自主研究
持続可能でレジリエントな社会実現に向けた
学際共創の方法の開発と実践研究
- 研究代表者:有本 建男
- 国際高等研究所学術参与、科学技術振興機構参与
政策研究大学院大学客員教授、国際学術会議(ISC)フェロー
人類は生存の危機、学問・科学技術の危機に直面している。特に日本の分断状況は著しい。高等研発足の理念「何を研究するかを研究する」に立ち戻り、問いの探求、解決の方法について多様なステークホルダーが、分野、組織、ジェンダー、世代、国の境界を変えてボトムアップで自由に議論し、新しい学問・科学・技術の方向を探索する場を共創的醸成・拡大。内外の個人・集団を結ぶネットワークを形成・維持・拡大していく。
参加研究者リスト2025.10.01現在
| 有本 建男 | 国際高等研究所学術参与、科学技術振興機構参与 政策研究大学院大学客員教授、国際学術会議(ISC)フェロー |
|---|---|
| 宮野 公樹 | (研究副代表・実行責任者)国際高等研究所主任研究員 京都大学学際融合教育研究推進センター准教授 |
| 上野 ふき | 名古屋大学大学院情報学研究科社会情報学専攻情報哲学講座研究員 大阪大学基礎工学研究科システム創成専攻知能ロボット学研究室招へい研究員 |
| 呉 玲奈 | 株式会社ユニオン・エー 編集者 |
| 中山 俊秀 | 東京外国語大学副学長、同大アジア・アフリカ言語文化研究所教授 同大学際研究共創センター長 |
| 矢代 真也 | SYYS LLC代表、編集者 |
| 渡辺 彩加 | 国際高等研究所特任研究員、京都大学学際融合教育研究推進センター技術補佐員、京都大学東南アジア地域研究研究所連携研究員 |
■ 研究目的・方法
趣旨
(目的)境界を越えた議論と探求の場の醸成
人類は生存の危機、学問・科学技術の危機に直面している。特に日本の学問、世代、組織などの分断状況は厳しい。高等研発足の理念「何を研究するかを研究する」に立ち戻り、研究開発の問、社会の問の探求、問の立て方、解決の方法について、多様なステークホルダーが、分野、組織、ジェンダー、世代、国の境界を越えて、ボトムアップで自由に議論し、新しい学問・科学・技術・社会の方向を探索する場を共創的に醸成する。さまざまな壁を越えて、内外の個人・集団を結ぶネットワークを形成・維持・拡大していく。
所属役職や研究分野にとらわれずに自由な思考と表現が可能な空間は、現在の日本の学術界において貴重である。本研究は時間をかけて我が国の学術界の基盤と文化の醸成を目指している。また、これまでの高等研の活動は多くがテーマ先行型であり、理念に照らし何らかのテーマ設定を行ったうえで、実施されてきた。このような高等研の歴史のなかで、本研究はテーマ先行型ではなく、テーマ探索型という特徴を持っている。こうした活動の実施により、将来を見据えた重要な研究テーマの発掘とそうした研究を実施できる人材の支援を行う。
(方法)対話集会「全国キャラバン3QUESTIONS」を全国9地区で実施
全国9地区において、「全国キャラバン3QUESTIONS」と題する100人規模のポスター発表対話集会を開催する。そこでは、研究者は「何を知りたいか」「そのために何をして(しようとして)いるか」「皆への問いかけ」という3点について自由に表現する。それらを見ながら、4から5日間にわたり、研究者や市民、さまざまな業界の人々が集まり議論を行う。その記録を小冊子『となりの研究者』として発行する。単に多様な学術分野が集まった発表に留まらず、本音で対話ができる仕組みを工夫し、自身の研究を問い直す場となることを目指す。
2023年3月の中国地区開催を皮切りに、2024年度は、北海道、東海、北信越、四国の4地区で「全国キャラバン3QUESTIONS」を実施した。2025年度は、九州・沖縄、東北、関東、関西の4地区での開催を予定しており、これをもって全国9地区での実施を終える。その後は、各地区のポスターから優れたものを選出し、関東にて大規模な全国学術ポスター発表&交流会を計画している。2年間、9地区での開催実績を踏まえ、これらに共通する課題とそれぞれの特徴を俯瞰的に分析し、今後学際共創プラットフォームを効果的・持続的に拡大する方法と体制について実践的提言をまとめる。
今後の計画・期待される効果
事業内容
(全国キャラバン3QUESTIONSの具体的な企画内容)
・開催地区の研究者からなる100人規模の研究ポスター発表大会。「匿名」での研究発表とすることで先入観を取り除いて本音の意見交換を実施。研究ポスター掲示者は、地区の大学、研究機関に所属する教員、研究者。
・どの分野でも発表可能。多分野が集まる場合、ややもすると雑多で浅い意見交換になりがちなところを、研究ポスターの発表形式を統一すること等の工夫で本質的対話を促す。
・研究ポスターに「こういう専門の方と話したい!」というコラボ用ハッシュタグを記載し、新たな共同研究の創出をねらう(匿名性でありながらも、参画研究者番号、来場者にも参加登録番号を付与し、希望する場合は後日コンタクトをとれるシステムを整備)。
・期間中に、複数回のグループセッションを実施することで、リアルにも出会いを創出。グループセッションは協賛企業からテーマを募集し、事務局がテーマにあわせたキーワードごとに参画研究者のグループを作って公開ディスカッション。
・参画研究者が業績としてリストアップできるよう、企画後に各研究テーマとコメントを記載した冊子を作成。この冊子においては、名前、写真、プロフィールも記載することで、後日ネットワークの形成に活用されることを狙う。
活動報告
| アニュアルレポート |
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