- 日 時
- 2022年6月4日(土)14:00 〜 17:00
- 鼎談会場
- 国際高等研究所
(一般参加者の方は、高等研での参加は出来ません。) - 参加費
- 無料
- 定 員
- 100名
(先着順・定員になり次第締め切り) - 締 切
- 2022年5月31日(火)
- 開催にあたり
- 今回の「meta鼎談」は、一般参加者の方には、ZOOM Webinarシステムを利用して配信します。
インターネット環境の整備が前提となります。
お申込者には、事前に ZOOM の招待メールをお送りします。
受付時間(13:30 ~ 14:00)内に、事前にご連絡するURLからアクセスしてください。 - 主 催
- 公益財団法人 国際高等研究所
<「新たな文明」の萌芽、探求を!>プロジェクト事務局
e-mail:goethe0828@iias.or.jp - 問合せ先
- 申込・視聴など、Peatixの利用方法についてご質問などがございましたら、
下記のヘルプページをご確認いただくか、お問合せ窓口にご連絡ください。
Peatix ヘルプページ https://help-attendee.peatix.com/ja-JP/support/home
Peatix お問い合わせ窓口 https://help-attendee.peatix.com/ja-JP/support/tickets/new
2022.6.4(土)第1回「けいはんなmeta鼎談」開催概要
2022年6月4日(土)14時から国際高等研究所において第1回「けいはんなmeta鼎談(哲学×科学×技術)」が開催されました。ハイブリッド形式で開催され、対面(会場)で約20名、on-lineで約70名の人が全国から参加されました。
鼎談者は、哲学分野から大澤真幸先生(京都大学元教授)、科学分野から佐藤文隆先生(京都大学名誉教授)、技術分野から藤井啓裕先生(大阪大学教授)。モチーフは、「量子論」が開く世界。
本「meta鼎談」は、本年度から起こされた〈「新たな文明」の萌芽、探求を!〉プロジェクトの一環として開催されたもので、これまでの「満月の夜開くけいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」」の継承・発展を図るもの。
その趣旨は、近代合理主義を超えて新たな社会を展望するには、古典力学の世界観に代わる新たな世界観が希求される。そのためには、「量子論」は避けて通れないテーマであるとして、初回のモチーフを、「「量子論」が開く世界」とされた。
冒頭、佐藤先生から、「量子力学は人間の特殊(非普遍)性の炙りだし」のタイトルの下に、量子論は、現在、第一の革命期(物質の量子論)を経て、第二の革命期(情報の量子論)を迎えており、量子情報隆盛の時代となっている。また自然と科学の関係に関わって観測問題に触れ、「実在」と「認識」のギャップの問題を指摘、量子状態の制御が自由になった時代での世界観への影響などについてお話がありました。
藤井先生からは、量子コンピュータに関心を寄せた経緯にも触れて、嘗て、物理学から分離した情報論が数学理論を纏って、再び物理学と融合し、今、量子情報論として発展してきていること、またそれが量子コンピュータ等、量子論の実用化への進展へとつながっているとのお話がありました。
その後、大澤先生の進行の下に、佐藤先生、藤井先生の冒頭のお話を受けて、また、①哲学論としての量子論(実在論と認識論など)、②応用論としての量子論(量子コンピューターの意義など)、及び③量子科学の教育論(数学の効用など)、その他参加者から課題提起にも触れながら鼎談が進みました。
特に、量子力学的世界における「観測」の意義、量子コンピュータと従来コンピュータとの異同(本質的・有用性)、更に、また、量子力学から見た時間概念の特殊性など議論が多岐にわたりました。
質疑では、量子力学によるテレパシー現象の説明の可能性、「重ね合わせ」状態での計算の出力結果と検証、ボーア・アインシュタイン論争に係る「ボーアの相補性」の意義、量子論の普及と社会思潮の変化との関連性、因果異時/因果俱時の対比を論じる仏教哲学の評価など、多様かつ多数の質問が提起され、興味深い応答となりました。
最後に、鼎談者各々から、まとめのご発言。佐藤先生から、量子力学が学問や社会のイメージを転換するのではとの予感、藤井先生から、基本に立ち返っての議論で新たな発見があったこと、最後に、大澤先生から、知の在り方に関して、原理的理解を脇に置いて実用化を推進することの意義とともに、分かる(理解する)ことと同等に、分からない(不思議に思う)ことの重要性についてご発言がありました。
なお、本「meta鼎談」で提起された多くの意見・質問について、次に開催の「市民懇談」の場で継続的に議論を重ねることを誓って、記念すべき第1回「けいはんなmeta鼎談」を終えました。(文責:国際高等研究所)