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その他の研究

「日本文化創出を考える」研究会

研究代表者:西本 清一
京都高度技術研究所理事長、京都市産業技術研究所理事長、京都大学名誉教授

関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)は、そもそも学術や科学技術の研究のみをその使命とするのではなく、古には都として文化の中心であったこの地域に相応しい「日本古来の伝統文化」と「先端科学技術」の融合からなる新たな「文化活用力」を生み出していくことが求められている。それを実現するため、「文化」を都市名に冠する本地域において、日本文化は何かという視点での思想的な探求と、その活用のあり方を研究する。

参加研究者2021.04.01現在

西本 清一
京都高度技術研究所理事長、京都市産業技術研究所理事長、京都大学名誉教授
内田 由紀子
京都大学こころの未来研究センター教授
熊谷 誠慈
京都大学こころの未来研究センター准教授
高橋 義人
平安女学院大学特任教授、京都大学名誉教授
徳丸 吉彦
お茶の水女子大学名誉教授、聖徳大学名誉教授
長尾 真
国際高等研究所学術参与、京都大学名誉教授

■ 研究目的・方法

 今後の50年、100年先を展望すると、西欧近代の進歩史観とは異なる歴史観や世界観を再構築せざるを得ない。文化価値を顧みないまま経済的な繁栄を優先してきた綻びが顕在化している現在こそ、文化に目を向ける大きな契機を見いだし得る。戦後の経済発展を通して置き去りにされた文化に価値を見出す時代の実現のために、どのような施策が必要かを以下の視点からまとめる。

①「日本文化とは何か」という視点を中心に置き、様々な分野の専門家によって多角的な分析を行うことを通して、「日本らしい」と言われるものが何故そうであるのかといった背景に至るまで、日本文化を思想的に探究し、更にはその活用のあり方を模索する。
②過去からの文化や技術と断絶し、最新の技術だけをベースに構想するのではなく、伝統的技術や技の活かし方、デザインの活用など、伝統と先端科学との融合を前提に構想する力を掘り起こす。
③高等研が展開している「ゲーテの会」において、本研究会としてけいはんな学研都市の市民に問いかけたいテーマを設定し、参加者との対話を通して文化活用力の強化のあり方について議論する。
④けいはんな学研都市の立地企業と文化活用力に係る共同研究可能なテーマを吸収し、より実践的な活用がなされる活動を組み入れる。

今後の計画・期待される効果

○今後の計画・期待される効果
 2021年度は、前年度までに整理された内容を基礎に、日本文化の活用について次のような検討を進める。
・新しい生活様式を模索する上で、文化の本質、人間にとっての文化の必要性、コミュニティにおける人間の幸福感、心のつながりを検討し、文化の新しい活用方法を提案する。
・京都地域全体をミュージアムとして、博物館や美術館を訪れるかのような視点から京都の文化を享受し得る京都地域アメニティ化構想を検討・構築する。
 これらの視点を通して、大阪・関西万博などの場を通じて、京都から世界に発信する日本の文化力とその活用の施策について攻究する。京都府の関係部署、けいはんな地区の自治体、文化活動団体などとの連携によって、これらの環がさらに広がっていくことが期待される。