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IIAS塾ジュニアセミナー
-「独立自尊の志」養成プログラム-

現在社会にあって、科学技術至上主義や経済至上主義的風潮の下では、全人的な人間形成は困難となりつつあり、次代を拓くには、人間力の基礎をなす哲学(理性・感性)によって鍛えられた「独立自尊の志」を有する「全人」の養成が求められていると考えられます。そこで、国際高等研究所では「ゲーテの会」の中から、選りすぐりの講演をテキストとして起こし、その講演をされた当該分野の第一人者とされる講師と直接語り合えるIIAS塾ジュニアセミナー〜「独立自尊の志」養成プログラム〜を開催し、次世代を担う人物育成のためのセミナーを春季と夏季に開催しています。

概要

21世紀のこれからの時代、科学技術先進国の考え方だけではなく、日本の歴史・文化的背景を踏まえ、日本人としてのこれからの人間の在り方、物の考え方を持つことが必要になります。
本セミナーでは思想文学、政治経済、科学技術の各分野について著名な講師による講義を受け、参加者は論点整理を行い、大学院生によるティーチングアシスタント(TA)の先導のもとグループ討論を繰り返します。講義による知識の獲得に焦点を当てるのではなく、その講義を題材として正解のない課題についてグループ討議を行うことで、多様な考え方をする他者の意見を受け入れ、自分の考えをまとめる経験を通じて、新たな視点や幅広い視野を獲得する場となることを目指しています。


【過去のIIAS塾ジュニアセミナーテキストを順次公開しております。詳しくは こちら から】

2025年春季 IIAS塾ジュニアセミナー

講師とテキスト

瀧 一郎

大阪教育大学名誉教授
メインテキスト
『「ベルクソン」に学ぶ―「直観」の哲学 ~ 世界の平和と人類の幸福のために ~』
サブテキスト
ベルクソン著、平山高次訳『道徳と宗教の二源泉』岩波文庫(1953年)

1959年東京生まれ。開成中学・高校卒業。東京大学大学院人文科学研究科美学芸術学博士課程修了。1995~1997年フランス政府給費留学生としてパリ第I大学(哲学科哲学史博士課程)に留学。大阪教育大学名誉教授。文学博士(東京大学)、DEA(パリ第I大学)。専門は、美学、芸術学。(公財)天門美術館理事、(特非)文語の苑理事。主要著作に、『ベルクソン美学研究-「直観」の概念に即して-』東京大学大学院人文社会系研究科 博士文学ライブラリー, コンテンツワークス, 2002.「想像と類比―ベルクソン的直観の論理」『美學』224, 2006など。

アンリ・ベルクソン(Henri Bergson, 1859-1941)はフランス・スピリチュアリスムの哲学者で、科学の実証性を重んじながら、経験に即して自然と精神との根拠を問う生命の形而上学を提唱した。哲学者として国際連盟の知的協力委員会の議長を務めるなど、思索の人として行動し、行動の人として思索する理論家にして実践者であった。「エラン・ヴィタール」の起源を求めて「愛」としての「神」へと導かれる最後の主著『道徳と宗教の二源泉』(1932)は、未曾有の危機に立つ現在の人類に託された希望の書である。二十世紀に始動した世界戦場化がテロリズムによって拡大され、迫り来る全面核戦争の危機を杞憂とばかり楽観できない今日、闘争本能を人間の本性と認めて、戦争は殆ど不可避と考えるベルクソンが、それにもかかわらず、人類の未来に絶望することなく世界平和への希望を語りうるのはいかにしてか。その哲学的遺言とも言うべきメッセージに耳を傾けてみよう。

瀧井 一博

国際日本文化研究センター教授
メインテキスト
『岩倉使節団150年を機に「日本文明」の再興を考える ~ 受容する文明から需要ある文明へ ~』
サブテキスト
瀧井一博著『文明史のなかの明治憲法』ちくま学芸文庫(2023年)

1967年福岡県生まれ。京都大学大学院法学研究科博士後期課程を単位取得のうえ退学。博士(法学)。神戸商科大学商経学部助教授、兵庫県立大学経営学部教授などを経て、現在、国際日本文化研究センター教授。専門は国制史、比較法史。角川財団学芸賞、大佛次郎論壇賞(ともに2004)、サントリー学芸賞(2010)、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト賞(2015)受賞。主な著書に『伊藤博文』(中公新書)、『大久保利通』(新潮選書)、『増補版 文明史のなかの明治憲法』(ちくま学芸文庫)他多数。

今から150年前、岩倉具視を大使とする総勢100名を超える日本人が、1年半以上の長きにわたって欧米諸国巡遊の文明視察の旅に出た。岩倉使節団である。それから150年の歳月が経過し、その間、日本は急速な近代化を遂げたが、21世紀に入って日本は明治維新にも匹敵するような国家と社会の再編成の時に直面している。日本は今、新たな岩倉使節団を必要としているのかもしれない。21世紀の岩倉使節団に求められているもの、それは、日本の文化的遺産を受け継ぎながら、世界の変化を学び取り、それに適応した新たな文明のあり方を国際的に発信する知的冒険である。

古川 安

総合研究大学院大学客員研究員
メインテキスト
『「応用をやるなら基礎をやれ」化学者たちの京都学派 ~ 福井謙一をはじめとする喜多源逸の後継者たち ~』
サブテキスト
古川安著『化学者たちの京都学派―喜多源逸と日本の化学』京都大学学術出版会(2017年)

1948年静岡県生まれ, 神奈川県育ち。1971年東京工業大学卒業。米国オクラホマ大学大学院博士課程修了。Ph.D.(科学史)。帝人株式会社を経て, 東京電機大学教授, 日本大学教授, 化学史学会会長を歴任。専門は科学史。主著に『科学の社会史―ルネサンスから20世紀まで』(ちくま学芸文庫), Inventing Polymer Science (University of Pennsylvania Press), 『化学者たちの京都学派―喜多源逸と日本の化学』(京都大学学術出版会),『津田梅子―科学への道,大学の夢』(東京大学出版会)がある。2001年日本産業技術史学会賞, 2004年化学史学会学術賞, 2018年英国化学史学会モリス賞, 2022年毎日出版文化賞, 2024年日本科学史学会特別賞受賞。

戦前から戦中にかけて京都大学工学部工業化学科教授の喜多源逸は、「化学の京都学派」と呼ばれる学派をつくり、独自の学風を植え付けた。その門下からは、 桜田一郎、兒玉信次郎、古川淳二、小田良平から、ノーベル化学賞受賞者の福井謙一、野依良治、吉野彰らへと連なる才気あふれる化学者の一群が輩出した。理学部ではなく工学部でありながら「応用をやるなら基礎をやれ」という喜多の理念のもと、「化学の京都学派」は高分子化学、有機合成化学、量子化学など関連基礎分野の開拓とその研究者養成に顕著な役割を果たした。本講演では、とくに創始者の喜多源逸(1883-1952)とその弟子で日本初のノーベル化学賞受賞者の福井謙一(1918-1998)の研究者・教育者としての生き方、考え方に注目することで京都学派の学風を考え、科学技術における創造性や人材育成のあり方を考えるヒントを探って頂きたい。

戸澤 幸作

京都市立芸術大学 美術学部 講師
メインテキスト

1987年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程単位取得。トゥールーズ第2大学(フランス)博士課程修了。博士(哲学)。現在、京都市立芸術大学 専任講師、高崎商科大学、学校法人マノ学園 真野美容専門学校、慶應義塾大学 非常勤講師。専門・関心領域は20世紀以後のフランス哲学、特にジル・ドゥルーズの哲学、哲学プラクティス。主要論文として、「「信じる」という概念の彫琢――『食人の形而上学』から『シネマ』へ」(『哲学』三田哲学会、第151号、2023年)など。
哲学することを通して、「ともに考える」喜びを分かち合うことを何より大切にしています。

寺元 静香

公益財団法人大原芸術財団 研究員・エデュケーター
メインテキスト

倉敷にある大原美術館で、未就学児から大学生までの学生団体の受け入れを担当しています。幼少期からアートやミュージアムに親しむ機会を提供することを目指し、来館される学生の皆さんに向けた鑑賞プログラムの提案・実施を行っています。特に、作品の解説にとどまらず、観察と対話を繰り返しながら鑑賞を深める「対話型鑑賞」を基点としたプログラムを取り入れています。
このプログラムでは、作品を自分の目で観察し、気づいたことや感じたことを他者と共有し対話することで、作品の見え方や自分自身の視点にも変化が生まれるかもしれません。こうした「気づき」や「発見」の体験を通じて、美術館という空間で新たな学びと感動を提供しています。

経歴:2013年、都留文科大学 文学部 社会学科環境・コミュニティ創造専攻卒業。同年、公益財団法人大原美術館 社会連携課スタッフとして勤務。2024年~公益財団法人大原芸術財団にて研究員・エデュケーターとして勤務。

開催日時
セミナー:2025年3月26日(水)~3月28日(金)  プレミーティング(オンライン):3月16日(日)17~19時

募集要項

募集対象 高校及び大学の学生で、IIAS塾ジュニアセミナー開催委員会において、受講を認めたもの概ね20名。
開催形式 2泊3日の合宿型募集案内リーフレット
ただし、1月下旬配布・配信予定の教材(メインテキスト、講義動画など)による事前学習が必須。
応募方法 申込フォーム(Googleフォーム)より必要事項を記載のうえ送信。ただし、高校生にあっては、当該高等学校の教員の推薦及び保護者の同意を得たうえで「推薦書・同意書」を郵送またはE-mailにて送付。いずれも提出締め切りは、2025年1月19日(日)
受講決定 選考結果は、2025年1月下旬、応募者本人宛て、「申込フォーム」に入力された住所へ郵送により通知。
開催場所 公益財団法人国際高等研究所 (京都府木津川市)
宿泊場所 国際高等研究所の施設内にある宿泊棟(予定)
参加費用 無料
(ただし、宿泊食事代の1万円は参加者負担)
問い合わせ・申込先 公益財団法人国際高等研究所
IIAS塾ジュニアセミナー開催委員会事務局
〒619-0225 京都府木津川市木津川台9-3
Tel:0774-73-4000/Fax:0774-73-4005
E-mail:iias19-2015@iias.or.jp
URL:https://www.iias.or.jp/
共催、後援、協力 【主催】公益財団法人国際高等研究所(IIAS塾ジュニアセミナー開催委員会)
【後援】京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県の各教育委員会(予定)
【協力】京都大学、大阪大学

申込から受講までの主な流れ

日程

応募の流れ

お申し込み
2025年1月19日(日)まで

※高校生は当該高等学校の教員の推薦及び保護者の同意を得て、推薦・同意書を添付の上、お申し込みください。

選考結果
2025年1月下旬郵送にて通知

受講決定後の流れ

オンデマンド学習
受講決定者には、学習要領送付、教材配布・配信
書類提出
受講者は事前書類を Google フォームより送付
セミナー当日
2泊3日の合宿型