公募研究
グローバルな分配的正義を促進する
科学システムと科学者の役割に関する研究
- 研究代表者:新福 洋子
- 広島大学大学院医系科学研究科教授
分配的正義の観点から、より包括的で公平、かつ平等な科学システムと科学者の役割を検討し、未来に続く若手世代がそうした議論に参加し、国際的な活動のスキルを向上するために、分野横断的な若手~中堅の研究者のネットワークを形成する。分配的正義に関する最近の動向を、文献、国際会議の参加者からの聞き取りによる調査や国際会議に合わせてイベントを組み、議論を展開する。それらの議論の結果を積み上げ、論文として発表する。
参加研究者リスト2024.04.01現在
- 新福 洋子
- 広島大学大学院医系科学研究科教授
- 隠岐 さや香
- 東京大学大学院教育学研究科教授
- 狩野 光伸
- 岡山大学学術研究院へルスシステム統合科学学域教授
- 近藤 康久
- 総合地球環境学研究所研究教育部教授
- 坂元 晴香
- 東京女子医科大学医学部准教授
- 標葉 隆馬
- 大阪大学社会技術共創研究センター准教授
■ 研究目的・方法
人類は現在、気候変動や感染症、紛争といった世界規模の惨事を抱えている。グローバルには、その影響を直接的に受ける人、間接的に受ける人、影響を受けにくい人がいる。感染症を例に取ると、ワクチンの世界的な分配の不平等は、健康格差に加え、渡航の可否にも渡り、機会の損失という不平等を生み出した。しかし感染症は一部でも残ればそこから変異する可能性も残され、残りの人類にも不幸な未来を生み出しかねない。人類の未来と幸福のためには、科学技術から得られる恩恵を、グローバルに公正に分配する仕組みが必要である。本プロジェクトの目的は、分配的正義の観点から、より包括的で公平、かつ平等な科学システムと、その達成に向けて科学者はどのような役割を担うかを検討することである。
研究方法
1.チームビルディング:参加メンバーによるオンライン会合によって、テーマに関し感じている課題を共有し、以後の研究活動について合意を得る。
2.文献調査:分配的正義、科学ディアスポラ、科学技術外交、特に現存する国際団体の役割に関する最近の動向を文献や国際団体の委員からの聞き取りによって調査する。
3.国際会議での議論:参加メンバーとの議論によって抄録をまとめ、国際会議にアジェンダを提出する(GYA総会・学会、WSF等を想定)。
4.論文執筆:参加メンバーで議論した内容をまとめ、論文化する。
今後の計画・期待される効果
3回目の会議で提案された、事例の時間軸、空間軸、社会的属性での検討を行い、分配的正義を実践するための枠組み
について理解を深める。事例は国際的な大きな事象と、ローカルな事象とを考えてみたい。
2024年11月世界災害看護学会での企画セッションへの登壇を計画している。その他にも国際的な大きなイベントがあった際に、対応する。その際には研究メンバーに限らず広く若手研究者を巻き込むようにする。
文献検討から書き始めているペーパーを書き上げ、国際ジャーナルに提出する。すでにパナマとナミビアの研究者に共著に入ってもらっており、内容によっては更なる協力者を募る。