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自主研究

科学技術の動向とロボティクスの将来
-ロボティクスと家庭の関係-

研究代表者:小寺 秀俊
国際高等研究所学術参与、京都大学名誉教授・特任教授
大阪大学特任教授

けいはんな学研都市がロボットおよびロボティクスの研究開発と事業化の拠点であることから、ロボットの今後とロボティクスさらには、Human Augmentation(人間と技術の一体化による人間の能力の拡張)における研究開発現状を調査するとともに、今後の方向性を議論する。
ロボットおよびロボティクスに関しては、従来の研究、現在のロボティクス研究等の状況や今後の方向性をヒヤリングするとともに、人とロボットの関係やHuman Augmentation技術の今後の方向性を調査し、ロボットが人に関わる際の感性や倫理および技術に関する議論を行い、その議論の内容をまとめる。

参加研究者リスト2025.10.01現在

小寺 秀俊 国際高等研究所学術参与、京都大学名誉教授・特任教授
大阪大学特任教授
美濃 導彦(顧問) 京都大学名誉教授、理化学研究所情報統合本部本部長
ガーディアンロボットプロジェクト プロジェクトディレクター
中村 泰(主査) 理化学研究所情報統合本部ガーディアンロボットプロジェクト
動作学習研究チーム チームディレクター
斉藤 康己 京都情報大学院大学教授、京都大学名誉教授
理化学研究所 情報統合本部ガーディアンロボットプロジェクト 業務嘱託
古川 淳一朗 和歌山大学システム工学部情報学領域講師、理化学研究所情報統合本部ガーディアンロボットプロジェクト
人間機械協調研究チーム 客員研究員
港 隆史 理化学研究所情報統合本部ガーディアンロボットプロジェクト
インタラクティブロボット研究チーム チームディレクター

■ 研究目的・方法

現在ロボットの研究は大きく分けて、3つに大別できる。
(ア)製造業における作業ロボット
(イ)災害時等に人が入ることが困難な環境において作業するロボット
(ウ)人を支援するための支援ロボット
ロボットの研究開発の歴史は古く、機械工学における機構と制御に関する研究から、多くのロボットシステムが工場等の作業現場で利用されるようになった。21世紀に入り、事前にプログラミングされた機能を発揮するだけではなく、搭載されたセンサーからの情報をもとに、動作を決定する知能化が進んできた。
現在、人とサイバー空間の間にはPC、Tabletさらにはsmart phoneという情報端末が存在する。現在のsmartphoneは、すでに搭載されたセンサーや接続されているセンサー機器からの計測情報をもとに利用者を補助する機能を実現していて、21世紀に始まったIoTの中核端末として機能している。また、AIおよび生成AIはネットワーク上に蓄積された多くの情報を元に推論し、新しい情報を生み出す能力を持っているように見える。
現在のロボット研究では、これらのAI、IoTを旧来の機械工学・制御工学と組み合わせて、多くの新たな役割を果たすことが期待されている。現在は、smart phoneやsmart watch等が人とサイバー空間の間のコミュニケーションの主な媒体であるが、近い将来、ロボットがその役割を果たす可能性がある。その場合、ロボットは企業等における作業現場で活躍するだけでなく、人の生活の場である家庭に入り、人と大きな関わりが生じることになると考えられる。
本研究プロジェクトは、家庭というサイバーフィジカル空間での存在感が大きくなりつつあるロボットと人の関係について、ⅰ) これまでの研究の調査、ii) 現在推進されているロボット研究の現状と課題の抽出、iii) 人とロボットの関係における人の感性や倫理に関して研究者へのヒヤリングや討論などを行い、今後の研究の課題をまとめることを目的とする。尚、2025年度に大阪で開催の万国博覧会で理化学研究所から展示を行い、そのアンケート結果も参照しながら最終報告書をまとめる。

今後の計画・期待される効果

2024年度においては、上記の通りSHOSAプロジェクトを参加者に体験してもらうとともに、人とロボットがつながる社会の可能性を紹介し、参加者とともに議論した。また、高齢化する社会において、必要となる介護や補助装具などのこれまでの研究開発の歴史と今後に関する研究会を開催し、将来の方向性の検討を行った。
2025年度には大阪・関西万博において、理化学研究所は対話ロボットおよび支援ロボットの体験展示を行う。この体験を行った一般の人の感想などのアンケート結果も参考にしながら、今後のロボットの家庭内への展開の可能性と課題を議論し、本プロジェクトのまとめを行う。

活動報告

アニュアルレポート
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