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自主研究

科学技術の動向とロボティクスの将来
-ロボティクスと家庭の関係-

研究代表者:小寺 秀俊
国際高等研究所副所長、京都大学名誉教授・特任教授
大阪大学特任教授

けいはんな学研都市がロボットおよびロボティクスの研究開発と事業化の拠点であることから、ロボットの今後とロボティクスさらには、Human Augmentation(人間と技術の一体化による人間の能力の拡張)における研究開発現状を調査するとともに、今後の方向性を議論する。
ロボットおよびロボティクスに関しては、従来の研究、現在のロボティクス研究等の状況や今後の方向性をヒヤリングするとともに、人とロボットの関係やHuman Augmentation技術の今後の方向性を調査し、ロボットが人に関わる際の感性や倫理および技術に関する議論を行い、その議論の内容をまとめる。

参加研究者リスト2024.04.01現在

小寺 秀俊 国際高等研究所副所長、京都大学名誉教授・特任教授
大阪大学特任教授
美濃 導彦(顧問) 京都大学名誉教授、理化学研究所情報統合本部本部長
ガーディアンロボットプロジェクト プロジェクトリーダー
中村 泰(主査) 理化学研究所情報統合本部ガーディアンロボットプロジェクト
動作学習研究チーム チームリーダー
斉藤 康己 理化学研究所 情報統合本部
ガーディアンロボットプロジェクト 高度研究支援専門職
古川 淳一朗 理化学研究所情報統合本部ガーディアンロボットプロジェクト
人間機械協調研究チーム 研究員
港 隆史 理化学研究所情報統合本部ガーディアンロボットプロジェクト
インタラクティブロボット研究チーム チームリーダー

■ 研究目的・方法

現在ロボットの研究は大きく分けて、3つに大別できる。
(ア)製造業における作業ロボット
(イ)災害時等に人が入ることが困難な環境において作業するロボット
(ウ)人を支援するための支援ロボット
ロボットの研究開発の歴史は古く、機械工学における機構と制御に関する研究から、多くのロボットシステムが工場等の作業現場で利用されるようになった。21世紀に入り、事前にプログラミングされた機能を発揮するだけではなく、搭載されたセンサーからの情報をもとに、動作を決定する知能化が進んできた。
現在、人とサイバー空間の間にはPC、Tabletさらにはsmart phoneという情報端末が存在する。現在のsmartphoneは、すでに搭載されたセンサーや接続されているセンサー機器からの計測情報をもとに利用者を補助する機能を実現していて、21世紀に始まったIoTの中核端末として機能している。また、AIおよび生成AIはネットワーク上に蓄積された多くの情報を元に推論し、新しい情報を生み出す能力を持っているように見える。
現在のロボット研究では、これらのAI、IoTを旧来の機械工学・制御工学と組み合わせて、多くの新たな役割を果たすことが期待されている。現在は、smart phoneやsmart watch等が人とサイバー空間の間のコミュニケーションの主な媒体であるが、近い将来、ロボットがその役割を果たす可能性がある。その場合、ロボットは企業等における作業現場で活躍するだけでなく、人の生活の場である家庭に入り、人と大きな関わりが生じることになると考えられる。
本研究プロジェクトは、家庭というサイバーフィジカル空間での存在感が大きくなりつつあるロボットと人の関係について、i) これまでの研究の調査、ii) 現在推進されているロボット研究の現状と課題の抽出、iii) 人とロボットの関係における人の感性や倫理に関して研究者へのヒヤリングや討論などを行い、今後の研究の課題をまとめることを目的とする。尚、JSTのCRDSやNEDOの戦略センター等の調査資料等をもとに技術動向についても調査を行う。

今後の計画・期待される効果

2023年度においては、報告の通りUKARIプロジェクトに関して、当時の研究者3名から研究の内容とその成果に関して情報収集を行なった。特に、鼎談という形式をとることで、研究発表では話されない苦労や当時の思いを聞くことができたのは非常に有意義であった。
2024年度は、現在行われているロボットとIoTおよび人との関係に関する研究の状況と課題に関して、研究者からの講演と本プロジェクトメンバーとの議論を行い、その内容から、人とロボットの研究の今後に関して提案を行う。その過程において、第二回のミニシンポジウムの開催および2025年度にシンポジウム(最終報告会)の開催の企画を検討する。

活動報告

アニュアルレポート
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