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第72回 けいはんな「ゲーテの会」

開催概要

「新しい文明」の萌芽を探る日本と世界の歴史の転換点で、転轍機を動かした「先覚者」の事跡をたどる

72

政治・経済

松下幸之助の人づくり

【講演者】
加護野 忠男神戸大学社会システムイノベーションセンター特命教授、神戸大学名誉教授
【講演者経歴】
1947年、大阪市生まれ。神戸大学経営学部卒業、同大学大学院経営学研究科博士課程修了。神戸大学社会システムイノベーションセンター特命教授、神戸大学名誉教授。専攻は経営組織、経営戦略。経営学博士。著書に『松下幸之助:理念を語り続けた戦略的経営者』(編著)(PHP研究所、2016年)、『経営はだれのものか:協働する株主による企業統治再生』(日本経済新聞出版社,2014年)、『組織認識論:企業における創造と革新の研究』(新装版)(千倉書房,2011年)、松下幸之助に学ぶ経営学』(日本経済新聞出版社、2011年)など。
【講演要旨】
 「モノをつくる前に人をつくる」という松下幸之助の言葉は多くの人々に知られている。実際に幸之助は、多くの有能な人材を作り出した。彼がつくった人材は2種類に分けることができる。第1は、現場で直接にものづくりや営業をする現場人材である。第2は、経営を担うりーダ―人材である。それぞれについて幸之助は独特の方法をつくった。第1の人材つくりの基本的な手段は、凡事徹底である。第2の人材育成のキホンは「血のションベンである。せっぱづまった状況に追い込んで祖苦境を克服する知恵をひねり出し、イノベーションを生み出すことのできる人材である。第1の人材は第2の人材を生み出す土台でもある。そこで生み出されるのは、小さなことの大切さを知ったリーダーである。講演では、その具体例を話す。
開催日時
2019年6月18日(火)
開催場所
公益財団法人 国際高等研究所
住所
〒619-0225 京都府木津川市木津川台9丁目3番地
参加費
2,000円(交流・懇談会費用を含む)
定員
40名(申し込みが定員を超えた場合は抽選)
締切
2019年6月17日(月)必着

当日の様子

(令和元)年6月18日(火)18時から国際高等研究所で、第72回満月の夜開くけいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」が開催されました。テーマは、「松下幸之助の人づくり」。講師は、加護野忠男先生(神戸大学社会システムイノベーションセンター特命教授、同名誉教授)

ものづくりの現場は謹厳実直な働き手によって支えられている。それは、歴史的には、『プロテスタンティズムと資本主義の精神』の著者 マックス・ヴェーバーによって論じられたことでもある。また、そうしたことは、日本においても、三河、泉州、越中など真宗門徒の集住地域と、ものづくり地域が重複していることからも伺える。

そもそも労働品質の維持・向上は、監視カメラは言うに及ばず外部監視機能の強化によって実現できるものではない。自らの内発的規律によってこそ実現されるものである。勧善懲悪的な来世思想を有する宗教の影響下にあっては、その内発的規律がより強化される傾向にある。

詰まるところ、現場人材の「人づくり」の要諦は、凡事徹底、覿面呈示にある。

ところで、経済界で大を成した人で「利益」を第一の目的とした人はいない。「顧客満足の追求」「従業員の幸せの実現」などと、表現は異なるが、目指しているのは、いずれも社会貢献である。「利益」は後から付いてくるとの信念がそこにはある。経営の核心は、数字に反映されない複雑な人間的感情である。単純な数値分析によるいわゆる利益最大化が経営の第一の目的ではないとするのは、経営学的にも一般的である。

「生産性」を測る物差しには、時間当たりの付加価値と、一人当たりの付加価値生産がある。前者は欧米流、後者は日本流の基準である。前者の基準を機械的に導入しても日本人の生産性が上がらない道理である。働き手の実情に応じた働き方が肝要である。現下の「働き方改革」の取組にはその視点が欠けている。

今回の「ゲーテの会」の参加者は定員を大幅に超え、松下幸之助の人間観、人づくりを核とした経営への関心の高さを伺わせるものでした。(文責:国際高等研究所)

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