2012年度のプロジェクトの概要
| 研究プロジェクト | 宗教が文化と社会に及ぼす生命力についての研究 |
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| 研究代表者 | 天野 文雄 国際高等研究所副所長 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 研究目的要旨 | 宗教は信仰という人々の精神活動の実践を中心とするが、それにはまた、半ば必然的に、「思想」と呼びうる側面が濃厚に備わってもいる。その「思想」は人々の信仰を深めるだけでなく、かつては同時代の文化や社会にも小さからぬ影響を及ぼしてきた。本研究プロジェクトは、そうした宗教の持つ「思想」の力を「生命力」と呼び、それが文化や社会にいかなる刺激を与え、新しい文化や社会の創出に寄与したかを、日本中世(鎌倉、室町時代)の禅を例に考究しようとするものである。日本中世において、禅から刺激を受けた分野は広範にわたるが、本プロジェクトでは、美術(絵画、彫刻、書)、芸能(能、狂言、茶)、文学(和歌、連歌、漢詩文)、建築、政治といった分野ごとに、禅の「生命力」と新しい世界の発見、開拓について、これまでの研究史を整理し、それをふまえて、新しい知見を提示し、概して手薄だったこのテーマを掘り下げて、右の各分野に新しい視点を導入しようとする。 |
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| 研究目的 | ① 背景:
研究代表者は能楽(能と狂言)の歴史的研究や演劇的研究を専門として、長年、能楽の研究に携わってきたが、その過程で、能の大成者たる世阿弥の制作になる能やその能楽論に禅が深いレベルで影響を及ぼしていることを知り、さらに、そのような現象が世阿弥や能だけではなく、絵画、書、彫刻等の美術、和歌、連歌、漢詩等の文学、茶等の芸能、作庭、建物等の建築といった芸術諸分野、さらには思想、政治、欧米の現代をも含めた社会生活にも認められることに想到して、禅の持つ「芸術や社会を触発する力(本研究では「生命力」と呼ぶ)について、その諸相を究明する必要性を痛感するにいたった。 ② 必要性:細分化が加速度的に進行している現代の人文研究にあって、最も求められているものといえば、たとえば「何のための研究か」という巨視的な視点からの問いかけがあろう。本研究が解明しようとしているような禅の持つ力については、上記の各分野においても多かれ少なかれ考究されてはいるが、それには巨視的な視野がなく、ために上記各分野の禅にかかわる研究においては、ある常識的な理解に安住する結果になっているのではないかと思われる。そのような状況が本研究によって変えられることによって、上記各分野の研究が思想というレベルで深められることが期待される。 ③ 方針:本研究では、上記の人文・社会学諸分野における「禅の生命力」の実態を整理・総括して、それを各分野における共通認識とすることを目標とする。そのためには、上記各分野の第一線で活躍している研究者による、当該分野における最先端の報告が不可欠となる。 |
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| キーワード | 禅、生命力、世阿弥 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 参加研究者リスト 19名 |
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| 2012年度 研究活動予定 |
① 研究会開催予定:
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| 研究活動実績 |
2010年度:
2010年度は、下記のように、予定通り2回の研究会を開催した。本プロジェクトはきわめて多様な分野の研究者で構成されているが、その点を考慮して、今年度は、参加研究者全員が各分野の禅との関係についての研究状況を報告し、次年度以降の各メンバーによる新しい研究のための共通認識を醸成した。その結果、参加研究者は「禅」をめぐる、まことに新鮮な知見を豊富に得ることとなり、新しい学術の萌芽という感触をメンバー全員が持ったと思われる。多くの参加者からは、「たいへん有意義な研究プロジェクト」という評価をいただいているが、代表者も同じ手ごたえを感じている。そのことは、2回の研究会で、欠席者が1人も出なかったこと、「その他研究者」が比較的多かったことが端的に物語っていよう。 研究会開催実績:
2011年度は予定どおり、2回の研究集会を開催した。初年度である2010年は、参加研究者が属する、美術、歴史、建築、文学、演劇各分野における、禅とのかかわりをめぐる研究状況の報告を中心として、本プロジェクトの基盤固めを行ったが、それを受けて、2011年は、各参加研究者による新しい研究成果の報告がなされた。報告は参加研究者全員が行ったが、2人のゲストスピーカーの講演とあわせ、各分野における、新しい視点、新しい発想という点で貴重な成果がえられた。また、メンバー以外の参加者も広がりをみせており、その点も、本プロジェクトの意義を物語っている。 研究会開催実績:
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