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第69回 けいはんな「ゲーテの会」

開催概要

未来に向かう人類の英知を探る- 時代の裂け目の中で、人々は何に希望を見出してきたか -

69

芸術・音楽分野

アメリカ大統領とハリウッド-政治と文化(映画)の関係を探る-

【講演者】
村田 晃嗣同志社大学法学部教授・前学長
【講演者経歴】
1964年神戸生まれ。1987年同志社大学法学部卒業。1995年神戸大学大学院法学研究科博士課程修了。この間1991~95年米国ジョージ・ワシントン大学留学。2000年同志社大学助教授、2005年同教授、2011年~13年同法学部長、2013年~16年同学長。2018年より日本放送協会(NHK)経営委員会委員。1996年読売論壇新人賞・優秀賞受賞。1999年アメリカ学会清水博賞・サントリー学芸賞受賞。2000年吉田茂賞受賞。
著書に「『現代アメリカ外交の変容レーガン、ブッシュからオバマへ』(有斐閣/2009)、『レーガン-いかにして「アメリカの偶像」となったか』(中央公論新社/2011)、『銀幕の大統領ロナルド・レーガン-現代大統領制と映画』(有斐閣/2018)などがある。
【講演要旨】
今回は、特別企画として趣向を変え、アメリカ政治研究の第一人者、村田晃嗣先生(同志社大学教授・前学長)をお迎えし、映画に描かれたアメリカ大統領の姿を通して、焦眉の現代的課題である「政治」と「文化」の関係を考えることとしました。
講演要旨は次の通りです。
①政治史(社会科学)と映画史(人文科学)との架橋による現実社会の把握の新たな視点を学ぶ。
②日本における政治とアメリカにおける政治との基本的差異を映画文化の成立過程を通じて照らし出す。
③特に、映画と戦争と民主主義をテーマに、アメリカの政治と日本の政治の今後のあり方を考える。
開催日時
2019年3月19日(火)18:00~20:30
開催場所
公益財団法人国際高等研究所 レクチャーホール
住所
〒619-0225 京都府木津川市木津川台9丁目3番地
参加費
2,000円(飲み物、茶菓等代含む)
定員
100名(申し込みが定員を超えた場合は抽選)
締切
2019年3月18日(月)必着

当日の様子

2019年3月19日(火)18時から、満月の夜開くけいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」が、国際高等研究所で開催されました。今回は、特別企画として映画鑑賞を交えた講演が行われました。会場となった「レクチャーホール」は、立地研究機関・企業の方々のほか近隣住民の方など約70名の参加があり、会場は満席状態となりました。
テーマは「アメリカ大統領とハリウッド―政治と文化(映画)の関係を探る」。講師は、村田晃嗣先生(同志社大学法学部教授・前学長)。紹介映画は、『スミス都へ行く』、『パークランド、ケネディ暗殺、真実の4日間』、『ホワイトハウス・ダウン』、『インディペンデンス・ディ・リサージェンス』。
各映画が制作された時代背景とその映画に込められたメッセージを読み解きながら、また、多数で作られ、多数で消費される映画と民主主義の共通点にも触れながら、アメリカ政治の根底を支える制度としての民主主義と、理念としての民主主義の相克の諸相を事例豊かに説明。

例えば、『スミス都へ行く』は、1930年代の作。ナチズム批判を背景に持ちながら、その写し絵として、アメリカ政治を題材に、既得権に拘泥するワシントンの長老達の多数が、希望を胸に理想に燃える若き政治家スミスの主張を阻害していく姿を描く。そのことによって、「多数の不正義」が「少数の正義」を敗北に追いやることもあるという民主主義の不条理を指摘。
ところで、映画に描かれた歴代のアメリカ大統領のベストスリーは、南北戦争を戦ったリンカーン、建国の父ワシントン、第二次世界大戦を戦ったルーズベルト。いずれも国家の存亡の危機を体現した大統領である。トランプ大統領はそれ自身がエンタテインメント性を有している。リベラル派でもなく、ハリウッドとの関係も良くなく、映画化されるかどうか分からない。
翻って、日本では、戦前は天皇が、戦後は首相が政治を体現しているが、戦後、少なくとも現在に至るまで、国家存亡の危機が懸かる政治状況にはなく、平和裏の下で、映画のテーマになるほどの事態が生じていない。政治を描いた映画にも見るべきものはない。

ただ、1950年代、日本社会の心理状態を反映して、日本で制作された代表的映画に『ゴジラ』、『七人の侍(黒澤明監督)』、『24の瞳(木下惠介監督)』がある。それぞれに、アメリカの原水爆実験、自衛隊創設などの出来事が背景にあり、また、不戦の誓いなどのメッセージがそこに込められている。
また、「ゴジラ」は「アメリカ」あるいは先の大戦の「英霊」がシンボライズされたものであるとの議論も紹介され、更に、日本は、これらが上映された1954年当時の心理状態からいまだに抜け出せないでいる、との指摘もあり、政治と文化(映画)との関係について多くの参加者が興味深く聞き入り、また質疑に参加しました。(文責:国際高等研究所)

  • 映画上映の様子
  • 質疑応答の様子
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