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第51回 けいはんな「ゲーテの会」

開催概要

未来に向かう人類の英知を探る- 時代の裂け目の中で、人々は何に希望を見出してきたか -

51

思想・文学分野

「人間」とは、何だろうか―日本思想・3人の戦い

【講演者】
先崎 彰容日本大学危機管理学部教授
【講演者経歴】
1975年東京都生まれ。私立立教高等学校卒業。東京大学文学部倫理学科卒業。東北大学大学院日本思想史博士課程単位取得終了(文学博士)。この間、文部科学省政府給費留学生としてフランス国社会科学高等研究院に留学(2006‐2007年、国際日本学専攻)。現在、日本大学危機管理学部教授。国際基督教大学アジア文化研究所研究員。NHKEテレ『ニッポンのジレンマ』、『クローズアップ現代+』、BSフジ『プライムニュース』他出演。
著書に『ナショナリズムの復権』(ちくま新書2013年6月)、『違和感の正体』(新潮新書2016年5月)。近刊予定に、『未完の西郷隆盛‐日本の「近代」、150年を問う』(新潮選書)、全訳解説『文明論之概略』(角川ソフィア文庫)。
【講演要旨】
近代日本の思想家は、ドイツを中心とする西洋哲学・思想の影響を受けることで自己の考えを錬磨するとともに、同時代の日本国内の近接領域からの刺激を受けることで、思想を創りあげていった。
今回取り上げる、和辻哲郎・三木清・丸山眞男の3人は、こうした思想家の典型的事例である。この3人には、共通する興味関心が存在する。それは「人間」とは何かという問いである。それぞれ専門を微妙に異にする3人は、国内外の思想の影響下に、自らの「人間」イメージを提案した。その「人間」像はどのような特徴を持っていて、またどのような時代背景のもとに生まれてきたのだろうか――今回は、大正末期に日本文壇を席巻した「自然主義」文学運動をきっかけに、「人間」とは何かを考えた思想家たちの思いを追いかけていく。
開催日時
2017年9月7日(木 )18:00~ 20:30
開催場所
公益財団法人国際高等研究所
参加費
2,000円(交流・懇談会費用を含む)
定員
40名(申し込みが定員を超えた場合は抽選)
締切
2017年9月4日(月)必着

当日の様子

第51回 満月の夜開くけいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」が開催されました。テーマは、『「人間」とは、何だろうか―日本思想・3人の戦い』。和辻哲郎、三木清、丸山眞男の3人の日本を代表する思想家を取り上げ、日本社会の変化に対応して、『「人間」とは何か』へ、どのように応答したかを、先崎彰容先生(日本大学危機管理学部教授)からお話いただきました。

この3人、特に和辻、三木が、「人間」とは何かを考えたきっかけは、日露戦争勝利後、強烈な国家目標を失い弛緩した日本社会において、文壇を席巻した「自然主義」文学によって描かれた本性のままに生きる「人間」像への対抗。それに交差する形で学んだ、ヨーロッパ社会に惨禍をもたらした第一次世界大戦後のドイツに興った人間学(アントロポロギー)。加えて、経済的不平等をもたらした資本主義社会とマルクス主義の隆盛。

これは、彼らによって、社会の緊張と弛緩に対応して、「人間」像が公的存在から私的存在へ、更に公的存在へと変化することが見出されたことでもある。それは、循環的であり、現代社会の事象にも見て取れる。「3・11」前後の日本人の意識の変化。更に、経済成長期の1964年開催の第一次オリンピック誘致と経済成熟期の2020年開催の第二次オリンピック誘致に対する国民の関心の違いが、そのことを物語っていると言う。

今回のテーマは、哲学の原点ともいえる『「人間」とは、何だろうか』を論じるものであってか、40名を超える多くの方々の関心を呼びました。「人間」とは何かに、「自分」のあり方と時代を重ね合わせての質疑応答となり、議論が発展しました。(文責:国際高等研究所)

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