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基幹プログラム

教育を基軸とした住民参加型地域振興

研究代表者:高見 茂
国際高等研究所副所長、京都光華女子大学長、京都大学学際融合教育研究推進センター特任教授

けいはんな学研都市は、街びらきから30余年の間に、約150の研究機関や大学、文化施設が設置され、道路や公共交通機関の整備が進み、人口も増加した。これからの30年は、ハード面の充実に加え、人々の新たな関係性の構築や幸福感の醸成といったソフト面での充実も重要になるであろう。本研究は、教育を基軸とし、住民参加型の手法も活用しながら、この地域が国際教育都市として発展する方向ーー「けいはんな学研都市地域と軸とした教育システム輸出拠点の形成」と、身心の健康維持促進の実践の場となる方向ーー「けいはんな学研都市地域の振興に向けた具体的試み~ヘルスリテラシー向上を通して~」の二つを追究し、けいはんな学研都市地域の振興に貢献することを目指す。

【けいはんな学研都市地域を軸とした教育システム輸出拠点の形成】
参加研究者2020.04.01現在

高見 茂 国際高等研究所副所長、京都光華女子大学長、京都大学学際融合教育研究推進センター特任教授
郭  暁博 神戸松蔭女子学院大学教育学部講師
島田 健太郎 開志専門職大学事業創造学部助手、京都大学学際融合教育研究推進センター特任講師、
白銀 研五 びわこ学院大学教育福祉学部講師
杉本  均 京都大学大学院教育学研究科教授
全  京和 京都光華女子大学こども教育学部講師
谷本 寛文 京都光華女子大学こども教育学部准教授
智原 江美 京都光華女子大学こども教育学部教授
中島 悠介 大阪大谷大学教育学部准教授
長久 善樹 学校法人啓明学院社会科教諭
南部 広孝 京都大学大学院教育学研究科教授
西川  潤 京都光華女子大学健康科学部講師
服部 憲児 京都大学大学院教育学研究科准教授
福田  一 学校法人啓明学院英語科教諭
松本 圭将 京都大学大学院教育学研究科博士後期課程
宮村 裕子 畿央大学教育学部准教授
山田 基靖 学校法人摺河学園学園長
廖  于晴 京都大学学際融合教育研究推進センター特任教授
渡辺 雅幸 びわこ学院大学教育福祉学部講師

【けいはんな学研都市地域の振興に向けた具体的試み~ヘルスリテラシー向上を通して~】
参加研究者2021.04.01現在

高見 茂 【研究代表者】国際高等研究所チーフリサーチフェロー、
京都光華女子大学学長、京都大学学際融合教育研究推進センター特任教授
有山 将人 生駒市都市整備部都市計画課長
池田 一也 京田辺市企画政策部部長
大原 真仁 精華町総務部企画調整課長
角井 力 奈良市都市整備部都市計画課長
加藤 博和 名古屋大学大学院環境学研究科教授
川上 浩司 京都大学大学院医学研究科教授
坂野 寿和 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)事業開発室担当部長
坂本 悟 奈良県県土マネジメント部地域デザイン推進局県土利用政策室長
重松 千昭 関西文化学術研究都市推進機構参与
島田 和幸 京都府府民環境部地球温暖化対策課長
高橋 賢藏 サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社取締役会長
寺崎 肇 元関西文化学術研究都市推進機構ヘルスケア事業推進室プロジェクトディレクター
中村 佳正 大阪成蹊大学副学長・教授
楢舘 孝寿 株式会社京都総合経済研究所取締役調査部長
山口 一成 木津川市マチオモイ部学研企画課長
山田 武士 NTTコミュニケーション科学基礎研究所所長

■ 研究目的・方法

【けいはんな学研都市地域を軸とした教育システム輸出拠点の形成】
けいはんな学研都市地域は、有数の高等教育機関と研究所群が集積し、教育産業拠点としての潜在力を備えている。途上国から関心の高い特別教育活動は、日本の文化的土壌と不可分であるため、この地域が京都、奈良、大阪という日本の歴史、伝統、文化が根付く地であることが利点となる。このようなけいはんな学研都市地域に、日本型教育システムの海外展開拠点を創設し、途上国からの教員研修の受け入れが望まれる。更には、欧米大学の東アジア拠点として、この地域が中継貿易基地となる未来像も考えられる。
本研究では、「国際教育都市としてのけいはんな」の可能性を探り、けいはんな学研都市地域を軸とした教育システム輸出拠点の形成に向けた活動を行う。具体的には、以下三点に焦点を当てる。
第一にオフショアスクールの世界的動向の調査、日本型教育の海外展開における条件等の調査である。第二に、けいはんな学研都市地域における途上国対象の日本型教育の指導者養成センター設置を構想し、その具体化に向けての条件等についての調査研究の推進である。更に第三に、こうした教育輸出拠点の形成が、学研都市地域に居住する住民の生涯学習機会の充実や深化にどのような関わりをもつのかを検討する。特に、先端科学と歴史、伝統、文化といった文化的資本が交錯する都市空間において、諸外国から評価される一方で今や忘れられがちな規律や礼儀を重んじる精神、倫理道徳教育が地域住民にどのようなインパクトを与える可能性があるのかを探りたい。

【けいはんな学研都市地域の振興に向けた具体的試み~ヘルスリテラシー向上を通して~】
本研究は、2015から17年度にかけて国際高等研究所で行った「けいはんな未来」懇談会、及び「けいはんな未来」専門検討部会で提案された先端幸福創造都市の実現に向け、更に具体的に、けいはんな学研都市地域の振興をはかる方策を検討するために発足したものである。けいはんな学研都市地域の科学技術研究機関を集積した街づくり、研究機関のみならず住民生活や地域性を意識した街づくりは、日本が喫緊の課題として抱える少子高齢化等の社会的課題や、地球規模課題に対峙する世界の動向に対し、地域発の具体的な対応を打ち出す可能性を備える。
本研究では、人間の活動の基本的要素に目を向け、この地域に働く人々や住民一人一人の生活、健康、教育に焦点を当てる。特に、基本的健康情報を取得、理解し、評価、活用する能力――ヘルスリテラシーの向上は、総合的な地域振興の要素の一つになるとの考えのもと、先端幸福創造都市実現の具体軸として、ヘルスリテラシーに着目することとした。以下三点について、研究を推進する。
第一に、けいはんな学研都市地域の住民やこの地域で働く人々のヘルスリテラシーについて考え、その向上のための生涯学習機会の充実に向けた条件と整備の方策を考察する。第二に、この地域の研究開発、産業、自然、歴史、文化的土壌、農業、食等の周辺資源を生かす健康創出促進好循環モデルの形成を試みる。第三に、ヘルスリテラシー向上のための学習モデルや教育モデルの開発、移出、輸出を目指す。

今後の計画・期待される効果

けいはんな学研都市地域の国際教育都市としての発展の方向性については、教育の中継貿易を視野に入れ、日本型教育システムや学校運営システムの教育輸出拠点について構想し、設置に向けた条件等の調査、整備を継続する。ヘルスリテラシー向上による発展の方向性については、生涯学習機会の充実に向けた条件整備を推進する。また、医療、健康、生命科学、AI、ICT関連企業等の協働による健康プラットホームの整備を推進し、健康創出促進の好循環を試みる。更には先進的な生涯教育・学習モデルを形成し、モデルの移出・輸出につなげ、教育を軸とした地域振興に寄与していきたい。