第45回 けいはんな「エジソンの会」
開催概要
ディープフェイクの衝撃~現実と仮想の狭間で~
講師 |
|
---|---|
開催日時 | 2024年3月7日(木)14:00~18:00 |
開催場所 | 公益財団法人国際高等研究所 |
住所 | 〒619-0225 京都府木津川市木津川台9丁目3番地 |
概要 | これまで私たちは、自分自身で直接得られる一次情報以外の情報は、多くのメディアを通じて得て来ました。世界中の人々が地域や国を超えて地球規模でネットに繋がり、情報の入手や発信が容易になっている半面、詐欺や思考誘導、世論操作を行う目的で社会に混乱や恐怖を引き起こすフェイク情報が氾濫し、デジタル空間への信頼性は低下しています。 第45回会合では、国家プロジェクトとして、フェイクメディアへの挑戦を続けられている越前功氏より、「ディープフェイク」と称される、映像、音声、文章等の合成技術の研究とフェイクメディアによる脅威を概説頂きます。その上で、JSTの戦略事業のもとで進められている研究プロジェクト「インフォデミックを克服するソーシャル情報基盤技術」の最新の研究成果についてご紹介頂きます。 また、音声情報処理の領域で数々の成果を生み出されている山岸順一氏より、音声生成による“なりすまし攻撃”に対する防御モデルの研究成果をご紹介頂きます。さらに、進化を続けるメディア生成技術の新たなモデル手法に対し、未知のディープフェイクを検知する手法をご紹介頂きます。 今回、ディープフェイクの現状を目の当たりにして頂くとともに、現代社会が直面している情報の信頼性回復への新しいアプローチに焦点を当て、フェイク情報へ我々は如何に立ち向かっていくのか、未来に向けた展望を議論しませんか。 |
配布資料 |
|
共催、後援、協力 | 【後援】 国立研究開発法人理化学研究所 公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構 |
当日の様子
始めに、国立情報学研究所の越前 功氏より、「インフォデミック時代におけるフェイクメディア克服の最前線~JST CREST FakeMediaでの取り組み~」と題してご講演を頂きました。ご講演では、画像や動画の事例を具体的に示しながら、フェイクの生成技術の特長や最新状況を解説して頂きました。また社会への影響とその驚異に立ち向かうプロジェクト、政府の動きや企業との連携などを分かり易く説明頂き、日本の研究が世界をリードしていると伺い知ることができました。
次に、同じく国立情報学研究所の山岸 順一氏より、「音声のディープフェイク検知はどこまで可能か?」と題してご講演を頂きました。ご講演では、音声を中心とした生成技術の特長と具体的で様々なフェイク検知の成果、また新たな発想での手法による今後の展開ついてご説明頂きました。当プロジェクトにて生成され一般公開されている学習用データベースが、多くの機関・企業および海外からも高く評価され、活用されていることを知りました。
インタラクティブ・セッションでは、お二人のご登壇者に加え、理研AIP副センター長で当会合のスーパーバイザーの上田修功先生にもご登壇頂き、会場との活発な意見交換が行われました。ECと米国の法規制の現状や日本のスタンス、サイバーワクチンや透かし技術の有効性、企業のメディアリテラシー、フェイク防御にかける想い、デジタル世界における倫理観、若者への教育の在り方など、多くの議論がなされました。
生成AIの進化と相まって、デジタル空間での真偽の判断がますます難しくなる時代においては、技術オリエンテッドではなく、情報の受発信者相互の「トラスト(信頼)」の意味を改めて考え直し、その問題を社会の中でどう位置付けていくか、充分な議論を尽くすことが必要であると痛感しました。(高等研事務局)
「インフォデミック時代におけるフェイクメディア克服の最前線 ~JST CREST FakeMediaでの取り組み~」
越前 功氏 国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授

「音声のディープフェイク検知はどこまで可能か?」
山岸 順一氏 国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 教授

-
インタラクティブ・セッションの様子