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第46回 けいはんな「ゲーテの会」

開催概要

未来に向かう人類の英知を探る- 時代の裂け目の中で、人々は何に希望を見出してきたか -

46

政治・経済

大変革期における企業家-東の渋沢栄一、西の五代友厚-

【講演者】
宮本 又郎大阪大学名誉教授
【講演者経歴】
1943年福岡市生まれ、神戸大学大学院経済学研究科修士課程修了、経済学博士。大阪大学経済学部教授、同経済学部長、関西学院大学経営戦略研究科教授を経て、現在、大阪大学名誉教授、大阪企業家ミュージアム館長、関西学院大学客員教授、放送大学客員教授、江崎グリコ(株)社外監査役。専門は日本経済史・経営史。著書に『近世日本の市場経済』(有斐閣)『日本企業経営史研究』(有斐閣)『企業家たちの挑戦』(中央公論新社)『企業家たちの幕末・維新』(メディアファクトリ新書)『商都大阪をつくった男五代友厚』(NHK出版)『渋沢栄一』(PHP研究所)などがある。受賞歴に第31回日経経済図書文化賞、第5回総合研究開発機構政策研究東畑記念賞などがある。
【講演要旨】
幕末から明治の時代は現在と同じく、いやそれ以上に、激動期であった。封建制の崩壊、鎖国から開国へ、王政復古と維新期の諸変革、文明開化、産業革命の開始など政治・経済・社会のあらゆる面で激しい変化があった。しかし、こうした局面にあっても大多数の国民は変化の意味を十分には理解できなかったし、理解したとしても、それに対応した行動をとるのをためらっていた。社会全体が変革にチャレンジするためには、いち早く西洋の進んだ文明についての情報を得、彼我のギャップを知覚して、革新的企業家活動に乗りだし、変化のイデオロギーを創出するビジネスリーダーの出現が不可欠であった。東の渋沢栄一と西の五代友厚はこの役割を演じた代表的存在であった。そこで、この講演ではこの2人にスポットライトをあてて、その行動と思想の特質、現代的意義についてお話することにしたい。
開催日時
2017年4月11日(火)18:00~ 20:30
開催場所
公益財団法人国際高等研究所
参加費
2,000円(交流・懇談会費用を含む)
定員
40名(申し込みが定員を超えた場合は抽選)
締切
4月7日(金)必着

当日の様子

2017年4月11日(火)、平成29年度最初の第46回「ゲーテの会」が開催されました。今回テーマは「大変革期における企業家‐東の渋沢栄一、西の五代友厚‐」で、宮本又郎先生(大阪大学名誉教授)にお話を賜りました。
平成29年度からは、その共通テーマを、「未来に向かう人類の英知を探る。‐時代の裂け目の中で、人々は何に希望を見出してきたか。‐」とし、第3ステージを設えたことから、今回の「ゲーテの会」は、このテーマによる最初のお話となりました。
お話は、渋沢栄一と五代友厚を比較対照しながら、幕末から明治の時代の激動期に果たした二人の役割にスポットを当て、その行動と思想の特質、現代的意義についてのものでした。そのいずれも、稀有の人物であったとして、渋沢栄一については、「経営の『社会的責任』について論じた歴史人物の中で、…渋沢栄一の右に出るものを知らない。彼は世界のだれよりも早く、経営の本質は「責任」にほかならないということを見抜いていたのである」(P.ドラッガー『マネジメント』と、五代友厚については「明治の大阪の指導者として、開発者として友厚に右に出るものは一人もいない」(織田作之助『大阪の指導者』)と評されていることが紹介されました。
彼らは、いずれも、若き日、ヨーロパで学び、一度は明治政府官僚としてその手腕を発揮したが、後に下野し、実業家として名を馳せることとなった。ニュー・ビジネスモデルの唱道と実践、ビジネスリーダー(財界人)としての役割、教育への関心など共通するもが多い。中でも、渋沢が唱えた「道徳経済合一主義」、道徳・経済のバランス論でなく、併存論を主張したのは卓見であり、広く知られているところである。。
士農工商の中での異端であり、マジョリティと革新性の問題、いわゆるPost Traumatic Growth(挫折の経験が成長の源)、あるいはニュー・ビジネスモデルの唱道と実践など、二人から学ぶことは大きいとのお話でした。
質疑では、「道徳経済合一主義」などを巡って渋沢の儒教思想との関連、あるいは国家に向き合う渋沢と五代の違いなどについて意見交換がありました。

今回の演奏、演目はリスト作曲「巡礼の年 第2年「イタリア」より 婚礼」、演奏はピアノ原野尚起さんでした。(マイリズム音楽事務所)

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