第46回 けいはんな「エジソンの会」
開催概要
ALife(人工生命)が拓く新たな世界へ ~Post AIが問いかける未来~
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開催日時 | 2024年10月24日(木)14:00~18:00 |
開催場所 | 公益財団法人国際高等研究所 |
住所 | 〒619-0225 京都府木津川市木津川台9丁目3番地 |
概要 | 約35億年前に地球に誕生した生命は、その置かれた環境と身体性を通して自己複製と突然変異を繰り返しながら、進化の系統樹を何十億年にもわたって紡ぎ出して来ました。そしてようやく約500万年前にアフリカで人類の祖先を生み出しました。 人工生命(Artificial Life)の研究は、「コンピューターの父」として知られるフォン・ノイマンが、生命の基本的な特性を理解しようと人工生命モデルを作り、生命の領域に「数学的」に切り込んだのがその始まりです。それは今から70年ほど前のことです。 今回の会合では、人工生命研究のパイオニアとして世界をリードし、学際的な視点を通して「生命の神秘」を探究されている池上高志氏と岡瑞起氏を招聘し、人工生命の最前線に迫ります。 講演後のセッションでは、自己複製の謎、生命と機械の境界、進化のメカニズムと生物の多様性など、会場にお越しの皆様との数多くの議論を期待しています。 当会合が生命への深い理解を通して、よりよい未来と幸福を実現するためのヒントに繋がればと思います。 |
配布資料 |
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共催、後援、協力 | 【後援】 国立研究開発法人理化学研究所 公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構 |
当日の様子
始めに東京大学大学院の池上高志氏より、「AIとALifeは、どこまで生命か」と題してご講演を頂きました。ご講演では、人工生命研究の進化の過程を幾つかのブレイクスルーを交えながらご説明頂き、また直近の研究として、オルタの頭脳とGPT-4を組み合わせた最新研究事例をご紹介頂き、アンドロイドと生成AIとの融合による多くの可能性をお示し頂きました。
次に筑波大学の岡瑞起氏より、「Artificial Life:towards symbiotic intelligence ~知能と人間が共生する社会を目指して~」と題してご講演を頂きました。ご講演では、生命をデータサイエンスの視点から探究し、オープンエンデッドな進化のシステムを複雑化するアルゴリズムを用いて生み出す人工生命の研究をご紹介頂きました。特に、オープンエンデッドなシステムはAGI(汎用人工知能)のアプローチにも有効であり、多くの可能性を秘めているものであることが分かりました。
インタラクティブ・セッションでは、お二人のご登壇者に加え、理研AIP副センター長で当会合のスーパーバイザーの上田修功先生にもご登壇頂き、会場との活発な意見交換が行われました。そもそも人工生命の研究は何を目指しているのか、との質問に始まり、人間の本質と生命の存在、心と身体の関係、意識と身体性、生命への宗教的側面からのアプローチなど、人工生命の研究は科学技術の分野に留まらず、人文学、社会科学等様々な領域にわたる研究であることを理解しました。
生成AIに代表されるLLM(大規模言語モデル)が、今後更なる学習を積むことで、言語の持っている身体性を取り込む新たな可能性を秘めているとの池上氏の発言が非常に印象に残りました。
会場からの質問に対し、池上氏と岡氏が激論を交わす場面もあり、いつも以上に熱気あふれる会合となりました。
「AIとALifeは、どこまで生命か」
池上 高志氏
東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 教授

「Artificial Life:towards symbiotic intelligence ~知能と人間が共生する社会を目指して~」
岡 瑞起氏
筑波大学 システム情報系 准教授
株式会社ConnectSphere 代表取締役

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インタラクティブ・セッションの様子