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2022年春季IIAS塾ジュニアセミナー

当日の様子

3月26日(土)午後1時開講。開講式の後、第1日目のグループ討議。分野は思想・文学(講師:藤田先生)。経済至上主義的社会の下で欲望に執着した生き方と、欲望に囚われない生き方(「いき」の類型としての「諦め」)がある。「いき」とは、目的を持たないそれ自体を楽しむ(自律的遊戯)を本質とするなど、「いき」を巡って、その探究が続きました。
3月27日(日)、第2日目のグループ討議。午前9時30分から政治・経済分野の学習(講師:奈良岡先生)。現代の戦争においては、以前にも増して「軍事」とともに「情報」が大きな比重を占める。また、また、国民の認識としての「情報」が自由と民主主義を保証する上で欠かせない要素となっているなど、現下の世界情勢をも踏まえて歴史認識に関わった白熱した議論となりました。
午後1時から、科学・技術分野の学習(講師:池内先生)。近代科学技術の発展に関して、西洋において目覚ましく、東洋において遅滞したことの要因について多くの意見が交わされました。また、理系と文系の思考の違いに関して、前者は合理性・論理性に依拠し、後者は感性いわば人間知に依拠するものである。しかし、当該科学理論に合理性・論理性を認めたとしても、感性・人間知として馴染み得ないものであれば、こうした感覚は大切にしたいものだなど、未来を見据えた真剣な議論が交わされました。
3月28日(月)、第三日目開講。午前9時から全体討議。また、午後の各受講生のレポート報告を控えて、それぞれの考えを整理。
午後1時から、学んだことなどを受講生一人ひとり発表。異口同音に、多様な意見に触れる機会を得て、新たな学びへの意欲を掻き立てられた。特に、近代主義の在り方そのものについても深く関心を寄せる機会になったなど、「学校」では学び得ない事柄を多く学ぶことができたとの発言がありました。
最後に、3人の講師から講評をいただきました。「欲望の時代」の中にあって「理想に遊ぶ」ことの意義、多様な人々との交流、特に国内に留まらず世界レベルで追求することの重要性、また激動の時代にあって自己の立脚点を確保することの大切さなど様々な示唆的な言葉をいただきました。

最後に受講生は、交流・懇談に臨み、今回のセミナーでの学習の感想、学びの情報交換などに話を弾ませました。そして今後の学習交流を誓い合い、惜しみながら順次zoom画面を退出していきました。

  • 開講の挨拶(有本チーフリサーチフェロー)
  • オンライングループ討議の様子
  • メイン会場でのTAの様子
  • 全体討議の様子
  • 講師からの講評
  • 集合映像(講師、受講生、TA、事務局)

参加者の声

今回のIIAS塾ジュニアセミナーが自分の学習のきっかけになったと感じた。具体的には、事前学習をきっかけに旅行を計画したり、博物館を回ったりすることができた。
高校2年女子
地方にいる学生にとって、普段あまり関わることのない関西の同年代の方々とオンラインを通して討論や意見交流ができて、専門的なテーマで学べること自体、とても貴重であると感じます。このセミナーに参加して得ることのできた知識や経験は、絶対に将来役立つし後悔しないと本当に思います。
高校2年女子
オンデマンド学習は、テキストでわからないことがあっても動画で詳しい説明があり、わかりやりやすかったのでこの形はすごくいいと思う。
高校1年男子
自分が聞いたこともない人とか事柄について楽しんで学習できた反面、時代背景とか、関連知識がほとんどないからパッと繋がらない部分もあった。ただ、調べながらやっていく過程も楽しかった。
高校2年女子
自分からは想像していなかった視点や意見について知ることが出来貴重な体験ができた。
高校2年女子
オンラインでの開催は、住んでいる地域関係なく参加することができるのでよりいろんな人と交流できてよいと思います。
高校1年女子

開催概要

講師とテキスト主題

藤田 正勝

京都大学名誉教授
メインテキスト
九鬼周造に学ぶ  ~ 現代に息づく伝統的美意識としての「いき」 ~
サブテキスト
九鬼周造『「いき」の構造』(藤田正勝全注釈)講談社学術文庫 (2003年) 

1949 年生まれ。京都大学大学院文学研究科、ドイツ・ボーフム大学ドクター・コース修了。京都大学大学院文学研究科教授、同大学院総合生存学館教授を経て、現在は京都大学名誉教授。
著書に、Philosophie und Religion beim jungen Hegel(Hegel-Studien, Beiheft 26)、『若きヘーゲル』(創文社)、『西田幾多郎――生きることと哲学』、『哲学のヒント』、『日本の文化をよむ―― 5つのキーワード』(以上は岩波新書)、『はじめての哲学』(岩波ジュニア新書)などがある。

九鬼周造は『「いき」の構造』や『偶然性の問題』、『人間と実存』などの著作で知られる哲学者です。1921年から8年にわたってドイツ・フランスに留学して、1929年に帰国し、京都大学で西洋哲学史を担当しました。当時最先端であったベルクソンやハイデガーなどの哲学を紹介し、日本における実存哲学やフランス哲学の研究の礎を置いた人です。
九鬼には『文芸論』という著作もありますが、芸術や文芸にも深い理解を有した人でした。九鬼自身が「美の世界に生きた人」であったと言えると思います。自ら数多くの短歌や詩を作りましたし、日本の伝統的な音楽、とくに長唄や小唄、清元などを愛してやまない人でした。さらに晩年には京都・山科の地に粋をこらした邸宅を構えたことでも知られます。
そういう関心があったからだと思いますが、江戸時代を代表する美意識とも言うべき「いき(粋)」に深い関心を寄せ、それをめぐって精緻な分析を行い、その構造を鮮やかに描きだしました。本講演では、九鬼の「美」の理解、彼の「美の世界」をテーマにとりあげますが、とくにその「いき」の理解に焦点をあて、「いき」とは何か、九鬼はなぜ「いき」を問題にしたのか、そういった問題について考えて見たいと思います。

奈良岡 聰智

京都大学法学部・法学研究科教授
メインテキスト
吉野作造に学ぶ ~先陣を切る者は、歴史に学び、その光と影を縁(よすが)とする。~
サブテキスト
『日本の名著 (48) 吉野作造』中公バックス(1984年)

1975年青森県生まれ。2011~12年、2015~16年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス客員研究員。専攻は日本政治外交史。主な研究テーマは大正時代の政党政治、第一次世界大戦期の日本外交など。主著に『加藤高明と政党政治―二大政党制への道』(山川出版社、2006年)、『「八月の砲声」を聞いた日本人―第一次世界大戦と植村尚清「ドイツ幽閉記」』(千倉書房、2013年)、『対華二十一ヵ条要求とは何だったのか―第一次世界大戦と日中対立の原点』(名古屋大学出版会、2016年)、『ハンドブック近代日本外交史 黒船来航から占領期まで』(簑原俊洋と共編著、ミネルヴァ書房、2015年)がある。

吉野作造は、「民本主義」を提唱し、大正デモクラシーをリードした言論人として知られていますが、歴史研究者でもありました。吉野はもともと東京帝国大学法学部で政治史講座を担当し、ヨーロッパや中国の政治を研究していましたが、大正末期になると明治文化研究会を組織し、明治憲政史の研究に力を注ぐようになりました。彼は、わが国における明治史研究の草分けでもあったのです。
実は吉野が明治史研究を始めた背景には、明治を回顧・顕彰しようという全国的な風潮が影響していました。このような動きは、明治天皇の崩御、「明治50年」などを経て、昭和3年の「明治60年」に一つの頂点を迎えました。この年の干支が、戊辰戦争以来の「戊辰」であったことも影響していました。この時期の明治ブームは、形を変えて戦後の「明治100年」「明治150年」にも受け継がれていくことにもなります。
本講演では、吉野の明治史研究を端緒としつつ、これまで節目ごとに明治維新がどのように捉えられ、顕彰されてきたかを検討していきます。2018年は「明治150年」にあたり、さまざまな関連行事が行われてきました。皆さんと一緒に、その意義についても考えてみたいと思います。

池内 了

総合研究大学院大学名誉教授
メインテキスト
司馬江漢に学ぶ ~ 「文化」を創造する好奇心が豊かな人間に! ~
サブテキスト
池内了『なぜ科学を学ぶのか』 ちくまプリマー新書 (2019年)

1944年兵庫県生まれ。京都大学理学部物理学科卒業。同大大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。博士(理学)。『お父さんが話してくれた宇宙の歴史』で産経児童出版文化賞、『科学の考え方・学び方』で講談社出版文化賞科学出版賞、『科学者は、なぜ軍事研究に手を染めてはならないか』で毎日新聞出版文化賞(特別賞)受賞。『物理学と神』『科学・技術と現代社会上・下』『科学者と戦争』『科学者と軍事研究』『なぜ科学を学ぶのか』『寺田寅彦と物理学』など著書多数。

私は、かつて『科学のこれまで 科学のこれから』という短い本を書いた(岩波ブックレット)。これまでの100年の間の科学の「異様な」発達を見ながら、これからの100年先の科学の行き方について書いたもので、そこでは「「文化」としての科学」の典型として博物学を取り上げた。
ゲーテの会で話題にするのは司馬江漢である。彼は日本画の屈指の画家なのだが、日本で最初にエッチングを発明した上に洋画にも手を出し、さらに科学では地動説を唱導し宇宙論へも踏み入っている。当時の天文学は暦学に終始して宇宙の構造には関心がなかったのだが、江漢はまさに博物学的好奇心を発揮して窮理学に、そして天文学に造詣を深めたのである。また、同時代の山片蟠桃は金貸しの番頭でありながら、人間が宇宙のあちこちに生きる宇宙像を展開している。
自分の専門の職業でちゃんとした仕事をした上で、科学の素人でありながら宇宙に関心を持った江漢(や蟠桃)の生き様を振り返りながら、なぜ江戸時代に博物学が隆盛であったのかを考えてみたい。

募集要項

募集対象 国内に所在する高校及び大学の学生で、IIAS塾ジュニアセミナー開催委員会において、受講を認めたもの概ね40名。ただし、インターネットが利用できる端末を準備でき、受講環境を有するものと認められた者に限る。
応募対象 申込フォーム(Googleフォーム)より必要事項を記載のうえ送信。ただし、高校生にあっては、当該高等学校の教員の推薦及び保護者の同意を得たうえで「推薦書・同意書」を郵送またはE-mailにて送付。いずれも提出締め切りは、2022年1月17日(月)。
受講決定 選考結果は、2022年1月下旬、応募者本人宛て、「申込書」に記載された住所へ郵送により通知。
開催日 2022年3月26日(土)~3月28日(月)
※オンライン開催いたします!
※1/17(月)をもって申込は締切りました。
開催場所 <メイン会場>公益財団法人国際高等研究所 <パーソナル会場>原則として受講生の自宅アクセスマップ
宿泊場所
参加費用 メインテキスト代は主催者が負担。サブテキストは各自で入手。
また、インターネットを利用する端末、通信回線については各自で負担。
問い合わせ・申込先 公益財団法人国際高等研究所
IIAS塾ジュニアセミナー開催委員会事務局
〒619-0225 京都府木津川市木津川台9-3
Tel:0774-73-4000/Fax:0774-73-4005
E-mail:iias19-2015@iias.or.jp
URL:http://www.iias.or.jp/
共催、後援、協力 【主催】公益財団法人国際高等研究所(IIAS塾ジュニアセミナー開催委員会)
【後援】京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県の各教育委員会
【協力】京都大学、大阪大学

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