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第7回 けいはんな「エジソンの会」

開催概要

仮説検証型社会からデーター駆動型社会への構造変化を促進するAI

講師
  • 北野 宏明
    ソニーコンピューターサイエンス研究所
    代表取締役社長
  • 齊藤 元章
    株式会社PEZY Computing 代表取締役社長
開催日時 2017年2月14日(火) 13:30~19:30
開催場所 公益財団法人 国際高等研究所 レクチャーホール
概要 けいはんな「エジソンの会」では、
これまで、アカデミアのトップランナーの方々や
人工知能の分野で業界をリードしておられるベンダーや
注目を集めているベンチャー企業様にご講演いただいて参りました。
第7回会合では、
株式会社ソニーコンピューターサイエンス研究所の北野社長及び
株式会社PEZY Computingの齊藤社長にご登壇いただき、
AIの進展に伴い「仮説検証型」から「データ駆動型」に移りゆく
社会、ビジネスについてご理解を深めて頂きました。
配布資料
講師:齊藤 元章 「次世代スパコンと人工知能エンジンによる、AI駆動科学の時代に向けて」
PDF [4 MB]

タイムテーブル

13:30~14:50
「Nobel Turing Challenge」北野 宏明 ソニーコンピューターサイエンス研究所 代表取締役社長
15:00~16:20
「次世代スパコンと人工知能エンジンによる、AI駆動科学の時代に向けて」齊藤 元章 株式会社PEZY Computing 代表取締役社長
16:20~17:50
インタラクティブセッション※各セッションの時間に質疑応答を含みます。
※インタラクティブ・セッションでは講師の対談に加えて、参加者からの質問やコメントも加えたインタラクティブな場とします。
18:00~19:30
懇親会

当日の様子

「Nobel Turing Challenge」

北野宏明 株式会社ソニーコンピューターサイエンス研究所 代表取締役社長

「Nobel Turing Challenge」で、2050年までに医学、生命科学分野でノーベル賞級の発見をする人工知能を作りたい。医学、生命科学分野は情報量が膨大で、複雑過ぎるので人間にとってその全容を理解するのが難しいことから、AIを使った数学的なアプローチには新発見に向けた大きな可能性がある。人類にとって壮大な課題であり、挑戦である。
AlphaGOや米国クイズ番組Joepardy!ChallengeでのIBM WATSONに代表される取り組みは、「完全情報問題」(解くべき問題に関係する全ての情報が分かっている)でのAIの勝利である。一方、自動走行やサッカーのRoboCupは、「実物理世界の問題」(全ての情報があるわけではない、情報にノイズや誤りが入っている、複数の人や車が同時に動いている、正解が無い)を解決する必要があるので、自律的に知識を生み出すチャレンジといえる。
科学的発見における実際の研究現場はシステマティックとはほど遠いのが実体であり、科学的発見のプロセスは未だ産業革命以前の状態にあると言える。実は人は科学的発見が得意ではなく、そこをAIにやらせたい。バイアスを含んだ人間の認知はサイエンスには不向きであり、「Asking right Question」が出来るAIにやらせることで、仮説、検証を正確に進めることができ、結果として研究成果を得ることが出来るだろう。
「Nobel Turing Challenge」を成功させるには、現状では「Technology Platform」があまりに脆弱であり、データがバラバラで、記述の標準化がされていないことから、相互運用性を実現するために開発した「Garuda」はAIを活用する統合プラットフォームとして今後の当該研究を支えるものとなるだろう。

これらのグランドチャレンジは、科学的発見のエンジンに人工知能を使うことで、科学的発見の再構築と人類が経験したことのない飛躍的な速度での展開を生み出していく。石器時代から知識が道具を生み出してきたが、道具が知識を生み出すという根本的な転換となる。人工知能が知識を生み出す新しい文明に向かい、我々はこのチャレンジを通して科学技術の発展に寄与して行きたい。-「Knowledge is frontier」。

「次世代スパコンと人工知能エンジンによる、AI駆動科学の時代に向けて」

齊藤元章 株式会社PEZY Computing 代表取締役社長

我々は独自スパコンを、プロセッサ開発・液浸冷却開発・積層メモリ開発・新人工知能エンジン開発、のそれぞれ特化した4つの要素から構成するため、それぞれの異なる要素技術毎に専門の会社を設立して開発を行っている。その成果として現在、理化学研究所の情報基盤センターを始め全国で6台を稼働させている。
2017年6月には100PetaFLOPSのスパコンを国内で納入する予定であり、現状の100倍計算速度が向上すると、これまで100年掛かる計算が1年で出来、また100倍複雑な計算が出来るようになることで飛躍的な性能向上が見込める。それによって熱核融合炉のモデリング/シミュレーションや生命科学(遺伝子解析に引き続きタンパク質の解析や代謝レベル解析)の進化にも貢献できる。ムーアの法則は終焉を迎えているが、ますます複雑化する論理合成や膨大なインターコネクトの最適化を図るため、新たなアプローチで次世代、次々世代のスパコンを開発していく。
一方人工知能の分野において、ディープラーニングによる機械学習は「抽象的概念」を既に獲得して、猛烈な勢いで進化中である。AI・ディープラーニングの飛躍的な進化を実現させるため、世界各国ではAIプロセッサの開発も多数進められているが、日本ではソフト開発が中心となっている。ソフト開発では新しいアルゴリズムや革新的な演算モデルが発明されると、これまでの価値が一瞬で喪失する可能性があるため、ハードの開発、すなわちスパコンとは異なるAIのためのCPUチップの開発は不可欠であり、浮動小数点演算の精度追求ではなく、並列処理における演算速度をダイナミックに上げるよう取り組んでいる。

我々は日本独自の開発により、超高速な人工知能エンジンで「仮説の立案」を行い、超高速な次世代スパコンで「仮説の検証」を実行し、それに加え今後開発を予定している量子ニューラルネットワークで「組み合わせの最適化」を実現することにより、最強の新科学技術基盤を構築して、科学技術の発展に大きく貢献していくことを狙いとしている。
この基盤を利用し、人間には抽出出来ない複雑で無数の特徴点・特徴量から、さらに規則性・法則性が抽出されることで、膨大な仮説が立案され、さらにそれらが高速に検証され、最適化されることで、人間には決して構築出来ない次元の理論が多数生まれ、社会、世界のあり方を劇的に変えることが出来る。

[インタラクティブ・セッション]

インタラクティブセッションでは、これからの5年、10年後の具体的なイメージ、AIの自立性についての現状と今後の予測、スパコンでの仮説/検証シミュレーション、人とAIのインターフェース、質の良いAIとそうではないAIなどについて活発な意見交換が行われました。

その後懇親会では北野社長、齊藤社長と参加頂いた方々との名刺交換が行われ、積極的な意見交換の場となりました。

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