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第39回 けいはんな「ゲーテの会」

開催概要

日本の未来を拓くよすが(拠)を求めて-日本の近代化を導いた人々の思想と行動、その光と影を追う-「西の文化」の彼方に「東の文化」を構想した人物

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思想・文学

天地の人・三浦梅園

【講演者】
小川 晴久東京大学名誉教授、梅園学会代表委員(会長)
【講演者経歴】
東京大学名誉教授。梅園学会代表委員(会長)。1941 年愛知県岡崎市に生れる。
東京大学大学院人文科学研究科中国哲学専門課程博士課程単位取得退学。東京女子大学、東京大学、二松學舍大学にて教鞭をとる。専門は東アジア思想史。
主著に『三浦梅園の世界』、『朝鮮実学と日本』、『南の発見と自立』、『実心実学の発見』(編著)、『北朝鮮の人権問題にどう向き合うか』など。
【講演要旨】
人は天地の人、道は天地の道、善悪は天地の善悪、是非は天地の是非。
三浦梅園(1723~1789)は10歳以前から天地(自然)の現象に目をみはり、その仕組みに関心を持ち続けた。23歳の時長崎旅行や『天経或問』と言う書を通して地の球体を知るが、西洋も天地の仕組みは未解明と感じ、探究を続け、30歳の時「気に観るあり、天地に条理あるを知る」と達観して、「一即一一、一一則一(一有二、二開一)」という条理と反観合一法という認識法で天地の仕組みの叙述を始め、23回書き直し、23年掛けて『玄語』(漢文)という書に完成させた。『玄語』の天冊は天神、本神などの条理語で構成され、難解を以て知られる。
7年後の梅園生誕300年に向けて、その難解な所を解明しようと梅園学会(41年目を迎える)は昨年からそれに集中しているが、本講演では梅園の天人の分と天人の合の視点と彼の人間観を紹介する。人間は自然(天)の一部であるが、人間には意識があって、無意の自然(天)とは違い(分)がある。この分は人間の能動性という肯定面を持つが、人間の主観で全てを見るという否定面を持つ。「其うたがひあやしむべきは変にあらずして常の事也」という有名な彼の懐疑精神は、人間中心の認識全てに向けられていた。梅園は人間を「人道を以て人と為る」側面と「天道に順(したが)って人と成る」側面の統一と見たが、現代人は後者の側面がほとんど理解できなくなっている。
開催日時
2016年9月16日(金)18:00〜20:30
開催場所
公益財団法人国際高等研究所
住所
京都府木津川市木津川台9丁目3番地
参加費
2,000円(交流・懇談会費用を含む)
定員
40名(申し込みが定員を超えた場合は抽選)
締切
2016年9月13日(火)必着