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基幹プログラム

SDGs時代における科学技術のあり方-ブダペスト宣言から20年-

研究代表者:有本 建男
国際高等研究所副所長、政策研究大学院大学客員教授

21世紀に入り、今後の科学技術のあり方、社会経済と人々との関係について、目指す価値、政策、研究の方法、教育、ファンディング、大学マネジメント等の改革が迫られている。本研究では、科学技術と社会との新しい契約、責務、実践において重要となるSTI for SDGs(SDGs達成のための科学技術イノベーション)の枠組みと、各国の科学技術政策の思想的基盤となっているブダペスト宣言(21世紀の科学と科学の使用に関する世界宣言)に焦点を当て、科学技術のあり方、科学者コミュニティの役割と責任、思想的基盤、異分野融合型研究体制のデザインについて検討し、内外に活動のネットワークを広げる。

参加研究者2020.04.01現在

有本 建男 国際高等研究所副所長、政策研究大学院大学客員教授
大竹 暁 東京大学東京カレッジ副カレッジ長・未来ビジョン研究センター特任教授
隠岐 さや香 名古屋大学大学院経済学研究科教授
狩野 光伸 岡山大学副理事・大学院ヘルスシステム統合科学研究科教授、外務省次席科学技術顧問
小寺 秀俊 理化学研究所理事、OECD科学技術委員会日本代表・副議長、京都大学名誉教授・特定教授
駒井 章治 東京国際工科専門職大学工科学部教授
新福 洋子 広島大学大学院医系科学研究科教授
宮野 公樹 京都大学学際融合教育研究推進センター准教授

■ 研究目的・方法

21世紀に入り、社会経済の構造と科学技術のあり方が大きく変化している。特にここ数年、気候変動パリ協定、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals; SDGs)の国連全加盟国一致による決議等の国際協調の流れと、一国主義、保護主義、権威主義国家の台頭と波及が、同時に起こっている。世界は今や複雑で不透明な時代を迎えているとみることができる。この変化の技術的基盤は、人工知能(AI)とビッグデータを中心とする情報通信技術の革新にあり、「ディジタル革命とSDGsとハイテク覇権の時代」といえる。こうした歴史的な転換期において、今後の科学技術のあり方、社会経済と人々との関係について、目指す価値、政策、研究の方法、教育、ファンディング、大学マネジメント等の各レベルで改革が迫られている。
本研究では、以下の二つに焦点を当てる。第一に、新しい時代における科学技術と社会との契約、責務、実践として重要かつ世界的に大きな潮流になると見込まれるSTI for SDGs(SDGs達成のための科学技術イノベーション)の枠組みである。第二に、1999年に世界の科学技術コミュニティが合意し、その後各国の科学技術政策の思想的基盤となっているブダペスト宣言(21世紀の科学と科学の使用に関する世界宣言)である。この二つを軸に、変化の激しい時代の、科学技術のあり方、科学者コミュニティの役割と責任、思想的基盤、異分野融合型研究体制のデザインについて検討する。

今後の計画・期待される効果

新しい時代の科学技術のあり方、思想的基盤、異分野融合型研究体制のデザイン等について、内外の意見交換の場、ネットワークを形成し、議論の蓄積を図る。国際的議論にも積極的に参加していく。科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)、世界科学フォーラム、グローバルヤングアカデミー、米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science; AAAS)等、海外の有識者との議論を継続する。なお、新型コロナウイルスは、2020年初めから世界パンデミックとなり、内外の社会、経済、市民生活に深刻な影響を与えている。この問題は、現在の科学技術の価値観とシステム、及び、科学技術と社会、政治の関係について、緊急に総点検を迫っており、本研究会の今後の大きなテーマとして取り上げる予定である。