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第67回 けいはんな「ゲーテの会」

開催概要

未来に向かう人類の英知を探る- 時代の裂け目の中で、人々は何に希望を見出してきたか -

67

思想・文学分野

明治維新150年の功罪―女性の変化を中心に

【講演者】
佐伯 順子同志社大学大学院社会学研究科教授
【講演者経歴】
学習院大学文学部史学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科比較文学比較文化専攻博士課程修了。学術博士(1992 年)。現在、同志社大学大学院社会学研究科教授、同志社大学男女共同参画室長、同志社大学京都と茶文化研究センター長。専門は比較文化史、メディア学、ジェンダー論。主な著書に『「色」と「愛」の比較文化史』(岩波書店、1998 年、サントリー学芸賞、山崎賞受賞)、『「愛」と「性」の文化史』(角川選書、2008 年)、『「女装と男装」の文化史』(講談社選書メチエ、2009 年)など。
【講演要旨】
明治維新、または戊辰150年を過ぎ、日本の近代化過程をふりかえる議論が高まった。江戸から明治への「文明開化」期は、社会制度から市民生活にいたるまで多くの「改良」ブームがまきおこり、日本の歴史上の大きな変革期であったことは間違いない。
 ただし、当時の「改良」が実質「改悪」であった面もあり、明治以降の女子教育は、男女「対等」を理想に掲げながらも、実質的に、女性の役割を家事育児に限定することで、生産労働から女性を疎外した。現在、日本のジェンダー・ギャップ・インデックスが110位(世界経済フォーラム、2018年12月発表、2017年は114位)であり、「女性活躍」という掛け声とは裏腹に、大学医学部入試における女性差別という深刻な問題が明るみに出ているのも、遡れば明治の近代化に遠因がある。「明治維新」がもたらした功罪と、その現代日本社会への影響を、明治大正期の新聞・雑誌メディアの情報から考え、ご一緒に未来に向けた課題解決の可能性を探りたい。
開催日時
2019年1月24日(木)18:00~20:30
開催場所
公益財団法人国際高等研究所
住所
〒619-0225 京都府木津川市木津川台9丁目3番地
参加費
2,000円(交流・懇談会費用を含む)
定員
40名(申し込みが定員を超えた場合は抽選)
締切
2019年1月23日(水)必着

当日の様子

2019年1月24日(木)18時から、国際高等研究所で、第67回満月の夜開くけいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」が開催されました。テーマは、「明治維新150年の功罪ー女性の変化を中心に」。講師は佐伯順子先生(同志社大学大学院社会学研究科教授)。

明治初期の女性は、文明開化の下で、如何に社会貢献できるかを真剣に探求した。それは、当時の女性雑誌を見るまでもなく、新島八重、広岡浅子などの活動を見れば明らかである。明治前期の女性は、ある種、弾けていた。ところが、明治後期になるとその様相が変わる。新政府の下で、社会の近代化が進み、政治社会体制が整えられるに従って、そうした活動は抑圧されていく。いわゆる女子教育を通じて「良妻賢母」が理想とされ、女性の家庭内閉じ込めが進む。

更に、産業化、都市化が進展し、つまり経済発展の下で、男性一人稼ぎモデルが確立していく、その中で、家庭にあって男性を支えるライフスタイルが、女性の「幸せの形」とするメンタリティが生まれた。女性雑誌もそうした幻想を助長し、振り撒いていく。それが「ジェンダー・ギャップ・インデックス110位(世界経済フォーラム2018年)」に見られる現代日本の男女不平等の因ともなっているなどの解説があった。

質疑応答では、女性の社会進出をもてはやす言説の背後には、職業に対する差別意識が潜んでいるのではないか。農村労働を評価せず、都市労働に価値を置く意識である。また、男女の労働意識は、狩猟社会、農村社会、武家社会、市民社会それぞれに、差異、平等、差異、平等と糾える縄のごとくである。AI時代を迎えて、男女の関係やその労働の在り方はどう変化していくのであろうか、貴族社会に似て、男女とも働かなくてもいい社会が実現するのであろうか。その他、ジェンダー論から見た場合、夏目漱石と樋口一葉の文学的価値と評価は逆転するのではないかなど、興味深い意見交換が続きました。(文責:国際高等研究所)

  • ギター:今堀 良昭
    ベース:大嶺 泰史
    (OneNote音楽事務所)
  • 質疑応答の様子
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