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研究プロジェクト

設計哲学-俯瞰的価値理解に基づく、人工財の創出と活用による持続可能社会を目指して-

研究代表者:梅田 靖
東京大学大学院工学系研究科教授

近年、設計を取り巻く諸環境の急速な変貌に伴い、それに適応した社会の価値観に基づく設計の進化が求められている。本研究では、社会の価値観と設計との相互の関係を俯瞰し、今後の設計の在り方を含む設計倫理の在り方を検討する。ケーススタディとして、日本と発展途上国における人工財にまつわる環境問題を想定し、両社会を比較することで社会の価値観と設計との相互の関係性を明示化することを試みる。

参加研究者リスト2016.07.01現在

梅田 靖
東京大学大学院工学系研究科教授
岩田 一明
大阪大学名誉教授、神戸大学名誉教授
植田 和弘
京都大学大学院経済学研究科教授
上須 道徳
大阪大学環境イノベーションデザインセンター特任准教授
苧阪 直行
京都大学名誉教授、日本学士院会員
小野里 雅彦
北海道大学大学院情報科学研究科教授
思 沁夫
大阪大学グローバルイニシアティブ・センター特任准教授
住村 欣範
大阪大学グローバルイニシアティブ・センター准教授
田中 直
特定非営利活動法人APEX代表理事
中島 秀人
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授
服部 高宏
京都大学法学系(大学院法学研究科)教授
平田 收正
大阪大学大学院薬学研究科教授
堀 浩一
東京大学大学院工学系研究科教授
村田 純一
立正大学文学部教授、東京大学名誉教授
阿部 朋恒
首都大学東京大学院人文科学研究科博士後期課程、国立民族学博物館特別共同利用研究員(RA)

■ 研究目的・方法

人間社会は歴史の中で、多種多様な人工的な財(モノ、コト、サービス、インフラ、組織、仕組み、社会、法体系など)を創出し、構成してきた。これらは生活の利便性を高め、文明レベルを向上させてきたが、他方で、環境、生存などの問題といった大きな副作用をもたらしてきたこともまた事実である。

本研究では、社会の価値観と設計との相互の関係性について俯瞰的視点から議論するとともに、今後の設計の在り方を含む、設計倫理の在り方を検討することを目的とする。特に、ケーススタディの対象として、日本社会と発展途上国の社会という異なる二つの社会における人工財にまつわる環境問題を想定し、両者を比較することで社会の価値観と設計との相互の関係性を明示化することを試みる。その際、以下の点を中心に議論を進める。

・人工財の創造において、設計者の思考や行為の背景となる制約、道徳また価値規範とは何か。その結果として、例えば、設計者は設計対象として何を選択し、何は避けるべきか。
・人工財創出のベースとなる科学技術研究や開発において、科学技術者の思考や行為の背景となる制約、道徳あるいは価値規範とは何か。例えば、科学技術者は基盤技術として何を開発すべきか。また、設計者はどのような基盤技術を利用し、何は避けるべきか。
・社会がグローバル化、多様化、流動化によって急速に変化する中で、設計者は社会に対する影響をどこまでどのように想定すれば良いか。また、プロアクティブな対策をどこまで準備しておけば良いか。
このような議論を俯瞰的、文系・理系を融合した形で実施することにより、設計哲学・設計倫理という新たな超領域的学術分野の礎を築くことを目的とする。

今後の計画・期待される効果

これまでの議論に基づき、本研究会における設計倫理の基本的枠組を提示することが最大の課題である。それにより、本研究会の成果の書籍化が可能になり、結果として本研究会が主対象とした、「途上国・中進国の中で、技術とその発露たる人工財がその『発展』にどう関わって行けば良いのか」という視点からの設計倫理というものを世に問うことが可能になると考えている。
技術、設計の問題を我が国と途上国との比較を通じて考えるという本研究会の問題設定は予想通り議論を活性化し、かつ、領域横断的に、すなわち、本研究会のメンバーの専門分野である、工学、文化人類学、哲学、法学、科学技術史学などの間で、噛み合った議論を行うことができた。一方で、扱っている問題は予想以上に複雑であり、多様な要因が絡んでおり、個別的であり、どのような形で一般的な枠組みを提示できるかを思索中の段階にある。
ここにアジアの途上国の進んでいる/進むべき道として、以下の4つのパターンを仮説として示したい。
【研究活動】
・日本(技術が成熟した国の例)の過去を鑑にして技術大国を目指す
・日本が手本とするものをモデルにする
・どんなに頑張っても日本にはなれないのだから、独自のモデルを構築する
・日本の未来像に、過去の日本、現在の日本を経由せずに到達する
2016年度は最終年度であり、成果を取りまとめて書籍出版に結びつけることを目標に、合宿形式で3回の研究会開催を予定している。

活動報告

アニュアルレポート