第43回 けいはんな「エジソンの会」
開催概要
サイバーフィジカルシステム(CPS)の衝撃
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開催日時 | 2023年8月31日(木)14:00~18:00 |
開催場所 | 公益財団法人国際高等研究所 |
住所 | 〒619-0225 京都府木津川市木津川台9丁目3番地 |
概要 | 科学技術の進化は、創造的破壊を繰り返しながら社会を大きく変える原動力になってきました。途切れることのない「デジタル化の波」は、サイバー空間とフィジカル世界との連携と融合を図りながら、さらなるステップへ加速し、指数関数的な進化を遂げています。 第43回会合では、情報に関わる数々の国家プロジェクトを牽引し、本年度より情報・システム研究機構において、更なる分野の枠を超えた研究を通して、社会課題の解決に取り組まれている喜連川優氏より、我が国のデジタル技術の最新動向、グローバルにおける日本の果たすべき役割と今後の展望についてご説明を頂きます。また、企業からは、医薬品製造の技術開発部門で、新技術開発・導入をリードする辛島正俊氏より、計算化学とAIベースの予測モデルやオートメーション技術の活用、CMC(Chemistry, Manufacturing and Control)開発段階における工程シミュレーションや機械学習、ロボティクスの活用、臨床段階でのリモート化やデジタルデバイスの利活用についてご紹介頂きます。 日本を代表するおふたりのご登壇者と語り合い、議論し合うことを通して、これからの社会を勝ち抜くための多くの発想やヒントを持ち帰って頂き、明るい未来に向けて「元気の出る」会合にしたいと思います。皆様の積極的なご参加をお待ちしています。 |
配布資料 |
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共催、後援、協力 | 【後援】 国立研究開発法人理化学研究所 公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構 |
当日の様子
始めに、情報・システム研究機構長の喜連川優氏より、「巨大データが創るデジタルの新潮流」と題してご講演を頂きました。ご講演では、方程式がない殆どの事象に対し、膨大なデータ自身がドライビングフォースとなり、デジタルの新潮流が進んでいること、また、科学技術の進歩を促進するための「オープンサイエンス」への取組みについても分かり易くご説明を頂きました。ホットな話題として、5月に開催されたG7サミットでITに関わるレポートでの注目ポイント(FAIR原則など)や欧州の最新動向の話もあり、非常に興味深く拝聴しました。
次に、武田薬品工業の辛島正俊氏より「世界に尽くせ~革新的な医薬品の創製と開発を通して~」と題したご講演を頂きました。ご講演では、医薬品創製の全工程を通じて、最新技術を活用した様々な取り組みをご説明頂き、業界リーダーとしての革新的な技術の数々を知りました。特に具体的な事例のご紹介は、医療領域だけに留まらず、他の研究分野においても利用可能なヒントを多く含んでおり、参加者の皆様には大変ご興味を頂けたものと思います。
インタラクティブ・セッションでは、お二人のご登壇者とスーパーバイザーの上田修功先生にご登壇頂き、今後ますます進化するAIと人との役割の再定義や、イノベーションと教育制度、日本の医療制度の問題点や日本製のコロナワクチン開発の出遅れた経緯について、また、企業間のデータシェアリングの在り方については、AI創薬への投資と業界としてのデータ共有の流れなど、多様な側面から活発な意見交換が行われました。
一部話題に出た日本版LLM開発の動きも含め、様々な領域で社会を牽引するデータ駆動型技術の進展に今後も注目して行きたいと思います。
なお、コロナ禍で中止していた情報交換会を、今回から再開いたしました。(高等研事務局)
「巨大データが創るデジタルの新潮流 ~LLM(ChatGPT)/ARW(ロボットによる発見支援)/デジタルツイン~」
喜連川 優氏 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 機構長
東京大学 特別教授

「世界に尽くせ ~革新的な医薬品の創製と開発を通して~」
辛島 正俊氏 武田薬品工業株式会社 ファーマシューティカルサイエンス サステナビリティ&テクノロジー イノベーション ヘッド

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インタラクティブ・セッションのご登壇者