本報告書は、2007～2009年度まで実施した高等研研究プロジェクト「女性研究者と科学技術の未来」の研究成果を取りまとめたものである。この研究プロジェクトの要旨は以下の通りである。 （本報告書のまえがきより抜粋）

要　旨

日本においては、女性の研究者の比率が極めて低い現状がある。本研究会を企画した2007年初頭において研究者に占める女性の割合は11.6 % であった

女性の研究者の比率が低いということは、とりもなおさず、女性が持つ豊富な潜在的能力が温存されていることを意味している。その女性の能力を掘り起こすことによって、学術・科学技術の発展が加速されるとともに、新しい展開があるに違いないと期待される。具体的には、（1）アイデアを生む層が厚くなり、科学技術立国を謳う日本の科学技術を支える人材が増強される。（2）女性独自の価値観・視点に基づいた学術・科学技術の新しい展開がある。（3）少子化の時代を支える－女性には複雑な思いがあるものの、女性の実力を社会に示す好機である、などの期待を挙げることができる。

本研究会においては、自然科学系分野を念頭に置きつつ、“科学は文化である”という広い視野の下で、男性と女性の思考の差に踏みこんで、女性の自然科学系分野への進出を促進することの意義を追求し、自然科学系分野を志す女性を増やす方策を議論した。