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満月の夜開くけいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」
「新たな文明」の萌芽、探究を!
第2回 けいはんな市民懇談
「皆が専門家、皆が素人」
「けいはんな学研都市」は、その建設理念に照らし、次代を拓く「新たな文明」の萌芽探求の好適地です。
そこで、2022年度、新たに、<「新たな文明」の萌芽、探求を!>プロジェクトを起こし、
「meta鼎談(哲学×科学×技術)」を、そして「市民懇談(roundtable)」を開催してまいります。
本「市民懇談(round table)」は、科学コミュニケーションの手法に精通されている先生にモデレーターをお願いして、
市民の皆様が主体となって議論する場です。
「けいはんなmeta鼎談」にご登壇いただいた先生にもメンターとしてご参加いただきます。
「市民懇談」の会場には、<「新たな文明」の萌芽、探求を!>プロジェクトにご賛同いただいた
市民(地域住民、高校生、大学生、立地企業や研究機関等にお勤めの方々)の中から約20名をご招待します。

「日本文明」の固有性と普遍性

―「近代文明」の限界を超えて―

世代を超えて、立場を越えて、分野を超えて、

次代を拓く最先端の議論を、あなたと共に。
混迷を深める現代社会
けいはんな学研都市から「新たな文明」の萌芽、探求を!

日 時
2023年7月15日(土)14:00~17:00
懇談会場
国際高等研究所
(一般参加の方は、オンライン参加又は会場オブザーバー参加となります。)
参加費
無料
定 員
オンライン参加100名、会場オブザーバー参加15名
(先着順・定員になり次第締め切り)
締 切
2023年7月12日(水)
参加方法
Peatixからの参加申込のみとなります。事前申込の上、ご参加いただきますようお願いします。
オンライン参加の方には、Zoom Webinarシステムを利用して配信しますので、インターネット環境の整備が前提となります。
お申込者全員に、事前にPeatixからZoomの招待メールをお送りします。
受付時間(13:30~14:00)内に、事前にご連絡するURLからアクセスしてください。
主 催
公益財団法人 国際高等研究所
<「新たな文明」の萌芽、探究を!>プロジェクト事務局
e-mail:goethe0828@iias.or.jp
問合せ先
申込・視聴など、Peatixの利用方法についてご質問などがございましたら、
下記のヘルプページをご確認いただくか、お問合せ窓口にご連絡ください。
Peatix ヘルプページ   https://help-attendee.peatix.com/ja-JP/support/home
Peatix お問い合わせ窓口 https://help-attendee.peatix.com/ja-JP/support/tickets/new
開催趣旨

 「文明論」をテーマとして、第92回「満月の夜開くけいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」」、及び第2回「けいはんなmeta鼎談(宗教哲学×国際政治学×自然人類学)」を開催しました。当該の講演、鼎談において論議された内容について、その視聴者を中心に、市民と専門家、教師、次代を担う学徒など多様な人々の参加を得て、市民が主体となって学び合う場を設えることとします。この場を通じて、本テーマに関し、市民の方が広くリテラシーを身に付けるきっかけとなることを期待しています。

・第92回「ゲーテの会」 岩倉使節団150年を機に「日本文明」の再興を考える(2023年5月12日)
・第2回「けいはんなmeta鼎談」 「日本文明」の固有性と普遍性-「近代文明」の限界を超えて(2023年6月17日)
モデレーター
本田 隆行 先生 本田 隆行 先生

科学コミュニケーター


皆さんは「文明」という言葉から、何を想像されますか?古代、人類が築き上げた四大文明を思い浮かべる人もいれば、多様に広がる現代文明を連想される人もおられるかもしれ ません。人間は高度に発達した社会性を一番の武器とすることで、これまで地球上での生存競争を生き延びてきました。高度な社会や文化という概念を包摂する「文明」という言葉について、文理を問わず多様な視点から掘り下げて対話を重ねることで、今後も人類が生き延び続けるための”ヒント”を少しでも浮き彫りにすることができればと思います。


神戸大学にて地球惑星科学を専攻(理学修士)。 地方公務員事務職(枚方市役所)、国立科学館(日本科学未来館)を経て、国内でも稀有なプロの科学コミュニケーターとして活動中。「科学とあなたを繋ぐ人」として、科学に関する展示企画、実演の実施・監修、大学講師やファシリテーター、行政委員、執筆業、各メディアでの科学解説など、なんでもこなす。著書・監修に『宇宙・天文で働く』(ぺりかん社)、『もしも恐竜とくらしたら』(WAVE出版)、『知れば知るほど好きになる 科学のひみつ』(高橋書店)など多数。

個人web page : https://www.sc-honda.com
メンター
末木 文美士 先生 末木 文美士 先生【宗教哲学】

国際日本文化研究センター名誉教授


今日、日本の経済や政治の劣化停滞が著しい。長い間日本の歴史は世俗権力と精神文化が拮抗しつつ協力してきた。そのような伝統をもう一度評価すべきである。


1949年、山梨県生まれ。1978年、東京大学大学院人文科学研究科単位取得。博士(文学)。東京大学、国際日本文化研究センター教授を歴任。現在、同大学、同センター名誉教授。比較思想学会理事、前会長。未来哲学研究所長。毎日出版文化賞、中村元東方学術賞受賞。仏教学・日本思想史を専攻し、その研究によって得られた知見を現代に生かし、新しい哲学・倫理学の確立を目指している。著書多数。

当日のプログラム(予定)
13:30 ~ 14:00 受付
14:00 ~ 14:10 はじめに(モデレーターの挨拶)
14:10 ~ 15:00 参加者問題提起
15:00 ~ 16:15 参加者意見交換
16:15 ~ 16:45 参加者・メンター感想
16:45 ~ 17:00 おわりに(モデレーターのまとめ)

2023.07.15(土)第2回「けいはんな市民懇談(round table)」開催概要

 2023年7月15日(土)14時から国際高等研究所コミュニティホールで、「文明論」をテーマに第二回「けいはんな市民懇談(round table)」がハイブリッド形式(対面・遠隔)で開催されました。全国から50名に及ぶ方々の参加があり、うち会場には「けいはんな学研都市」の関係者を中心に13名の方にご出席いただきました。
 なお、当日は、メンターとして末木文美士先生(日文研名誉教授)をお迎えし、また科学コミュニケーターの本田隆行氏にモデレーターに当たっていただき、zoomウエビナー機能を十全に活用して会場内外を結んで意見を交わしました。
 本「市民懇談」は〈「新たな文明」の萌芽、探求を!〉プロジェクトの一環として開催されたもので、モティーフは『「日本文明」の固有性と普遍性ー「近代文明」の限界を超えてー』。この懇談に先立って、参加者からKJ法的手法で関心事を募り、50件に及ぶ提起案件をカテゴリー化し、インデックス的には、①「科学・技術」、②「文化・宗教」、③「戦争・平和」のセッションを設けて、順次、議論を交わしました。
 ①「科学・技術」のセッションでは、彼我の科学・技術に係る精神の在り様を巡って、日本においては、事物の固有性、或いは日常生活への有用性の探求に関心が向かう、反して西欧においては事物の普遍的法則性の探求、或いはそのシステム的把握に関心が向かう傾向にある。その因は社会環境等様々なものがあろうが、遠因としてアジア(日本)の自然環境の多様性・複雑性もそれに与っているのではないか。
 ②「文化・宗教」のセッションでは、国家・社会の統治の形に関する彼我の違いにこと寄せて、西欧では、神(キリスト)を社会の最上部、つまりピラミッドの頂点に据えてきた。反して日本では、「空海」の思想を顧みるまでもなく、神仏は伝統的に神仏習合の下に社会の基底部に置かれ、かつ、儒教の教えもあって礼節を尊ぶ「和」の精神を養ってきた。これが明治維新を機に欧化思想の下で壊され、その弊害は現代に至って顕著である。「日本文化」・「日本文明」の再興を展望するとき避けて通れない論点ではないか。
 ③「戦争・平和」のセッションでは、ユネスコ憲章序文の理念「人の心の中に平和の砦を」の視点から平和の礎を築くことは、新たな視点として注目に値する。客観的加害者・被害者が、主観的(精神的)には必ずしもそのとおりではない場合がある。逆転現象もある。被害者意識を持って加害行為を行う場合である。例えばウクライナへのロシアの侵攻。「個」と「個」の衝突、支配・服従を超えた「包越の思想」が待たれるのではないか。
 各セッションの議論はそれぞれに盛り上がり、参加者の胸の中に「新たな文明」の萌芽が胚胎する兆しを感じながら、心地よい「もやもや」感を覚えながら、また、「新たな文明」の萌芽探究に対する「けいはんな学研都市」の使命にも思い致しながら、そして最後に事務局から、「継続的学びの場を、皆様と共に!」を訴えて、懇談を終えました。(文責:国際高等研究所)

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