プロジェクトの概要
研究プロジェクト | 天地人 |
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実施期間 | 2009~2011年度(第3年次) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
研究代表者 | 尾池 和夫 国際高等研究所長 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
研究目的要旨 | 人工衛星をはじめとする最近の宇宙・地球観測技術の発展は目覚しく、宇宙の構造や地球の変動についての新しい情報が日々更新されつつある。これらの科学成果の最先端の情報は、専門家以外には知る機会も少なく、また細分化・先鋭化されたこれらの情報を断片的に伝えられても、専門外の人々にはそれが人間社会の活動とどのように関わってくるのか考えにくい。このプロジェクトでは、宇宙科学(天のグループ)及び地球科学(地のグループ)の専門家が、それぞれの分野の先端的研究を自然科学とは比較的縁遠い人間社会の各分野で活躍している非専門家(人のグループ)に分かりやすく説明し、理解を得るとともに、人間社会との関わりを考慮に入れた「天・地」の先端研究の在り方について議論を深めることにより、個々の情報(Information)を確固たる知識(Knowledge)に変え、「天地人-三才」の新しいリテラシーの創造を目指す。「三人よれば文殊の知慧」ではないが、「天・地・人」の異分野交流によって、社会的意義のある新たな価値の創造-イノベーションにつながると期待できる。 |
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研究目的 | ① 背景:
人工衛星や惑星間ロケットを含む最近の宇宙・地球観測技術の発展は目覚しく、宇宙の構造や地球の変動についての新しい情報が日々更新されつつある。しかし、これらの科学成果の最先端の情報は、専門家以外には知る機会も少なく、また細分化・先鋭化された情報を断片的に伝えられても、専門外の人々には、それが人間社会の活動とどのように関わってくるのか、分かりにくいという背景がある。その一方で、専門家の側では、非専門家との間の交流の場が不足していることもあって、個々の研究と人間社会との関わりについて考える機会が少なかった。研究予算が大型化していくなかで、先端的研究の推進には広範な人間社会の理解と支援が不可欠であり、そのためのアウトリーチの必要性が次第に認識され、有効なアウトリーチの方法が模索されている。 ② 必要性:このプロジェクトでは、宇宙科学(天のグループ)及び地球科学(地のグループ)の専門家が、人類の財産である先端研究の研究成果を、自然科学とは比較的縁遠い人間社会の各分野で活躍している非専門家(人のグループ)に、分かりやすく説明し、研究内容を理解してもらう。その過程で、専門家の間では普通に使われている学術用語や言い回しが、非専門家にどれだけ理解されているかを把握することが必要である。その経験を踏まえて、専門家の側は、非専門家にも受け入れられるようにアウトリーチの方法を改善する。また、人のグループのメンバーにも講演をお願いし、人間社会との関わりを考慮に入れた21世紀にあるべき宇宙・地球科学はどのような姿なのかを検討する。この広範な議論を通じて、「天地人」を融合した新しい学術の芽を見出すことが期待され、それを今後の研究開発計画に取り込むことに意義がある。 ③ 方針:人間社会との関わりを考慮に入れた「天・地」の先端研究の在り方について議論を深めることにより、個々の情報(Information)から確固たる知識(Knowledge)を見つけ出す。さらに、「人」のグループを含めた多彩な講演と議論を通じて、「天地人-三才」の新しいリテラシーの創造を目指す。「三人よれば文殊の知慧」ではないが、「天・地・人」の異分野交流によって、社会的意義のある新たな価値の創造-イノベーションにつながると期待できる。人類が直面している時代的、社会的背景に由来する諸課題にどのように対処していくのかを考えつつ、21世紀にあるべき宇宙・地球科学はどのような姿なのかに迫る。特に本年度(最終年度)の研究会では、これまでの講演と討論を総括的に振り返り、「人」のアイデアを活かした「天・地」の新しい学術の芽を見出すことを目的とする。 さらに、2010年度には日本測地学会と共催で、地球に関心を寄せる学生・院生を対象としたサマースクール「地球のささやきに耳をすませて」を国際高等研究所において開催したが、2011年度にも関連学協会・研究機関等との積極的な連携を図り、次世代の学術研究の新しい芽を育てるために、日本天文学会・東京大学宇宙線研究所などと協力して重力波に関する若手研究者の教育研究集会を開催する予定である。 |
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キーワード | 宇宙、地球、人間社会、天地人 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
参加研究者リスト23名 |
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2011年度 研究活動予定 |
① 研究会開催予定:
武田時昌・京都大学人文研究所・教授 専門分野 中国科学史・科学思想史 このほか、「天地人」の宇宙科学・地球惑星科学における「研究萌芽の創出」に向けたアイデアを他分野から提案してもらうために、もう1名の話題提供者(国内)を選考中である。 |
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研究活動実績 | 2009年度:
2009年度に3回の研究会を実施した。第1回研究会は、6月2~3日に国際高研研究所で開催され、代表者による趣旨説明、メンバーの自己紹介のあと、①日本測地系の変遷-身近な測地学から(竹本修三)、②宇宙の始まりと終わり ―私たちはどこから来てどこへ向かうのか ―(杉山 直)、③有珠火山研究の地球物理学的アプローチ(岡田 弘)の3者による話題提供があり、オブザーバーを含めて23名の出席者の間で活発な討論が行われた。第2回研究会は、9月1~2日に国際高研研究所で開催され、18名の出席のもとで、①地球科学展望-地球内部を覗く(鳥海光弘)、②地球の生命進化と宇宙環境(福島登志夫)、③重力波検証への挑戦(坪野公夫)の3つの話題提供とそれに対する討論が行われた。第3回研究会は、12月1日~2日 に東京都美術館で開催され、①海洋研究開発機構(JAMSTEC)の目ざすもの(今脇資郎)、②科学の進歩と真相究明-DNA鑑定と裁判(押田茂實)、③「冷泉家 王朝の和歌守展」について(冷泉貴実子)の話題提供が行われ、オブザーバーを含めて23名が出席し、広範な議論が展開された。なお、研究会終了後、東京都美術館で開催中の「冷泉家 王朝の和歌守展」を見学し、本研究会でたびたび話題になった1054年のかに星雲の超新星爆発を記録した藤原定家の『明月記』の実物を直接見ることができて、参加者一同感慨を新たにした。 研究会開催実績:第1回 2009年6月2日~3日 (於:高等研) 第2回 2009年9月1日~2日 (於:高等研) 第3回 2009年12月1日~2日 (於:東京都美術館) 2010年度: 2010年度には2回の研究会を実施した。第1回研究会は、6月8日~9日に国際高等研究所で開催され、代表者による開会挨拶(尾池和夫)及び事務連絡(竹本修三)に続いて、① 地下から天をみる(鈴木洋一郎)、② ダイヤモンド号で行く地底旅行~地球(テラ)の中へ~(入船徹男)、③ Effective Communication of Natural Hazard Information -自然災害情報の効果的な伝え方(MORI James Jiro)の3者による話題提供があった。神岡地下実験設備を用いて行われている宇宙科学研究、愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センターの超高圧実験装置で明らかにされた地球深部構造、国内外の自然災害情報の効果的な伝え方について、17名の出席者の間で活発な討論が行われた。 第2回研究会は、12月13日~14日 に京都市の冷泉家時雨亭文庫で開催され、オブザーバーを含めて25名の出席のもとで、① 明月記と現代天文学(小山勝二)、② 人からみた天と地(竹宮惠子)、③ 京都の文化と科学(尾池和夫)の3つの話題提供とそれに対する討論が行われた。さらにメンバーである冷泉貴実子氏の案内で冷泉家の内部を見学し、京都の学術発展を支える歴史的背景の奥深さを認識した。 また、9月8日~11日に日本測地学会と共催で、地球に関心を寄せる学生・院生を国際高研研究所に招き、現在の測地学者が日々取り組んでいる最新の研究に触れるとともに、重力測定などの実習を通して測地学的な考え方を学ぶサマースクール~地球のささやきに耳をすませて~を実施した。日本全国の大学から国際高等研究所に集まった学生は16名、その内訳は1年生を含む大学生が8名、修士課程の大学院生が8名であり、大学別では北大3名、東北大1名、山形大1名、東大1名、横浜市立大1名、富山大1名、金沢大1名、東海大1名、三重大1名、京大4名、神戸大1名であった。参加学生は、3泊4日の日程で測地学の講義・実習を受けつつ、普段は接する機会のない他大学の学生達や講師らとの交流を深めていくことができた。新たな試みであったが、学術の「芽」を育む方向で効果があった。サマースクールの概要は、2010年9月発行の高等研ニュースレター73号に掲載されている。 研究会開催実績:第1回 2010年6月8日~9日 (於:高等研) 第2回 2010年12月13日~14日 (於:冷泉家時雨亭文庫) サマースクール 2010年9月8日~11日 (於:高等研)(日本測地学会と共催) 話題提供者:1名
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研究成果報告書 の出版 |
2012年7月出版予定 |