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第49回 けいはんな「エジソンの会」

開催概要

2024年ノーベル賞AI(人工知能)研究が初の快挙

講師
  • 上田 修功氏
    国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センター 副センター長

    1982年大阪大学工学部通信工学科卒業。1984年 同大学院通信工学専攻修士課程修了。同年日本電信電話公社(現NTT)横須賀電気通信研究所入所。1992年博士(工学)。1993-1994年米国Purdue大学客員研究員。2010-2013年 NTTコミュニケーション科学基礎研究所所長。2014年同研究所上席特別研究員、2016年同研究所 特別研究室長(NTTフェロー)、理化学研究所革新知能統合研究センター 副センター長。2019年よりJST CREST数理情報基盤研究総括、ムーンショット目標3サブプログラムディレクター、現在に至る。電子情報通信学会(フェロー)、文部科学大臣表彰(科学技術賞)、電子情報通信学会功績賞等受賞。現在、主にAI技術の自然科学(物理学、医学)への応用に関する研究に従事。
  • 大上 雅史氏
    東京科学大学 情報理工学院 情報工学系 准教授

    2014年 東京工業大学 大学院情報理工学研究科 博士後期課程修了、博士(工学)。同年日本学術振興会 特別研究員(PD)、2015年 東京工業大学 大学院情報理工学研究科 助教、2016年 東京工業大学 情報理工学院 助教、2020年 東京工業大学 情報理工学院 テニュアトラック助教、2024年
    東京工業大学 情報理工学院 准教授(大学名改称により2024年10月 東京科学大学 情報理工学院
    准教授)、現在に至る。タンパク質間相互作用予測AIの開発を中心に、バイオインフォマティクスとスーパーコンピューティングの融合研究を展開。2022年よりJST創発研究者。2014年日本学術振興会育志賞、2015年 手島精一記念研究賞、2018年 公益財団法人 船井情報科学振興財団
    船井研究奨励賞、2019年 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞、2020年 Oxford Journals – Japanese Society for Bioinformatics Prize、2022年 情報処理学会山下記念研究賞、同年 安藤博記念学術奨励賞、2023年 CBI学会若手奨励賞、2024年 情報処理学会マイクロソフト情報学研究賞など、受賞。
開催日時 2025年4月25日(金)14:00~18:00
開催場所 公益財団法人国際高等研究所
住所 〒619-0225 京都府木津川市木津川台9丁目3番地
概要  1901年より100年以上にわたって⼈類に多⼤な貢献をした⼈物に贈られてきたノーベル賞ですが、昨年初めて物理学/化学の2分野で⼈⼯知能の研究者が受賞しました。この受賞は、世界中を驚かせ、コンピューターサイエンスが初めて世界に認められた記念すべき年となりました。
 今回の会合では、物理学賞を受賞された「AI(⼈⼯知能)の⽗」と呼ばれるジェフリー・ヒントン⽒と深い親交のある上⽥⽒より、受賞内容を通し、その⾰新性と様々な領域での影響を、最新研究事例を交えながらお話し頂きます。また、⼤上⽒より、化学賞を受賞したDeepMind社のハサビス⽒、ジャンパー⽒の研究で、すでに世界の200万⼈以上の研究者が利⽤しているAIシステム(AlphaFold)のご説明を通し、合成⽣物学の⾶躍的な発展による今後の展望についてお話しを頂きます。
 両受賞における⼈⼯知能の多岐にわたる可能性を⽬の当たりにしながら、今後も我々の⽣活や社会の変⾰にますます⼤きな影響を与える⼈⼯知能と⼈類の未来について語り合いませんか。
配布資料
第49回「けいはんなエジソンの会」チラシ
PDF [269 KB]
講演資料_上田修功先生
PDF [12 MB]
講演資料_大上 雅史先生
PDF [9 MB]
共催、後援、協力 【後援】 国立研究開発法人理化学研究所
     公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構

タイムテーブル

13:30
受付開始
14:00-15:00
「人工ニューラルネットワークによる機械学習 ~その発明と応用~」上田 修功氏
国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センター 副センター長
15:10-16:10
「AlphaFold ~タンパク質の立体構造予測がもたらす未来の創薬・医療~」大上 雅史氏
東京科学大学 情報理工学院 情報工学系 准教授
16:15-17:15
インタラクティブ・セッションご登壇者(上田修功氏、大上雅史氏)
上田 修功氏 「エジソンの会」スーパーバイザーを兼務

※インタラクティブ・セッションは、参加者からの質問や意見を登壇者と討議する場です。
17:20-18:00
情報交換会
主催者による記録・広報等のため、本イベントの写真撮影・録画・録音、オンライン配信、ソーシャルメディア配信等を行う場合がございますので、予めご了承ください。

当日の様子

始めに、受賞者で「人工知能の父」と呼ばれるジェフリー・ヒントン氏と親交の深い上田修功氏より、「人工ニューラルネットワークによる機械学習 ~その発明と応用~」と題してご講演を頂きました。ご講演では、ヒントン氏との出会いやエピソードを交えながら、ノーベル物理学賞の反響を振り返り、絶え間なく進化を続ける機械学習の変遷と生成AIの最新情報をご説明頂きました。特に超並列計算物理シミュレーションと機械学習の応用による地震動予測・被害予測では特筆すべき研究成果を生み出しており、今後も益々の進化が期待されることが分かりました。
次に、AIシステムを活用した合成生物学を牽引している東京科学大学の大上雅史氏より、「AlphaFold ~タンパク質の立体構造予測がもたらす未来の創薬・医療~」と題してご講演を頂きました。ご講演では、ノーベル化学賞の反響を振り返り、受賞対象となったAIシステム(AlphaFold)の構造を明らかにしながら、創薬・生命科学の革新と進化を絵や図を駆使して分かり易く説明頂きました。AlphaFoldがタンパク質の立体構造を予測し、新たな構造を作り上げていくことで、新たな生命へのアプローチにも大きな期待が持てると同時に、使い方によっては人類を滅ぼすツールにもなり得ることへの不安も感じました。
インタラクティブセッションでは、AIはノーベル賞を取れるのか、無限にスケールアップするAIが神の域に達するのか、感情や意識を持つことが出来るのか、数学の定義を解くことが出来るのかなど多くの質問がありました。また、AI時代の教育について今後どのように学生と接して行けばよいかなど具体的な質問もあり、生成AIを利用する上で「考える力」を持つことの重要性を理解しました。
今回は、インタラクティブセッションの冒頭で、おふたりが研究者になられた経緯、研究者としての思いや醍醐味などもお話頂き、それぞれの領域のトップランナーである先生方が非常に身近に感じられたとともに、「雲の上の人」でもある受賞者ヒントン氏の素顔や人となりを知ることができ、いつもとは一味違う会合になったのではないかと思いました。

文責:エジソンの会事務局

「人工ニューラルネットワークによる機械学習 ~その発明と応用~」

上田 修功氏
国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センター 副センター長

「AlphaFold ~タンパク質の立体構造予測がもたらす未来の創薬・医療~」

大上 雅史氏
東京科学大学 情報理工学院 情報工学系 准教授

  • インタラクティブ・セッションの様子
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