• 国際高等研究所てどんなところ?
  • 高等研報告書
  • 寄付
  • アーカイブ
満月の夜開くけいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」
「新たな文明」の萌芽、探究を!
けいはんなmeta鼎談
哲 学 × 科 学 × 技 術
「けいはんな学研都市」は、その建設理念に照らし、次代を拓く「新たな文明」の萌芽探求の好適地です。
そこで、2022年度、新たに、<「新たな文明」の萌芽、探求を!>プロジェクトを起こし、
「meta鼎談(哲学×科学×技術)」を、そして「市民懇談(roundtable)」を開催してまいります。

第1回

「量子論」が開く世界

量子論は人類をどのような文明世界へと導くのだろうか。

日本屈指の三人の碩学が分野を超えて語り合う。

日 時
2022年6月4日(土)14:00 〜 17:00
鼎談会場
国際高等研究所
(一般参加者の方は、高等研での参加は出来ません。)
参加費
無料
定 員
100名
(先着順・定員になり次第締め切り)
締 切
2022年5月31日(火)
開催にあたり
今回の「meta鼎談」は、一般参加者の方には、ZOOM Webinarシステムを利用して配信します。
インターネット環境の整備が前提となります。
お申込者には、事前に ZOOM の招待メールをお送りします。
受付時間(13:30 ~ 14:00)内に、事前にご連絡するURLからアクセスしてください。
主 催
公益財団法人 国際高等研究所
<「新たな文明」の萌芽、探究を!>プロジェクト事務局
e-mail:goethe0828@iias.or.jp
問合せ先
申込・視聴など、Peatixの利用方法についてご質問などがございましたら、
下記のヘルプページをご確認いただくか、お問合せ窓口にご連絡ください。
Peatix ヘルプページ   https://help-attendee.peatix.com/ja-JP/support/home
Peatix お問い合わせ窓口 https://help-attendee.peatix.com/ja-JP/support/tickets/new
開催趣旨

 近代社会は、デカルトあるいはニュートンの自然観・人間観を基礎として発展してきた。しかし、人類はその後、その物の見方、考え方ではとらえきれない世界を発見した。「量子」の世界である。「量子現象」は、ナノレベルの物質の挙動として現れるばかりでなく、身近な「五感」の世界を支えている原理でもあることが次々と明らかにされ、「量子技術」に熱い関心が寄せられている。

 また、自然科学の分野に止まらず、社会科学の分野においても「量子論」の知見は欠かせないものになっている。「量子技術」「量子科学」の背骨をなす「量子哲学」が求められる所以である。

 以上からも「量子論」を追求していくことは、近代社会を越えて新たな社会を開く上で不可欠のテーマである。本鼎談を通じて、次代を拓く「新たな世界観」を獲得する端緒が開かれることを願っている。

鼎談者
大澤 真幸 大澤 真幸 先生【哲学】

京都大学元教授


量子論が、特定の学問分野の問題ではなく、「知」の一般にかかわっていること、何であれモノを真剣に考えようとしている人のすべてにとって重要な問題であることがわかるだろう。


元京都大学教授。1958年長野県松本市生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任。思想誌「THINKING 『O』」主宰。著書に著書に、『行為の代数学――スペンサー=ブラウンから社会システム論へ』(青土社)、『ナショナリズムの由来』(講談社、毎日出版文化賞)、『量子の社会哲学』(講談社)、『自由という牢獄』(岩波書店、河合隼雄学芸賞)、『〈世界史〉の哲学』7巻(講談社)、『経済の起原』(岩波書店)ほか多数。専門は、理論社会学、比較社会学。

佐藤 文隆 佐藤 文隆 先生【科学】

京都大学名誉教授


量子力学とは百年近く同じ形で使っているツールであり、現代テクノ社会を作った学問である。形成期での「世紀転換期」思潮や国民国家と冷戦が支配し特異な世紀からの転換が絡む現代的課題である。


1938年生まれ。1960年京大理卒、1974-2001年京大教授、2001-2014年甲南大学教授。京大基礎物理研究所所長、理学部長、物理学会会長、学術会議会員、湯川記念財団理事長、理化学研究所相談役、京大出版会理事長などを歴任。宇宙物理学、一般相対論を研究。「宇宙物理」、「一般相対性理論」、「科学と幸福」、「職業としての科学」(岩波)、「物理学の世紀」(集英社)、「佐藤文隆先生の量子論」(ブルーバックス」、「量子力学ノート」(サイエンス社)など著書多数。

藤井 啓祐 藤井 啓祐 先生【技術】

大阪大学教授


量子の情報の世界は、研究者の考える仮想的な世界と思うかもしれないが、今では量子コンピュータが実際に実現されつつあり、我々の古典的経験をアップデートしないといけない状況になっている。


2011年3月京都大学大学院工学研究科 博士課程終了。博士(工学)。2011年4月から2013年3月まで、大阪大学大学院基礎工学研究科 特別研究員。2013年4月から2016年3月まで、京都大学白眉センター特定助教。2016年4月から2017年9月まで、東京大学光量子科学研究センター助教。 2017年10月から2019年3月まで、京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻、特定准教授。2019年4月から、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻、教授。大阪大学量子情報・量子生命研究センター副センター長。

プログラム
14:00 ~ 14:45 各鼎談者、冒頭発言
14:45 ~ 16:30 鼎談(参加者との意見交換を含む)
16:30 ~ 17:00 各鼎談者、まとめ発言

2022.6.4(土)第1回「けいはんなmeta鼎談」開催概要

 2022年6月4日(土)14時から国際高等研究所において第1回「けいはんなmeta鼎談(哲学×科学×技術)」が開催されました。ハイブリッド形式で開催され、対面(会場)で約20名、on-lineで約70名の人が全国から参加されました。
 鼎談者は、哲学分野から大澤真幸先生(京都大学元教授)、科学分野から佐藤文隆先生(京都大学名誉教授)、技術分野から藤井啓裕先生(大阪大学教授)。モチーフは、「量子論」が開く世界。
 本「meta鼎談」は、本年度から起こされた〈「新たな文明」の萌芽、探求を!〉プロジェクトの一環として開催されたもので、これまでの「満月の夜開くけいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」」の継承・発展を図るもの。
 その趣旨は、近代合理主義を超えて新たな社会を展望するには、古典力学の世界観に代わる新たな世界観が希求される。そのためには、「量子論」は避けて通れないテーマであるとして、初回のモチーフを、「「量子論」が開く世界」とされた。
 冒頭、佐藤先生から、「量子力学は人間の特殊(非普遍)性の炙りだし」のタイトルの下に、量子論は、現在、第一の革命期(物質の量子論)を経て、第二の革命期(情報の量子論)を迎えており、量子情報隆盛の時代となっている。また自然と科学の関係に関わって観測問題に触れ、「実在」と「認識」のギャップの問題を指摘、量子状態の制御が自由になった時代での世界観への影響などについてお話がありました。
 藤井先生からは、量子コンピュータに関心を寄せた経緯にも触れて、嘗て、物理学から分離した情報論が数学理論を纏って、再び物理学と融合し、今、量子情報論として発展してきていること、またそれが量子コンピュータ等、量子論の実用化への進展へとつながっているとのお話がありました。
 その後、大澤先生の進行の下に、佐藤先生、藤井先生の冒頭のお話を受けて、また、①哲学論としての量子論(実在論と認識論など)、②応用論としての量子論(量子コンピューターの意義など)、及び③量子科学の教育論(数学の効用など)、その他参加者から課題提起にも触れながら鼎談が進みました。
 特に、量子力学的世界における「観測」の意義、量子コンピュータと従来コンピュータとの異同(本質的・有用性)、更に、また、量子力学から見た時間概念の特殊性など議論が多岐にわたりました。
 質疑では、量子力学によるテレパシー現象の説明の可能性、「重ね合わせ」状態での計算の出力結果と検証、ボーア・アインシュタイン論争に係る「ボーアの相補性」の意義、量子論の普及と社会思潮の変化との関連性、因果異時/因果俱時の対比を論じる仏教哲学の評価など、多様かつ多数の質問が提起され、興味深い応答となりました。
 最後に、鼎談者各々から、まとめのご発言。佐藤先生から、量子力学が学問や社会のイメージを転換するのではとの予感、藤井先生から、基本に立ち返っての議論で新たな発見があったこと、最後に、大澤先生から、知の在り方に関して、原理的理解を脇に置いて実用化を推進することの意義とともに、分かる(理解する)ことと同等に、分からない(不思議に思う)ことの重要性についてご発言がありました。
 なお、本「meta鼎談」で提起された多くの意見・質問について、次に開催の「市民懇談」の場で継続的に議論を重ねることを誓って、記念すべき第1回「けいはんなmeta鼎談」を終えました。(文責:国際高等研究所)

photo
photo
photo