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第33回 けいはんな「エジソンの会」

開催概要

第5世代移動通信システム(5G)

講師
  • 亀井 卓也
    株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 ICTメディア・サービス産業コンサルティング部 テレコム・メディアグループマネージャー
  • 中村 武宏
    株式会社NTTドコモ 執行役員 5Gイノベーション推進室室長
開催日時 2019年11月7日(木)14:00~18:30
開催場所 公益財団法人国際高等研究所
住所 〒619-0225 京都府木津川市木津川台9丁目3番地
概要 AI、IoT、ビッグデータ等、科学技術の飛躍的な進化と同様に、今もっとも注目される「第5世代移動通信システム(5G)」は、超高速大容量化・超多数端末接続・超高信頼低遅延通信という新たな特徴が備わることにより、その適用範囲が飛躍的に増え、すべてのものがネットに繋がるIoE(Internet of Everything)の世界を加速させ、これまでの延長線上では予期できない巨大市場を生み出すものと思われます。
第33回会合では、我が国における情報通信政策の立案を支援し、ベストセラー「5Gビジネス」の著者でもある亀井卓也氏より、次世代通信システムの全貌について、生活や社会に与える影響を国内外の最新情報を盛り込みながら説明頂きます。また、新通信システムを牽引し、5Gおよびコネクティッドカーの研究開発および標準化をリードしている中村武宏氏には、5Gを中核に据えた企業戦略と新たなビジネスの可能性についてご説明頂きます。

次世代移動通信システムの最新動向やそれらを利用した様々な分野への応用の可能性に触れて頂くことにより、5Gが我々の生活や社会をどのように変革していくのか、分野を超えた研究者・技術者、企業の様々な立場の皆様にも大いに参考にしていただけるものと期待しています。
配布資料
講師:中村 武宏 「5Gのリアルと未来 」
PDF [4 MB]
共催、後援、協力 【後援】 国立研究開発法人理化学研究所
     公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構

タイムテーブル

13:30
受付開始
14:00-15:00
「5G時代のビジネス変革」亀井 卓也 
株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 ICTメディア・サービス産業コンサルティング部 テレコム・メディアグループマネージャー
15:10-16:10
「5Gのリアルと未来 」中村 武宏 
株式会社NTTドコモ 執行役員 5Gイノベーション推進室室長
16:20-17:30
インタラクティブ・セッションご登壇者(亀井卓也氏、中村武宏氏)
上田 修功 エジソンの会スーパーバイザー
17:40-18:30
情報交換会

当日の様子

5Gの技術は、高速大容量、超低遅延、多数同時接続により、現実世界の情報をデジタルのサイバー世界に変え、サイバーの世界から現実の世界へと双方向のやり取りを遅滞なく、リアルタイムかつ安全につなぐ要となる技術であることを理解しました。
サイバーフィジカルシステムがより強化されることによって、これまでの製品やサービスが陳腐化する一方、あらゆる分野でこれまで予期しなかった新たな市場が生まれてくると思われます。世界との競争の中で、日本はこのビッグチャンスを如何に生み出していくのか、またどのようにビジネスにつなげていくのかという点がこれからの重要な課題だと思いました。

「第5世代移動通信システムが生活や社会に与えるインパクト」

亀井 卓也 
株式会社野村総合研究所
コンサルティング事業部ICTメディア・サービス産業コンサルティング部
テレコム・メディアグループマネージャー

移動通信システムは、アナログ方式からデジタル方式へと転換し、世界共通方式の採用も経て、およそ10年の周期で大きな変革を迎えている。データ通信量はスマホと動画利用に牽引され、2020年には昨年の2倍の増加が予想されるが、これは国内外を通して同様のトレンドとなっている。5Gは、高速大容量、超低遅延、多数同時接続が特徴であるが、それらは単にアクセス方式の変更という捉え方ではなく、通信が今後も飛躍的に進化していく中で如何に活用するべきかという観点がもっとも重要となる。
世界の現状を見ると、モバイル用スマホ向けは米国と韓国では4月からサービスが開始され、2020年といわれていた実現時期がグローバルな競争の中で大きく前倒しされている。日本においては、ラグビーワールドカップに代表されるパブリックビューイングでの体験を提供する試みや、ARグラスを使った現実とバーチャル空間を無くす試みなどが行われている。また、高解像度カメラによるリアルタイム遠隔監視、特に監視車両による危機検知などは、通信インフラの進化を前提としたサービスとして期待が高い。ロボティクスとの組み合わせによる遠隔操作技術は、医療分野での応用も可能となってきた。ミリ波の指向性が高い特性を利用したタッチレス認証や建物内位置情報の把握にも利用が広がるだろう。
5Gの導入は、従来のサービスに加え幅広い産業に寄与するが、従来のB2CやB2Bから、B2B2Xというビジネスモデルの転換が大きな意味を持つ。通信事業者は、従来の回線提供に伴う課金にとどまらず、中間に位置する法人(センターBまたはミドルB)を介した新たなソリューションやサービスの提供が可能となり、センターBとの位置づけが非常に重要となる。
政府は、5Gを地方における社会課題の解決策と位置づけ、周波数割当条件や補助金政策に反映させるなど、技術的新規性の追求よりも、地域における多様な利用シーン開発を主題として地域創生を促進している。同様に移動体通信事業者以外の事業者が免許人となれる「ローカル5G」制度の検討や、広帯域移動無線アクセスシステムBWA(Broadband Wireless Access)の自営版として固定無線アクセスシステムFWA(Fixed Wireless Access)の提供など、ミッションクリティカルな産業分野への展開も今後ますます期待が高まっていく。

「5Gのリアルと未来」

中村 武宏 
株式会社NTTドコモ
執行役員 5Gイノベーション推進室室長

移動通信システムは、マーケットのニーズを取り込みながら概ね10年ごとに大きな進化を果たしてきた。ドコモは、5GをDX(デジタルトランスフォーメーション)の柱として推進し、これまでと同様、世界標準の要件を満たすために様々な要素技術を開発し大きな進化に寄与してきた。
2020年春からの商用サービス開始と東京オリンピック/パラリンピック開催の目標に向けて、ラグビーワールドカップ開催を契機に、ドコモは本年9月よりプレサービスを開始した。ライブビューイングやマルチアングルによる新しい観戦スタイルの提供を行っている。
プレサービス開始時より、ドコモは3つの周波数帯を運用するが、100MHzと400MHz帯域幅は5Gの可能性を最大限に生かす周波数帯であり、実用化に向けた準備を行ってきた。特にミリ波の利用は、電波が届きにくく、実用化に向けての難易度が非常に高いが、高いスループットを見込むことが可能な領域である。2020年には、高速・大容量化がもっとも必要とされるエリアから導入を開始し、その後、郊外や地方への拡大を順次図っていく。
ドコモは、5G時代の新たなビジネスの協創を目指し、豊かな未来の実現、社会課題の解決や地方創生に取り組んでいくため、オープンパートナープログラムを立ち上げている。11のオープンラボ拠点で技術検証環境を提供し、パートナーの持つ多くのアセットを利用するために、クラウド基盤を活用して、より多くの社会的課題を解決していく。地方創生、医療・介護、防災・防犯、労働力不足への対応など、多岐にわたる分野で、すでに200以上の協創事例を創出してきた。
5Gは導入当初からどこでも使える、いつでもどこでも10Gbpsが保証されている、1msの低遅延サービスが提供される、あらゆるユースケ-スに対応可能など、多くの誤解が生じているが、それらは産業界からの注目の高さと受け止め、より技術課題の解決に努めていかなければならない。
今後は、VR/AR映像体験、空のモビリティに加え、海や空や宇宙へも利用範囲を拡大しながら、より豊かな未来を目指し、社会課題解決に向けた超高性能の移動通信システムの実現に向けて取り組んでいきたい。

[インタラクティブ・セッション]

5Gの世界市場での日本の立ち位置と海外への参入可能性、AI技術との関係、日本の優位性、移動通信と今後展開されるIOWN(Innovative Optica & Wireless Network)との関係、海外での日本のイニシャティブと国民性、ミッションクリティカルな分野への5Gの適用と課題、5GとWi-Fiの用途別特徴とそれぞれの優位性、自動運転の今後の展開、個人情報保護と個人のリテラシー、パーソナルデータの保護とセキュリティ対策など、様々な角度から活発な意見交換が行われました。

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