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研究プロジェクト

「集合知ネットワーク」構築プロジェクト

研究代表者:駒井 章治
奈良先端科学技術大学院大学先端科学研究科准教授、国際高等研究所客員研究員

知の生産と活用はどのように行い得るのか。そのために私達ヒトは何ができて、何をするべきなのか。ヒトは一定の物理的制限と認知的な歪みを抱えている。これらの制限や歪みを乗り越えるために集団を形成し、論理を組み立て「知」を手にしてきた。ともすると知の生産において個人に焦点が当たりがちであるが、その個人は多く過去に蓄積された知を活用し、他者との相互作用の中で知を修得する。これら知の修得のために密な人的ネットワークを形成し、個々人が真に興味を持つ課題について皆で議論するエコシステムの構築を目指す。

参加研究者2019.04.01現在

駒井 章治
奈良先端科学技術大学院大学先端科学研究科准教授、国際高等研究所客員研究員
中尾 央
南山大学人文学部人類文化学科准教授
中村 征樹
大阪大学全学教育推進機構准教授
宮野 公樹
国際高等研究所客員研究員、京都大学学際融合教育研究推進センター准教授
森本 智志
慶應義塾大学コミュニケーション行動の生涯発達研究拠点特任助教

■ 研究目的・方法

産業革命以降、生産性をいかに高めるか、良いものをいかに多く作るかという志向が優位であった時代には一定の知識が備わった個人の力が有効であった。インターネットや交通網の発達により、社会は劇的に多様化し、学術界、産業界に於いても、多様な感性、価値観、考え方や方向性、更にはスピード感があり正確な意思決定が必要とされる。このために個人もしくは組織として日常的に様々な問題について議論し。ヴィジョナリーな思考を巡らせておく必要がある。”If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together”.これはアフリカの諺であるが、まさに現在の我々に取るべき方法を示してくれているのではないだろうか。
アカデミアにおける学術的側面のみならず、広い意味での教育の活性化を行うことで、産業界を含めた広く社会への波及効果を目指すものである。この様なメタ的活動については一般的な研究費や研究支援金によるサポートをいただくことが極めて困難である。そこで学術協力財団というプレステージを活用させていただき、アカデミアのみならず、社会に対し「シコウのパラダイムシフト」を進める活動の第一歩を踏み出す。
オンラインミーティングとのハイブリッド化やYouTube、Twitterなどを活用した映像配信なども積極的に活用し、国内外の人的ネットワークの構築を行う。ここで議論された課題は様々な形で活用いただけるようショーケース化する。

今後の計画・期待される効果

行動科学の領域では古くから動機づけ理論というものが提唱されているが、未だに金銭やポジション、名声といった報酬による外発的動機づけが一般的には想像されるであろう。単調な作業を進める上では有効であるが、より高度な知的操作が要求されるような作業には有効でないことが示されている。そのため、一般に理解が容易な「アメとムチ」の構造を乗り越え。興味に基づき「自ら」課題に取り組む内発的動機づけを社会に実装することが今まさに必要であろう。
2012年にProject Aristotleと呼ばれるGoogle社の社内調査が行われ、生産性の高さにつながる因子の解析が行われた。その結果「情緒的なつながり」がチーム内で醸成されることが結果的に個々人の動因につながったと一定の結論を出している。これはコミュニティー形成の条件にも挙げられており、特に産業界に於いては現在積極的に取り入れられているところである。翻って、本来触手の先端であるべきアカデミアではどうであろうか。研究室やラボに引きこもり、いわゆる ”Silo effect” と呼ばれる孤立化が進んでいるように見える。
「若者、よそ者、バカ物が世の中を変える」という言葉をよく耳にする。これらの者を一同に集め、変わりゆく社会に先駆けて「ソウゾウ」することを試行するために、多様な専門性を持つ学者、企業人、芸術家官僚等の知を集結することで知的好奇心を刺激できる「場」の設定をここで行う。これにより、未来を積極的に拓くヴィジョナリーな知能集団の構築を行い、ここから様々なアイデアが生まれ、それぞれの形で社会実装されることが期待される。このようなネットワーク構築のノウハウそのものが未来に引き継がれるものと期待される。

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