)の文化財を管理する博物館・美術館・収蔵庫においても、(イ)空調機による温・湿度変化が文化財の長期保護に適切ではないことが確認され対策の検討が始まっており、(ロ)調査・研究・管理に携わる専門家や学芸員の数が限られ該当する予算も充分ではないため、文化財の褪色、カビなど微生物による侵食・形状劣化、錆び化、亀裂発生・破損などの劣化が進んでいる。また(ハ)環境調査や環境モニタリングが行われている場合も、代表拠点の定点観測にとどまり、最も重要な局所の環境が把握されていなく(二)最近のIT技術、センシング技術、解析技術など科学技術の進歩が未だ文化財保全に充分生かされていないのが現状である。 ② 必要性:調査研究計画は東近江市文化財保護課と連携する必要があり、すでに現地を訪問し市の担当係長、埋蔵文化財センターの係長と大まかな打ち合わせは行っているが、詳細な計画はこれから立案する。文化財環境調査は主としてカビ指数評価(温・湿度測定を合わせ行う)で実施し、場合によって小型携帯TVOC検出器による環境測定も行う。
第一期の「文化財保全研究」(2006~2009FY)の中で第一分科会として得られた成果は、
本調査研究では、まず研究環境のくくり方をマクロ(東近江市の地域)とミクロ(特定寺社の文化財環境)とに区分けして、まず文化財のこれまでの劣化調査結果とマクロ環境との関係性を大づかみし、次に特定文化財のカビ指数評価を行うことにより地域Bゾーンの文化財保全モデルを構築する。また調査研究を推進する過程で運よく外部資金を獲得できれば、小型環境計測器と温・湿度多点同時計測法を用いて環境の総合評価をめざす。 |
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| キーワード | 文化財保全、地域環境、局所環境、カビ指数評価、温・湿度センサー、ポータブルMVOCセンサー | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 参加研究者リスト(15名) |
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| 2010年度 研究活動予定 |
① 研究会開催予定: 第1回:2010年 6月 (於:高等研) 第2回:2010年12月 (於:高等研) すべて日帰り。 ② 話題提供者: 広域情報(どの領域でも良い)をワイヤーレスに集約する技術の専門家、マクロ環境とミクロ環境の動的挙動に詳しい専門家 |
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| 研究活動実績 | 2006年度:
本研究は、「過去」という時間を内在させた文化財が持つ「歴史・文化教育効果、異文化とのネットワーク効果、社会的遺伝子(文化や技術の伝承など)効果」に着目して、「文化財保全技術研究」を「文化財マネジメント」という全体の推進エンジンの中に位置づけ、新たな異分野ネットワークと新たな観点に立った保全技術の推進を基盤とするものがある。具体的には(1)ポータブルで比較的安価な高感度環境センシング技術の開発と、文化財周辺での実地検証による有用性の確認を、そして(2)アジア諸国の文化財保全課題を把握する調査研究に絞り、中長期的に国際協力に積極的に関わっていくことを目的とするものであり、(1)は現在注目されている文化財の黴発生に焦点を当て、①黴・湿度センサー分科会、および②微粒子・微量ガスセンサー分科会を構成し検討、(2)では①アジア・中東の文化財保全技術に共通な課題抽出を行ない、今後の研究への布石を打つことを考慮するものである。このため、2006年度は委員各々の実績に基づく今日的課題(例えば金属の錆び発生と伝播)についての話題提供と討議を行った。同時に東京・奈良文化財研究所の専門家と接触して課題把握に務めた。 研究会開催実績:
2007年度: 第1分科会(村田主査):Bゾーン(一燈園と長楽寺)における文化財収蔵庫の環境についての実地調査に着手し、その第一報を連絡会で報告した。このようなBゾーンの文化財収蔵庫において、カビが発生する可能性が大きいことが指摘された。 第2分科会(谷本主査):2008年9月22~24日、敦煌で開催される「遺跡保存科学に関する国際シンポジウム」についての紹介があり、小泉幹事が日本側の参加をつとめる旨のアナウンスがあった。本委員会からの積極的な参加を呼びかけている。また、アンコール・バイヨン寺院の修復における地盤工学からの実地調査について、岩崎委員より詳細な報告があった。 第3分科会(鈴木主査):古墳由来のカビ、微生物の実地調査報告があった。また、カビ臭の検出について、ガスクロマトグラフィーを用いた予備実験についての検討結果が報告された、特に土壌由来のカビについては、未知に等しい領域で、学問的にも非常に意義のある研究として、その発展が期待される。また、JSTの先端計測機器開発プロジェクトの一環として大久保委員が中心となって進めている「カビ臭検出用-Ion Mobility Spectrometer」の開発も順調に進展している。2008年9月には試作器実験にはいる予定。 研究会開催実績:
2008年度: 本年度は4回の定期研究会と3回の分科会専門委員会を開催した。活動内容は下記のとおりである。 〔第1分科会〕
第1分科会:「いのちのたび博物館」(北九州市)と「冷泉家収蔵庫」(京都市)について、TVOCやカビセンサーを用いて、環境実地調査を実施した。特に、今後のカビセンシング技術のあり方について貴重な指針を得た。 第2分科会:日本学術振興会-国際高等研究所共同主催国際シンポジウム「文化遺産保全技術」(JSPS-IIAS Joint International Symposium on Conservation Technology for Cultural Heritages, 国際高等研究所,2009年10月29 日~30日)を開催した。海外から3名の専門家を招いて、約60名の参加者を得て、2日間に渡り活発な討議が行われた。また、80ページのproceeding(英文)を刊行し、関係省庁に配付した。 第3分科会:ガスクロマトグラフィーによる土壌由来のカビの臭いのデータベース構築に着手した。また、試作中のIon Mobility Spectrometerの総合特性評価を行い、引き続き、感度向上への改良を重ねているところである。 研究会開催実績:
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| 研究成果報告書 の出版 |
2011年3月出版予定 |
